昔とは違う、現代の住宅火事の恐ろしさ【黒い毒煙の元とは】

シックハウス症候群などの原因となる有害な化学物質を使わない「無添加住宅」を開発した秋田憲司さんの連載コラムです。

地震・雷・火事・親父 これは怖いものの代名詞として昔から言われてきました。ちなみに親父とは大山風(おおやまじ)がなまったもので台風のことだそうです。

昨年は(執筆当時)、地震、台風と災害の年でしたが、その恐ろしさについては皆さんも周知のとおりです。被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

実は、当社も阪神大震災で被災しました。地震の恐ろしさについては次回お話ししたいと思いますが、今回は現代の住宅火事についての恐ろしさをお話しします。

ここに興味深いデータがあります。下の図は、火災の発生件数と死亡者を表したものです。

今でも毎年2000人近くが亡くなっているのです。火災の発生件数は1970〜1980年をピークにその後少しずつ減っています。理由は、建物の耐火性能が進んだからでしょう。

しかし、なぜか火災による死者は減っていないのです。そして、昔と比べて出火件数と死者数が逆転しています。

これは、1件の火事に対しての死亡率が非常に高くなったと言うことです。

どうしてこうなったのか?国は、「住人の高齢化による逃げ遅れ」それが急増していることが原因だとしか言っていません。

ではどうして逃げ遅れてしまうのでしょうか?

昔とは違う、現代の住宅火事の恐ろしさ

実は、そこに現代の住宅火事の本当の怖さがあるのです。それはこうです。

昔の家の火事は白い煙を出して燃えていました。しかし、最近の家が火事になると、真っ黒な煙が出るのを、テレビのニュースなどでご覧になったことがあるでしょう。

あの黒い煙は、まさしくプラスチック類が燃えているのです。あの黒い煙が人の命を奪っているのです。

火事は普通、放火や類焼でない限り、家の中から出火します。もし1階が燃えてあの黒い煙が2階に行くと、あの黒い毒煙で気を失ってしまいます。

あの黒い毒煙の元はウレタンとビニールクロスです。ウレタンが燃えると有毒ガスが出ます。

インターネットで「ウレタン 燃焼 青酸ガス」と検索していただくと詳しく出ています。
では、そのウレタンはどこに使われているのでしょう。

まずは床下の断熱材ウレタンフォーム、次に床板に塗装してあるウレタン塗装です。一般の床板は、無垢の木といえどもその木に、ウレタンを染み込ませているのです。

伸縮のクレームが少ないのはそのためです。ということは、床が燃えたらただちに青酸ガスが発生します。化学兵器に使われているあの青酸ガスが人間を襲ってくるのです。

メラミンフォームも同様です。メラミンフォームはキッチンの扉などに使用されています。
次に、ビニールクロスです。ビニールクロスは塩化ビニールでできてています。

いわゆる塩ビと言われるものですが、塩ビが燃えるとダイオキシン類が発生します。

壁や建具、キッチン、クッションフロアー、洗面台など、家の中で目に見える部分のほとんどのものが塩ビです。

もうお解りでしょう。現代の住宅が、昔の家とはまったく違う恐ろしい建材で造られているということを。

そして、火事になった時、それらの新建材が毒ガスとして私たちに牙をむくのです。

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秋田憲司

無添加住宅開発者「秋田憲司」

1959年、兵庫県西宮市生まれ。摂南大学工学部建築学科卒業。

ハウスメーカー、不動産会社の営業職を経て、実家の工務店を引き継ぐ。88年秋田ハウジング株式会社設立。

学生のころから探求してきた自然科学の知識を生かして、2000年シックハウス症候群などの原因となる有害な化学物質を使わない「無添加住宅」を開発。

01年株式会社無添加住宅設立。

「自然と共存する家」を基本に、誰もが健康に暮らせる住まいづくりを実践している。

無添加住宅のホームページはこちらから⇒無添加住宅

著作に「無添加住宅!―化学物質を使わない、世界でいちばん自然に近い家」「未来の家作りは、江戸時代に学ぶ。 「無添加住宅」の科学」など。

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