愛知県武豊町で一番初めに味噌たまりの醸造を始めたとも言われ、オーガニックたまりで知られる丸又商店さんにお話を伺ってきました。
たまりは主に東海地方で作られています。豆味噌文化のある東海地区では、原料を同じとする「たまり醤油」文化があります。
特に武豊町では、昭和初期には町内に50軒も醤油蔵があり、全国的にも非常に有名な生産地
1829年創業の丸又商店は大豆100%で木桶による造りを頑なに守っています。
大豆に含まれるタンパク質は、分解され旨味の元となります。濃口醤油よりも大豆の量が多いたまり醤油は、旨味成分が非常に高いのが特徴です。
濃いたまり
ーーーたまりはやはり手間がかかるのですか?
うちは濃いたまりを作っているのですが、濃いたまりというのはやはりすごく手間がかかります。
たまりにも淡い溜まり、濃いたまりがありまして水を多く入れると淡くなるんですが、濃いたまりは他に作っていないので人気です。
すごく手間がかかって、取れ高も少ない、味噌に近いところがありますね。
濃いたまりは全国でもウチと南蔵さんしか作ってないです。
丸又の工場は、ほとんどが木造です。木桶の置いてある仕込蔵は、太い木材が梁として使われています。柱、梁はには蔵に住み着いた菌が付着し白くなっています。
木蔵の蔵の中を浮遊する菌は、丸又の伝統の味を決める大切な要素です。
色んな菌が混ざり合って、できたものというのはやはり違います。ピカピカの工場でステンレスだとかで作られると、限られたいい菌だけで作ればいいんです。
だけども蔵に住み着いた菌などが桶に住み着いていて、風が通って空気が流れたりしてそういったものが混ざり合ってできたものはそこの蔵の特徴であるし、強い味がでます。
本当にいいものだけかき集めたものとは違いますね。
人間もそうですがマンションに住んでいると壁際に結露ができますよね?それが空気と一緒に部屋をまって、かび臭くなるんです。
ここの蔵は場所によって桶もべっとりしてたり、からっとしてたりします。要は桶が湿気を吸ってくれているんです。
オーガニックのたまり
ーーーオーガニックはどのくらいやられているんですか?きっかけは?
30年くらいです。
ほとんどのところが丸大豆から脱脂加工大豆に変わり、脱脂加工大豆を使っているところが多くて、その中で丸大豆を使っているのはほんのひと握りくらいしかいません。
それでオーガニックを扱っている商社さんがオーガニックのたまり(オーガニックは丸大豆であるのが前提)を作ってほしいけどもどっかないかな?と探した時に、ウチにたどり着いて作ってみないか?と言われてたのがきっかけです。
まだその頃はオーガニックという言葉もなかったですね。有機JASの制度が始まったのが20年前くらいですので。
なので最初はアメリカのオーガニックの認定を取って始めました。
当初は、オーガニックの認定団体は日本になく、外国の認定団体(OCIA)から認定を受けていました。
オーガニックという言葉さえあまり知られていませんでした。
つい最近もニンニク(ガーリック)と間違われるほど、オーガニックという言葉は、日本ではなかなか浸透しません。
健康、安全に関心があっても、なかなか手が出せない存在なのかもしれません。環境にも配慮された有機栽培は、子供たちの未来の自然環境にも大きく影響を持ちます。
この取り組みは、人類が幸せな生活を送るために必要なことだと思っています。
栽培履歴が管理された有機大豆を使用し、オーガニックの規律に則った製造方法で、作った物が「オーガニックたまり」です。
お客様に安心してより安全な食生活を送ってもらいたいと思っています
ーーー丸又さんのオーガニックのたまりは、手間ひまかけられてつくられているのに、他のお店の商品に比べて買いやすく、いち消費者としてはかなり有難いのですが。
最近は大豆の値段も上がってきているので、実際今のこの値段では本当は厳しいです。
だからこそウチは帽子のキャップに和紙をつけたりだとか、ラベルをいい和紙で作ったりはやっていないんです。
なるべく安くしたいのです。帽子をつけるだけで100円くらい上がってしまいますからね。
それは嫌だなと思っていて、やはりその分お客さんに還元した方がいいと思っています。
それでも今のままでは厳しいので、少しですが値段は上げざる負えない状況ではあります。
そのときはご理解いただければと思っています。
創業文政12年 たまり・味噌醸造元
丸又商店(まるまたしょうてん)
購入できるサイトはこちらから⇒丸又商店
〒470-2544 愛知県知多郡武豊町里中152
TEL 0569-73-0006 ・ FAX 0569-73-3917
養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。