TPP協定で日本の農業は危機的状況になってしまう

現在、TPP批准阻止のため、精力的に活動中の元農林水産大臣の山田正彦さんにお話を伺ってきました。

TPPは農業だけでなく色んな問題がありますが、まずは農業から伺っています。

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農業は稼働率が今は40%くらいなのですが、TPPを批准すれば10%くらいに落ち込むと思います。

だから農業は特に壊滅的な状況になりかねない。

農産物について聖域が守られたと言っているけど、実際聖域は全く守られていないです。農水省は関税の措置と言って農民に説明していたけど、それが関税の撤廃になっている。

本に書いてあるけど、除外例がないというのを政府が認めている。

我々分析チームで色んな今まで日本が結んだ協定を色々見ても米は除外例があるんです。それがこのTPPではなかったんです。

そうなるとどうなるかと言うと7年後の再交渉で米も関税撤廃に向けてもう一回交渉するんです。

私は訪米中、米国の自動車業界のボス、全米自動車振興政策協議会の会長さんに二度お会いしたことがある。

米国の自動車業界はTPPに断固反対である。

会長が私に「日本が米の関税を撤廃しなければ自動車の関税は撤廃しない」とおっしゃっていました。

すでに日本は米国の自動車に関税はかけていない。

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むしろ米国の方が日本に対して乗用車には2.5%、トラックなど大型車には25%の関税をかけているので、TPPで関税を撤廃させられることに激しく抵抗していた。

今回の米国の関税撤廃の譲許表では、普通自動車がTPP協定発効後25年後、大型トラックが30年後となっている。

しかも日本が―つでもTPP協定に反するようなことがあれば、関税撤廃の時期を延ばすことができて、事実上、米国はいつまでも関税を引き延ばすことが可能になっている。

自動車とコメはセット、そうでなければ、あの強硬な米国の自動車業界がTPPに賛成するわけはない。

そう考えれば日米間でコメの関税撤廃の時期を25年か30年で密約しているのではないかと思っています。

自動車の関税は30年後ですので、なんというかな・・30年後だとガソリン車もないかもしれないしな。

それでおそらく15~20年くらいで米の関税は撤廃(0にする)するのを約束してるんではないかと思います。

何せTPP協定では、協定成立後4年間の秘密保持義務が課されている。私には密約があると思えてならないです。

日本で米を作る農家はいなくなる

ーーー安いお米が海外からどんどん入ってくることになりますよね?

そうですね、例えばベトナムでも今コシヒカリを作っているんですがその値段が5Kg50円なんです。

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そういう時代になったら、日本で米を作る農家はいなくなっていきます。

1俵60kg1万5000円をきったら赤字なんです、だから5kg1250円をきったら赤字になります。

なので本当に太刀打ちができなくなりますよ。

私は若いころ牧場を開き、年間で牛400頭、豚8000頭ほど出荷した経験があるので、最も影響を受けるのは畜産ではないかと個人的には気になっています。

韓国に行った時、養豚業界会長にもお会いしたが、すでに韓国の養豚業者の7割は廃業を決意
していると言われました。

そして韓国の生協幹部にお会いすることができたので、韓国の現状を尋ねたところ「韓国で焼肉を食べに行ってもすべて米国産の牛肉で、野菜の8 割は中国産で、コメだけが韓国産です」と語っていました。

日本も後、3~4年後にはそうなるんではないかと思います。

そして米ですら例外がないというのは米韓FTAよりTPPはひどい内容になっています。

4~5年前に私達はワシントンに行き米国通商代表部(USTR) ウェンディ・カトラー代表
補にお会いした。

彼女はその後日本の大江博審議官とのTPP交渉のパートナーとして、日本でも知られるようになった。

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私は彼女に直接聞いたんです。

「TPP協定で米国は日本に何を求めるのか」

「米韓FTAの内容を見てほしい。日本にはそれ以上のものを求める」とはっきり答えました。

その足で国務省のズムワルト東アジア・太平洋局日本部長にもお会いして同じ質問をしたが、判で押したように同じ答えが返ってきたのには驚きましたね。

実際にこのTPPはそれ以上のものになってしまいました。

新聞もテレビも「韓国に乗り遅れるな」「バスに乗り遅れるな」という広告をして、みんなTPP賛成になっていきました。

それでどうなったかと言えば、韓国経済を見るとわかる通りガタガタです。

このままいけば日本も韓国の二の舞です。

日本の農地の7割は中山間地帯にあって、地方はどこに行っても青々とした水田があって、山際には整然とした棚田が石積の階段状をなして見事な風景が楽しめる。

縄文、弥生時代からコメ作り、稲作が日本の伝統文化を育んできたが、TPPによって安倍総理が言っている美しい日本の田園風景が消えることになります。

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山田正彦

元農林水産大臣、弁護士。日本ペンクラブ会員。1942年4月8日長崎県五島市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、新聞記者を志すが、結核だったことが発覚して断念。

司法試験に挑戦し、1969年に合格するも法曹の道には進まず、故郷の五島に戻って牧場を開き、牛400頭を飼育、豚8000頭を出荷するようになる。

その後、オイルショックによって牧場経営を断念、弁護士に専念し、主にサラ金問題に取り組む。

四度目の挑戦で衆議院議員に当選。2010年6月、農林水産大臣に就任。現在、TPP批准阻止のため、精力的に活動中。

著書に「アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!」「TPP秘密交渉の正体」などがある。

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このまま批准していいの? 続そうだったのか!TPP―24のギモン」

【TPP交渉差止・違憲訴訟の会】 年会費2000円を頂戴し、年4回、TPP新聞を発行し随時情報共有をしています。

【お問い合わせ先】 TEL 03-5211-6880  FAX 03-5211-6886

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