遺伝子組み換えや産地さえも表示できなくなってしまう恐さ

現在、TPP批准阻止のため、精力的に活動中の元農林水産大臣の山田正彦さんにお話を伺ってきました。

今回はTPPで食の安全はどうなってしまうのか?について伺います。

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政府は、TPPの説明会では食の安全について「日本の制度変更を必要とする規定は設けられていないので遺伝子組み換え食品等、食の安全が脅かされることはない」と説明しています。

それで私達TPP分析チームが原文にあたって調べたところ、TPP協定ではかなりのページ数を割いて遺伝子組み換え食品についてこと細かに記載されていました。

しかもTPP協定では、遺伝子組み換え食品については、今までであれば「衛生植物検疫(SPS)措置」の章に記載されるのであるが、TPPでは第2章「商品アクセス」の章に書かれてあったのも私たちには驚きでした。

第 2・19条定義

現代のバイオテクノロジーとは、自然界における生理学上の生殖又は組み換えの障壁を克服する技術であって伝統的な育種及び選抜において用いられない次のものを適用することをいう。

(a)生体外における核酸加工の技術(組み換えデオキシリボ核酸(組み換えDNA)の技術及び細胞又は細胞小器官に核酸を直接注入することを含む)

(b)異なる分類学上の科に属する生物の細胞の融合

現在のバイオテクノロジーによる生産品は、現代のバイオテクノロジーを用いて開発した農産品、魚、魚製品を意味するが、医薬品及び医療品は含まれない。

驚いたことに、今回のTPP協定ではバイオテクノロジーによる生産品の中に植物だけでなく、魚と魚製品も含まれているのです。

いずれ遺伝子組み換えの鮭がTPPによって私たちの食卓に並ぶようになるのです、畜産物にも拡大していくと危惧しています。

遺伝子組み換えの表示もできなくなる

ーーー遺伝子組み換えの表示もできなくなるのですよね?

表示ができなくなる恐れがあります。

アメリカもいくつかの州、バーモンド州などは表示義務を決めましたが、連邦議会では表示義務はなし、表示を義務ではなく任意とするという法案を下院でとおしています。

この法案が上院で通過したら、表示義務があるバーモンド州などでさえもできなくなります。

この法案は審議されているところですが、もし米国の上院で可決したら今回のTPP協定の規定からして、遺伝子組み換えの表示ができなくなってしまう可能性は十分にあります。

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産地表示も第18条に書いてあって、お酒、焼酎、ワインはいいのですがそれ以外のものについては厳しくなります。

だから非常にその意味でも産地表示は難しくなるし、包装された食品に関しての附属書というのがでてきたのですが、

・あらかじめ包装された食品及び食品添加物の専有されている製法に関する附属書

締約国が、強制規格及び任意規格の立案、制定及び適用において専有されている製法に関する情報を収集する場合、

正当な目的を達成するために必要なものに限ること、当該情報の秘密が、国内産品の情報の秘密と同様に且つ正当な商業的利益を保護するような態様で尊重されることを確保すること等を規定

これを読んでみると商業的利益をもとに正当な目的、いわゆるTPPは貿易促進ですから正当な目的の為に必要なものにかぎると表示がなっています。

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食品の包装の表示については「正当な目的を達成するために必要なものに限られる」とあり、パッケージに「新潟県産のコメ」などと表示することはできなくなるのではないだろうかと思います。

米国はEUに対して新サービス貿易協定(TiSA:Trade in Service Agreement) を求めているが、その中でパルメザンチーズと「産地」表示している包装が不当な表示だとして貿易障壁にあたると主張してるのです。

例えばこれは「遺伝子組み換え食品ではありません」、「これは無農薬です」、日本の「産地」表示などはTPPからすれば不必要になってくるのです。

アメリカのカリフォルニアのブロッコリー生産者にしてみればそうなってきます、その表示の為に自分のブロッコリーが売れないとなればISD条項で裁判をおこしてくるでしょう。

(※)ISD条項:国や自治体が、市場参入規制や国内企業を保護したとみなされる場合に、外国投資家に国家を訴える権利を与える。ISDS条項とも呼ばれる。

日本国内での問題であっても、国内法に基づいた国内裁判ではなく「国際投資紛争解決センター」などの国際仲裁機関で判断が下される。

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山田正彦

元農林水産大臣、弁護士。日本ペンクラブ会員。1942年4月8日長崎県五島市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、新聞記者を志すが、結核だったことが発覚して断念。

司法試験に挑戦し、1969年に合格するも法曹の道には進まず、故郷の五島に戻って牧場を開き、牛400頭を飼育、豚8000頭を出荷するようになる。

その後、オイルショックによって牧場経営を断念、弁護士に専念し、主にサラ金問題に取り組む。

四度目の挑戦で衆議院議員に当選。2010年6月、農林水産大臣に就任。現在、TPP批准阻止のため、精力的に活動中。

著書に「アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!」「TPP秘密交渉の正体」などがある。

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