看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム タッチケアサービスさんによる連載コラムです。
【中医学視点から観る産後の冷え】
連載シリーズ。今回3回目になります。
前回【中医学とアロマを融合させるよさ】の続きです。
今回は、中医学視点から観る産後の冷えについてどのように捉えていくのか?実際アロマをどのように活用できるのか?など。身近なことに繋げて話していきたいと思います。
産後に多い訴えの一つに【冷え】があげられます。今の時期冬真っ最中、なおさら冷えを感じる方も多いことでしょう。
では冷えというと、どんなイメージを持たれるでしょうか?
手足が冷たい。温活。重ね着。血流の悪さ?などなど・・・
【冷え=温める】と連想され必要以上に温める方が多いように感じます。実際にそれでよいのでしょうか?
この冷え一つにしても子どもからご高齢の方、そして妊婦さんに産後のママさんたち。
性別の違いや年齢。あとは地域性の違い、個々の体質などによって、同じ冷えに見えても、実は原因がそれぞれ違うことが多いのをご存知でしょうか?
同じ人であっても、妊娠中と産後の身体の状態が違うのは誰が見ても一目瞭然。冷えの状態も違い、ケアの方法も少しずつ変えていかなくてはなりません。
人間の身体は【気血津液精】から出来上がっていると中医学では考えます。
気虚・気滞・血虚・瘀血・陰虚・痰飲などとさまざまな角度から冷えを感じることがあります。
特に産後の場合、気血不足によって、冷えの訴える方も多いようです。(もちろんそれ限りではありません。)
体内基本物質の何が不足しているのか?停滞しているのか?過剰になり過ぎているのか?など。それによって、温める部位・度合い・ケアも変わってきます。
温めるだけでよいのか?補いながら温めるのか?流してから温めるのか?温めてから流すものか?・・・など。
すべてが個々の状態とバランスによって、温め方の視点を変えていくことがポイントになってきます。
出産は自分のいのちと引き換えに新しい生命を誕生させる大仕事。
その大仕事は、この気血精をかなり消耗させるのです。妊娠中からその後、無事に出産したとホッとするのもつかの間。
母乳・寝不足・抱っこ・スマホなどによる目の使いすぎ。今までの生活と変わりリズムの乱れが気血精をさらに消耗させていきます。
そこに慣れない抱っこが続いたことによる手首の腱鞘炎。
血は筋と繋がりが深いため、血が消耗しきっているところに腕を使うことでさらに消耗し腱鞘炎を発症しやすいのです。
産後の身体は本人が思っている以上に繊細になっているものです。
気血が消耗しきって、補充される前に日々の生活リズムによって、また消耗する。そうすると、おのずと冷えに繋がっていきます。
人によって手足の冷えだったり、寒くて靴下を履かないと眠れないとか、あるいは頭痛や腰痛やむくみなどと症状として冷えを訴える方も。冷えの現れ方はさまざまなのです。
まさに身体の中で流すもの(気血津液)がなく、流す力(気)もなく、冷え切った感じのイメージでしょうか。
もちろん個々の体質や出産状態によって、その度合いが違ってくるのは当然です。
そこで大切なことが産後の養生。養生は人それぞれですが口から入れて、外からもケアしていけると理想です。
気血を作りだす身体の元の工場は、身体の臓腑(内臓のイメージ:五臓六腑と言われているもの)の脾胃(胃腸のイメージ)です。
その胃腸が元気でなければどんなに口からいいものを入れても身にならず、ただもったいないことになってしまいます。また身体も疲れやすく感じるでしょう。
そんな時こそアロマによるトリートメントはとても優れものと考えます。
足裏反射区・ツボ・経絡を意識してタッチングすることで、胃腸にもアプローチができ、ケアの一つにも繋がります。
例え、帝王切開によって、腹部に傷口があっても、足なら安心してケアがしやすいと思います。
なおかつアロマの香りによって、部分的に停滞している気を巡らせたり、不足している気血を補ったり、乾燥している皮膚の保湿になったり、結果的に冷えの度合いが減っていきます。
(もちろん、個々によって、アロマを変えたり、トリートメントの方法も変えていくため、すべてがオリジナルのもの。)
そして、身体が消耗しきっている時こそ、アロマもオイルもトリートメントもシンプルにすることです。(これは産後ママに限らず)
身体の負担を最小限にすることでより効果的なトリートメントができると私は考えています。
禁忌がなければ、体力消耗している産後の冷えは優しいタッチングによるアロマトリートメントが心身ともに温めてホッとさせてくれるものとなるでしょう。
ぜひ、取り入れて見て下さい。
タッチケアサービス講座・中医学担当 山口恵美
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タッチケアサービス
看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム。出産直後の患者、延べ15.000件以上の症例等を保有。
西洋医学・東洋医学両視点からのケアを深めるための講座を開催。現場に則した内容の講義講座や勉強会を行う。
クリニカルセラピストを目指す方、セラピストとして学びを深めたい方、また各療法家、医療従事者すべての方が対象で理論だけにとどまらず実践的かつ専門的に学んでいる。
また、様々なかたちで生活に取り入れやすいホリスティックライフ実践のための提案・ケアを一般対象にも行っている。
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養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。