医学博士、池川クリニック院長。胎内記憶でも有名な池川明さんにお話を伺っています。
前回の記事はこちらから⇒ 出産時のリスクで起こりうる障害の原因
ーーー江戸時代だとかも障害を持った子だとかはいたんですよね?
いました、昔の人は観音様の生まれ変わりだとかいって大事にしたそうです。
世界でも障害持った子を大事にするところもありますよね、指が6本ある子だとか。
ーーー昔から障害者の生まれる量だとかはかわってないんですか?
横浜市大で全国のデータを集めてるんですけど、こういうデリケートな問題だとデータを集めることを反対する人もいるんですよね。
だから全部集めるのは難しくてどうしてデータ集めを妨害されてしまったりするそうです。
逆に障害持ってることに偏見もつなという人が偏見持ってるという感じもありまして。
そんな中で、出たデータだけみると障害の数はそんなに増えていない、と言われてます。
昔も今もそんなに障害を持って生まれてくる子の数は変わってない
ーーー食生活など添加物が増えて障害者も増えたと言われたりしてますが・・・
そうなんですよね、よく増えたって言われてますけど、横浜市大のデータを見ると昔も今もそんなに障害を持って生まれてくる子の数は変わってないようですよ。
多い、少ないはたいてい根拠となる数字を持っていないで、雰囲気で語っているのだと思います。
ーーー例えばジカ熱みたいに脳がなく生まれてくる子も昔からいたんですか?
昔からいたみたいですね。
ギリシャ時代などでも奇形児はいるんですよ、一つ目の人がいたりします。神話に出てきます。
自然界の動物に必ず奇形は出てくるんですよ、多分自然界は、わざとそういう風にできているんだと思います。
というのは、私たちが正常だと思う人ばっかり均質化した人類だけだと環境の変化などにはとても弱いんですよ、今の環境でこの状況でなら生きていける人たちなんです。
でもひとたび温度が50℃になると、もしくはマイナス40℃の世界になってしまったら、私たち生きていくのが難しくなるんです。
しかしエラーを組み込まれていると対応できる人が出てくるんです。
だからわずがでもその人たちがいれば、またそこから人類が増えていって守られる。
そうやっていろいろな環境に耐え種(しゅ)を保存する一つの方法として皆が同じではまずいのだとおもいます。
非常事態に対する対抗手段として、必ずエラーが一部で出るようになっているんじゃないかなぁ?
救世主のような役目になる
そうしたらね、障害を持って生まれてくる子っていうのは、人類が生き残るための補助手段というか、予備の存在かもしれないし、
今の時代では生きにくいかもしれないけど、その子達がいるおかげでもしかすると環境が激変した時に人類として生き残るチャンスを持つ救世主のような役目があるのかもしれないし。
そう考えたら今はね、みんながお世話しないといけないかもしれないけど、いずれ我々がお世話になるかもしれないっていう時代がくるかもしれない。
わかんないですよね。なんか意味があるのかもしれない。そう考えたら全ての人にそれぞれの存在する意味があるということでしょ。
優生学でナチスがやった「ドイツ民族、即ちアーリア系を世界で最優秀な民族」にするために「支障となるユダヤ人」の絶滅を企てた(ホロコースト)みたいな考えは非常に危険ですよね。
一人の人間のジャッジで、あんたはいらない人間だ、と決めつけるわけですから。
自分たちは優れてると思ってるけど、今の環境で、という条件のもとにそう言えるわけです。
ほかの環境だったら例えばジャングルの奥地だったらアーリア人種よりネイティブの人のほうが確実に生きるための力に優れていますよね。
対応能力もあります。
アーリア人種だったら蚊に刺されて死んじゃったなんてこともあるでしょうが、ところがネイティブの人なら蚊に刺されたって免疫があるから全然大丈夫なんて話もありますからね。
だから多様性というのは絶対必要です。
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池川明プロフィール
1954年、東京都生まれ。帝京大学医学部卒・同大大学院修了。医学博士。
上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、89年、神奈川県横浜市に池川クリニックを開設。
サイトはこちらから⇒池川明ドットコム
主な著書に「子どもはあなたに大切なことを伝えるために生まれてきた。 (青春文庫)」「ママのおなかをえらんできたよ。」「ママ、さよなら。ありがとう」などがある。
養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。