医、食、住、断食などの様々な分野で言及するジャーナリスト船瀬俊介さんと「薬を使わない薬剤師」として有名な宇多川久美子さんにお話を伺っています。
前回の記事はこちらから⇒大手メーカーの浄水器の落とし穴
船瀬: 私の手元に『糖尿病学』という分厚い医学専門書があります。
本文623ページ。価格は、なんと税抜き1万2000円、オールカラーの豪華本。帯には「糖尿病学の「決定版』」とあります。
発刊は2O15年5月15日。編集委員に日本屈指の糖尿病専門医6人が名を連ねています。その他、編集幹事10名、執筆医師124名という鉾々たるメンバーです。
僕はこの本を全部読んで、真っ向から批判しました。彼等は反論できないですよ。
非常に許せないのは糖尿病は遺伝性があるって言ってるんです、糖尿病に遺伝性は否定されているんです。
この本の中にその論文があるんですよ、対照群との比例が1.02倍。
宇多川: 精神科の薬なんて対照群の比率が少なくても薬として承認されている。例えばこの1.02倍でもとりかたですよね。
わかりやすいのが骨粗鬆症の薬が100人の中に2人骨折していた人が、薬を飲んだ群は100人に1人だった、骨折した人が。
飲まなかったら2人骨折して、飲んだら1人ってそんなに増えてないと思うでしょ?
絶対数で見ればそうなんだけど2人が1人になったって事は、これが50%効いたってことに、対象を変えればなるじゃないですか?
これで50%の有意差がある薬として承認されるんです。
ーーーほとんどそんなものなんですか?
宇多川: ほとんどとは言わないけど、そんな風なものもあるのです。
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船瀬: 1.02と言ったら対照群との有意差がなしでしょ?
「2843人について2型糖尿病発症リスクと関連するとされる34の遺伝子型を測定し、遺伝子リスクスコアを作成し、将来の糖尿病発症リスクや正耐糖能への移行との関連を測定した結果、糖尿病発症リスクはHR1.02倍と、ほとんど対照群と同じ」(「糖尿病学」)
このようなデータがありながら「遺伝的関与」をことさら強調する糖尿病学会。
それは、真の原因(過食、甘食など)から目をそらさせるためなんです。
ただ、研究者が「糖尿病は遺伝する」と確信、錯覚したのもムリはありません。
なぜなら、同じ家族内で糖尿病は多発しているからです。
「ほとんどの民族において、2型糖尿病患者の家族内の発症率は、一般集団の発症率より高く、患者の同胞(きょうだい)の糖尿病のリスクは2~3倍、子どものリスクは2~4倍とされている」(同)
「遺伝」でなく「食伝」
結局遺伝性が否定されたってことは、同じ家族の中で、親子の間で糖尿病の発症率が一般に比べて3~4倍だと、そして兄弟の場合は一般に比べて2~4倍で高度の有意差があるから、遺伝性だと言うけど・・
あんたらアホちゃうんかと、この家族は同じ鍋のものをくうてんのやでと、わかる?
同じ鍋のものをくうて、焼肉屋に行くどこかのプロレスラーのファミリーみたいにね?そしたらさ、父ちゃん、母さん、長男、次男、デブデブになるんだよ。
微笑ましい光景ですが、健康面からいえば好ましくない。
これは、はっきり言えば「遺伝」でなく「食伝」です。つまり「遺伝要因ではなく、環境要因」の結果なのです。
だから糖尿病学会は、その報告書「糖尿病の概念」から「遺伝的関与」の記述を除くべきです。医者にも患者にも、大きな誤解を与えます。
今日も診察室で、患者にこう宣っている医者がいるのではないでしょうか。
「糖尿病は、遺伝しますからねぇ……。一生治りませんね」
患者はまたも、ナルホドとうなずく。医者はうなずきながら、こう言い足す。
「ま、クスリとインスリンで、気長にやっていきましょう」
ここで、治すと言わないところがミソです。医者は、死ぬまで「治す」気はないのですから……。
1型の原因も食生活なんです、チャイナスタディのキャンベル博士が言っていますが、
チャイナ・スタディー 葬られた「第二のマクガバン報告」(合本版)
たとえば、子どもたちの1型糖尿病の元凶は、先進諸国の粉ミルク育児にあったという決定的証拠がそれです。
「チリで一卵性双生児による研究がある。3カ月間母乳育児の赤ちゃんと、産まれて間もなく牛乳(粉ミルク)で育った赤ちゃんを比較すると、後者の赤ちゃんが1型糖尿病になる危険度は13.1倍も高かった」(チャイナ・スタディ)
要するに高カロリー、高タンパク、高脂肪の食べ物とくに牛乳(粉ミルク)。
粉ミルクで育った子供は13.1倍、1型の糖尿病になるんです。13.1倍だぞ!すさまじいですよ。
こんな分厚い本を見せられたら、普通の人だったらへへーってなるでしょ?
ーーーなりますね。こんな立派な感じですもんね。
でしょ、でも読んでみたらめちゃくちゃですよ。
糖尿病の決定版って書いてある、それが嘘なんだからこれはコントの世界ですよ。
患者をなめているんです、どうせ勉強しないだろうと思ってね。
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船瀬俊介 (ふなせ しゅんすけ)地球環境問題評論家
著書「買ってはいけない」シリーズ200万部ベストセラー、で話題を呼び「抗がん剤で殺される」で一大センセーショナルを巻き起こす。
独特の語りで、現代医療の矛盾と問題点に鋭くメスを入れる。
九州大学理学部を経て、早稲田大学社会学科を卒業後、日本消費者連盟に出版・編集スタッフとして参加。
1986年の独立後は消費者・環境問題を中心に評論・執筆・講演活動を行う。
1990年には、ラルフ・ネーダー氏らの招待で渡米。多彩な市民・環境団体との交流を深めている。
現在も温暖化など地球環境問題、シックハウスをはじめとした健康問題、さらに文明論的視点からの鋭い建築・医療・食品批評を展開している。
船瀬俊介公式HP http://funase.net/
著書に「3日食べなきゃ、7割治る!」「やってみました! 1日1食」(三五館)「医療大崩壊 もう、クスリはのめない 医者にはいけない」「抗ガン剤で殺される―抗ガン剤の闇を撃つ」(花伝社)「ロックフェラーに学ぶ悪の不老長寿」(ビジネス社)他、140冊以上。
養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。