幼児期の体験は一過性ではなく生涯にわたって影響がある

脳内物質オキシトシン研究の第一人者であり、脳や胃腸の分野で米国で最先端の研究を20年続けた「クリニック 徳」院長の高橋徳さんにお話を伺っています。

前回の記事はこちらから→ 五感に心地いい刺激を与えることで体の不調を改善【補完代替医療】

ーーー自分がオキシトシンがでていたら周りもオキシトシンがでると書いてありましたが、すごいですね。

それは自分が出ると、とりあえず人に優しくなりますよね、それで優しくされると「気持ちいいな~うれしいな~」とオキシトシンが出ます。

そしてオキシトシンが出たら、今度は自分が人に対して優しくなりどんどん伝染していく感じです。

ーーーオキシトシンの分泌が悪くなるとバゾプレッシンというホルモンが分泌されやすくなり攻撃的な性格になると、書かれていましたがアドレナリン的なホルモンですか?

利己的と言いますか、自分の体を守るような作用です。自分の体が大事、大事と言う作用で例えば人から攻撃されたりすると反撃しやすくなります。

アドレナリンは少し違っています。アドレナリンは闘争、あるいは走ったりとりあえずは自分を元気にする。

例えば人を愛する時に元気になる、それもアドレナリンが出ていても不思議ではない。

バゾプレッシンは自分を元気にするのだけども、敵と戦う時、敵を攻撃する時にでるホルモンです。

今この時代はキレやすいのはバゾプレッシンが多いのではないかと思います。

オキシトシンは逆ですね、人を攻撃しない、人と仲良しになる作用。

母子分離実験

ネズミでこんな実験がありまして、ネズミのお母さんはだいたい15匹くらい子供を産むんです。

その15匹のネズミを生まれてからすぐにお母さんと引き離しました、「母子分離実験」と言って3時間離します。

そうすると毎日3時間はお母さんがいないので寂しくてイライラが募ります。

それを2週間続けて、それから大きくなるまで育てると非常にオキシトシンが少ない、バゾプレッシンが多いネズミができます。

そのネズミの性格がどうかと言ったら、ケンカしやすいのです。

これは結果的に人体実験になってしまったのですが、60年代から80年代にかけての約24年間ルーマニアの独裁的権力者として君臨したチャウシェスク政権、その政策のひとつに多産の推奨と堕胎・離婚の禁止がありました。

しかし経済的な理由などから、家庭における育児放棄などによって孤児院に引きとられる子どもが増えてしまったのです。

孤児院に人が溢れてしまい、みなさんが可愛い、可愛いと育てればいいのですが、育てる養護の人が少なくて20時間以上放置されたとか、そんなことがあったのです。

チャウシェスク政権がクーデターで倒れた後、孤児院の子供達が養子として欧米に引き取られていったのです。

その子達をずっと追跡していくと、攻撃的なあるいは自閉症的な子が多かったのです。尿のオキシトシンの量を測ってみたら少なかったのです。

このように動物実験からも人でもわかってきているのです。

今、日本でどうかといえばお父さん、お母さんは共稼ぎですし、子供は子供で塾に行ってしまいますし、一家団欒でご飯を食べているところは少ないです。

それぞれ個室がありそこで一人で弁当を食べているわけです、これが良いとは思いません。

だからキレやすい子ができているのは当たり前と思います。

一人暮らしのお年寄りは今、多くなってきています、それこそ自分勝手な性格になっていくかもしれません。

そういう意味では日本の置かれている状況は非常に寂しいです。

ーーーアメリカではオキシトシンは認知度は高いのですか?

日本よりは広がっていますね、それと、そんなことが広まってなくても家族が大事という考えは常識的にあります。

お父さん、お母さんは子供をすごく大事にしますし、一人だけご飯を食べさせるのはありえない。塾も行かせない家庭がアメリカには多いです。

もちろん家庭の環境も大事なんですが、学校が終わって子供たちは遊びながら、喧嘩しながら、そこで人と人の付き合いを習っていくわけです。

それが最近ではそのような交流がなくなってきている、一人でゲームして、みんな勝手に塾に行ったり、本当に憂うべき現象だと思います。

ーーー小さいころからオキシトシンが出づらい環境だとずっと出にくくはなるのですか?改善はできないのですか?

そうですね、改善はできると思いますよ。それはどうしたら良いかと言ったらやはり交流することですね。

例えば自閉症、キレやすい子とか色々いると思いますが、その子達をどうするかと言えば特殊学級にいれるじゃないですか、そうすると良くないです。

むしろそういった子こそが普通の元気な子と一緒にするのが良いんです。

静岡に不登校の子どもたちを預かる全寮制のフリースクール「元気学園」という学校があります。

その学校は1クラス30名ほどで、1人が元気になって元の学校に戻っていくと、新たに1人の不登校生徒がクラスに入ってくるというシステムを採用しています。

オキシトシンが出るようになった子どもたちがまわりにいると、オキシトシンが出にくい子どもでも、時間を重ねることで少しずつオキシトシンが出るようになります。

そうすると、人との交流が苦にならなくなります。

もし、クラス全員がオキシトシンが出にくい子どもたちだったら、簡単にはいかなかったと思います。

そこの校長先生と話したこともありますが、もちろん校長はオキシトシンの事を知っていてやっているわけではなくて経験的にわかっていたのです。

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高橋徳(たかはし・とく)

1977年、神戸大学医学部卒業。関西の病院で消化器外科を専攻した後、88年米国にわたる。ミシガン大学助手、デューク大学教授を経て、2008年よりウィスコンシン医科大学教授。

→ ドクター徳のウイスコンシン医科大学でのホームページ

米国時代の研究テーマ「ストレス」を研究していく過程で、オキシトシンと出合う。以降、10年以上にわたりオキシトシンの研究を行い、アメリカでオキシトシンに関する論文を発表。

帰国した後、国内のオキシトシン研究の第一人者として、日々研究を続ける。

13年には、郷里の岐阜県で統合医療クリニック「高橋医院」を開業。

16年、名古屋市に分院「クリニック徳」をオ—プン。

→ 統合医療クリニック徳

『日本健康創造研究会』

統合医療を広めるために、同志や患者さんを巻き込んで研究会を開催していきたい!

HP: https://jhcjapanhealthcreation.wordpress.com/

クラウドファンデイング: https://readyfor.jp/projects/kenkosozo

主な著書に、『自律神経を整えてストレスをなくす オキシトシン健康法』(アスコム)『人は愛することで健康になれる (愛のホルモン・オキシトシン)』(知道出版)、『あなたが選ぶ統合医療: 古今東西の叡智が命を守る』(知道出版)。

youjo-labo編集部
養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。
 

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