有機栽培=無農薬とは限らないことを前提として捉える必要がある

1986年の創業以来自然栽培を普及し、医者にもクスリにも頼らない自立した生き方を提唱してきたナチュラル・ハーモニーの代表・河名秀郎さんにお話を伺っています。

前回の記事はこちらから⇒安すぎるモノには裏がある、ただ高いものが必ずしも良いモノとは限らない。

すばらしい理念をもった有機栽培。しかし、現実には使用の認められた農薬があり、場合によってはその農薬を使わなければ成り立たない生産現場の実情があります。

ーーーJAS有機認証マークが付いていると無農薬と思い込んでしまうところも消費者にありますね。

そうですね。ナチュラル・ハーモニーの店頭でも自然栽培で全てが揃えられないので有機栽培の農産物も取り扱っていますが、有機認定農薬が使われているものはそれを公開しています。

フルーツなんかは特に無農薬が難しいんです。それで仮に認定農薬を使用した場合はポップでその農薬を何回使ったかを消費者がわかるようにしています。

いわゆる有機肥料を使った減農薬栽培農産物です。

この有機認証制度にあたっては、農薬を使う使わないに関して明示する義務はなく生産者も開示する義務はないことを農水省サイドでは明言していますので、正直、売り手、買い手が積極的に情報を知ろうと思ってもなかなか知りえないのが実情です。

なので、私たちは有機栽培=無農薬とは限らないことを前提として捉える必要があります。やはり、どうしても虫や病気との闘いはまのがれないケースが多いのは確かです。

慣行栽培ほどではないにしても・・・。

一方、肥料を入れないで育てる「自然栽培」は、闘わない農業と言えるかもしれません。

彼らは虫や病原菌たちが発現する原因を排除することでその発現をなくす方向性を見出しています。その原因こそが人間が人為的に運んだ肥料だと理解しているのですね。

具体的には、その場の自然にそぐわない「過剰なる養分供給分」を、積極的に排除することに重きをおきます。

窒素いっぱいの肥料を入れ、それをめがけてやってきた虫や病原菌と闘い続ける。

こうした悪循環に陥っているのが、今の農業の現実ではないでしょうか?

極端に言えば、わざわざ虫や病原菌が好む環境を用意して、それを殺すための農薬散布は無駄以外何者でもないじゃない?と思ってしまう。

ましてや地球をそして私たち自身の首を絞めている現実に目を向けて欲しいと願うばかりです。

ーーーつまり肥料を入れている限り、虫がでて農薬を使うことになるということですか。

肥料の量と質にもよると思いますが、その傾向はあると思います。

虫や病気との戦い、それは、有機であっても化学であっても肥料を使う以上、背負わなくてはならない宿命のようなものかもしれません。

事実、有機栽培において虫や病気に侵されるがゆえに認定農薬があるわけですよね。

制度発足以来、その認定農薬なるものは年々増え続け、今では30種類を超えているといいます。それが全てを物語っているような気がしてなりません。

しかし、そんな「有機野菜」も日本の野菜の全体量から見れば、たった0.13%程度だと言われています。

その中で、「農薬に頼らない農産物」は果たしてどれくらい存在するのでしょう?

程度の差こそあれ、私たちが日々口にする米、野菜を育てる上で今や農薬は絶対条件となっており、仮に農薬を使わなければ米、野菜はこの世に存在できないということになってしまいます。

もちろん「少しでも身体にいいものを」と、農薬を減らす努力をされている生産者の方々が増えてきていること、しいては世界中でオーガニック市場が広がっていくことはすばらしいことです。

しかし、そこがゴールとは限らない。

その先に第三の選択肢があることを知ってほしいんです。そして肥料と病虫害の関係に目を向け、肥料という存在の価値観を見直してもらいたい。

私は、どれが正しくて、どれが悪いと善悪論を言うつもりは毛頭ありません。

一般栽培には一般栽培のメリットとデメリットがあり、有機栽培にもメリット、デメリットがあります。そしてどちらもその時代、時代の必然として存在した栽培法だと思います。

当然、自然栽培にも当然メリット、デメリットがあります。その上で、この自然栽培も時代の変化とともに選択肢の一つに入れてもらいたいのです。

歴史の流れから見て、第一の選択肢は有機栽培、第二の選択肢は生産性を重視した一般慣行栽培、その二つの栽培法を経て誕生した第三の選択肢の自然栽培、その自然栽培の最大の特徴が生命を重視した闘わない農業のあり方だと私は思います。

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kawana

河名秀郎(かわな・ひでお)

1958年東京生まれ。國學院大學卒業。

千葉県の自然栽培農家での研修を経て、ナチュラル・ハーモニーを設立し、自然栽培野菜の移動販売をはじめる。

業務用卸売り事業、自然食品店、自然食レストランなどの衣食住全般を統合した「ナチュラル&ハーモニック」を展開、また自然栽培に特化した個人宅配も展開している。

生産者に対しても自然栽培の普及を目的に設立した「自然栽培全国普及会」を運営し、日本各地、韓国にも赴き、各種セミナーを開催している。

自然栽培全国普及会HP http://www.jnhfa.com

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主な著書に「ほんとの野菜は緑が薄い (日経プレミアシリーズ)」「自然の野菜は腐らない (カルチャー・スタディーズ)」「野菜の裏側 ―本当に安全でおいしい野菜の選び方」などがある。

HPはこちらから⇒ オフィシャルサイト「ナチュラル・ハーモニー」

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