土の「肥毒層」とは人間に当てはめると「肩こりなどのこりや冷え」に当たる

1986年の創業以来自然栽培を普及し、医者にもクスリにも頼らない自立した生き方を提唱してきたナチュラル・ハーモニーの代表・河名秀郎さんにお話を伺っています。

前回の記事はこちらから⇒腐る野菜と枯れる野菜【腐敗実験】

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健康な土の特徴をあえて言葉にすると、

①「温かい」
②「やわらかい」
③「水はけがよく、水持ちがいい」という3点に集約できると言われています。

自然栽培の創始者・岡田茂吉氏は、長年の施肥と農薬散布によって土中に毒の溜まっている層があり、これが畑の土を健康な土の条件とは全く正反対の「冷たく・固く・水はけ・水持ちが悪い」ものにしてしまっていると考えました。

私たちは、この毒の層を「肥毒層」と呼んでいます。

しかし、肥毒層を実際に目にしたものはいませんでした。これを実際に目にした人は高橋博さん率いる成田生産組合の皆さんでした。今から15年くらい前のことです。

様々な畑を掘り返し、温度と硬度を測ったのです。すると、地面から20~30 cmのところに、他より5℃ほど冷たくて固いゾーンがあることを発見したのです。これが「肥毒層」なのか!

肥毒とは、人間に当てはめると「肩こりなどのこりや冷え」に当たると思います。

まさにこのこりや冷えは、土や人体における代謝を滞らせる大きな原因の一つだと思います。

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よく「土が戻るにはどれくらいの時間が必要ですか?」と質問を受けますが、こればかりは、これまで投入してきた肥料や農薬の質と量、そもそもの土質、そしてその人の土に対する愛情の深さによって変わってきます。

ですから5年ですむ人もいれば、20年かかっても難しい人もいます。でも、愛情を持って土を世話し、よく観察を続ければ、道は見えるはずです。

20年かかる人は、どこかに見落としがあるのかもしれません。問題は、きちんと「自然」と向き合っているか、ということになります。

自然を取り戻す為に動いているに過ぎない

自然栽培では虫や病原菌の発現はその場においての異物性を排除するためのある意味、地球免疫体(掃除部隊)みたいな位置づけになっています。

通常は虫や病原菌、ウィルスについては敵対するわけですよね?

悪だと断定するわけですよね?

そしてそれを殺すことで対処することが今までの農業史ですし、殺すことによって生産性を上げていくという仕組みだと思うのですが、自然栽培の考え方は虫や病原菌が悪かったんじゃなかったんだと。

彼らはただただ、自然を取り戻す為に動いているに過ぎない。

人間が何か思惑を持って、自然を乱したと。

例えそれが肥料なり農薬なり効果はあったとしても乱したと、その乱れを自然界は嫌うんですね。

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それで元に戻ろうとするときに、彼らが働いているってことを自然栽培は説いたんです。

だから真逆の発想だから、みんな驚いて「なんじゃ!」って話になっていくし、発案者(岡田茂吉)が宗教家だったのですが、それもあって余計に色眼鏡で見られていた。

それが昭和の20年ごろの話です。

ーーーこの肥毒層を変えないと自然栽培は難しいのですか?

虫や病気は出続けることになるといいますね。

自然栽培の自然というのは自然の法則に則りましょう、というのが基本的な考え方で自然界の植物がなんであんなに元気よく育っているの?
その姿から、命の仕組みを学ぶわけです。

例えば異物が放り込まれると途端に虫や病気がでてきて、そして放り込まれていないところはそれがない。

というような比較論から、農地をこの仕組みをうまく利用して今まで入れてきているのだったらば、それを排除していくことが虫や病原菌から解放される一番の合理的な道だと説いているんです。

その排除する技術が重要になってきます。

土が肥えているか、いないかとか、荒れている荒れていないとかは別の次元の話で、それこそ世界どこでも土さえあれば植物は元気に生きることができる。

3つの条件を条件を満たすことができれば。

あとは、その条件によってそれを好む作物、好まない作物でも違ってきますし、多少石がゴロゴロあっても大丈夫だよって子もいれば、それなりに深い土がないと育っていけない子もいるし、と色々あるようです。

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kawana

河名秀郎(かわな・ひでお)

1958年東京生まれ。國學院大學卒業。

千葉県の自然栽培農家での研修を経て、ナチュラル・ハーモニーを設立し、自然栽培野菜の移動販売をはじめる。

業務用卸売り事業、自然食品店、自然食レストランなどの衣食住全般を統合した「ナチュラル&ハーモニック」を展開、また自然栽培に特化した個人宅配も展開している。

生産者に対しても自然栽培の普及を目的に設立した「自然栽培全国普及会」を運営し、日本各地、韓国にも赴き、各種セミナーを開催している。

自然栽培全国普及会HP http://www.jnhfa.com

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主な著書に「ほんとの野菜は緑が薄い (日経プレミアシリーズ)」「自然の野菜は腐らない (カルチャー・スタディーズ)」「野菜の裏側 ―本当に安全でおいしい野菜の選び方」などがある。

HPはこちらから⇒ オフィシャルサイト「ナチュラル・ハーモニー」

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