自然栽培のイチゴは腐らず枯れる(有機栽培との違い)

農産物に多量の農薬と肥料が使われているのが常識となっている中、イチゴの無農薬・無肥料栽培(自然栽培)は”最も難しい”言われてきた。

希望のイチゴ 田中 裕司 (著)

自然栽培の美味しくて安全なイチゴを安定供給する自然栽培農家・野中慎吾さんにお話を伺ってきました。

前回の記事はこちらから⇒どのようにして自然栽培のイチゴはできたのか?

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ーーー奇跡のりんごだと腐るじゃなくて枯れるっていうじゃないですか、このイチゴも枯れるんですか?

やはり枯れます。ドライフルーツみたいになって、ずーっとイチゴの香りがしますよ。普通はぐちゃくちゃになって腐るんです。

それはやっぱりチッソが多いと、ものが絶対腐る。

だから例えば自然栽培でも、チッソ過多になるようになってしまうと腐る方向になっていきます。

でも腐るといっても、肥料を入れてるよりは腐らないです。

だけど絶対枯れるかといえば環境によります。

例えば、イチゴの下の方に水がついているとしたら、さすがにそこからふやけてきたりするので、そこからカビが生えたりしてしまうことはあります。

基本的にはしっかりしていれば腐ったりはしない、まあ例外はありますが。春のイチゴだと結構な高確率で枯れていきます。

普通の一般栽培の話でもチッソを入れれば入れるほど、量がとれるんです。

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でも増えるんだけど質が落ちる。

その質というのが要は炭水化物の量で、純粋なデンプンじゃなくてチッソで混じりけのあるデンプンになる。

それが人はまずいと感じるんです。

チッソを入れると、ものが腐りやすくなる。ものを分解する。

だから自然栽培うんぬんだけではなくて、化学肥料を使っていても、例えば化学肥料をさーって使うとすぐ消えてしまいます。

消えた数日で植物体内の窒素を代謝しきってしまうと、意外とそいつは腐らなかったりするんです(笑)

そんなもんなんです。

だから植物の体内にどれだけチッソが入ってるかで全て決まってくるんです。

だからなんとか栽培だから、とかではないと思います。

無肥料で作れば他の栽培より確実にチッソが少なくて済むから、傷まないだろうなとは思いますね。

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一番大事だと思うのは無農薬で商品が作れること

やはり有機が一番痛むと思います。

有機はチッソが消えないですから、ずーっと残るんです。微生物の量を増やしてしまうから、いつまでも効いてしまう。

まあ、有機栽培でも自然栽培でも本当はなんでもいい。

一番大事だと思うのは無農薬で商品が作れること、です。

肥料を使っててもできるなら問題ないのだけど、残念ながら養分と病害虫の関係は明らかになっています。このルールは絶対あると思います。

だから自然栽培の方が、誰でも無農薬に達成しやすいと思うんです。

有機肥料を使うと逆に難しい。

有機肥料は非常に難しくて・・自分が計算して入れて、じゃあ次の年に同じ量を入れては・・だめだよね?

だって残肥というものがありますから。

だからそれを計算しないといけない。でもそれがどれだけ残っているかは正直わからないんです。それは予想でしかなくなってくる。

しかも入れたから今日効きましたっていったらそうでもなくて、雨が降った時には多めに効いてたりしていたりで、そこらへんが本当に計算上の事が起きているかわからない。

それだったらいれない方がいいんじゃないかな?って思う。

それでも土はできるから、肥料を入れなくても土はできますのでね。

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「いくら【有機】といっても、肥料選びを間違えると化学肥料以上にチッソ分の多い肥料を大事な畑にまくことになる。こうした畑で育つ農作物は病害虫の餌食になりやすい。

そして手におえなくなり、逆に農薬依存度を高めてしまう」

希望のイチゴ 田中 裕司 (著)

そして化学肥料はなんで有機栽培より腐敗するのが少なくなるかというと化学肥料は本当に養分としてやるんですね。

それが水に溶けて消えたら、微生物ががんばって動いて作った養分じゃないから、本当にサプリメントみたいなもんなんです、だから消えたら終わりって感じになってしまう。

微生物で入るのがいいんだけど、でも入れすぎちゃうとだめなんですね。

微生物でいれると、なんとチッソに炭水化物がくっついた状態ではいってきますから、化学肥料でやるとチッソだけをあげている事になってしまう。

そうすると入って来た時に実から抜く量が有機栽培の方が少ない。だからアミノ酸態チッソであげると味ができますよって事になるんです。

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アミノ酸態チッソが味を作ってるわけではなくて、アミノ酸態チッソで入ると結合させなくてもタンパク質の元になっているからそのまま使える。

だけどチッソだけを入れたら、チッソだけが入ってきたからCとHをここから抜かないとってことになって味が悪くなる。

チッソはチッソのままではダメなんですね、ちゃんとタンパク質の元にしないといけないから。

だからそれがあるので化学肥料のはどうしても味が悪くなってしまう。有機栽培のは美味しいというのはそういう事で、でも自然栽培のはもっとうまいんですよ。

なんでかといったらチッソもそもそもいれてないからなんですよ、その分、収量は減っちゃうのですが。

ーーー 一般栽培と比べてどのくらい減るもんなんですか?

イチゴの場合は半分くらいになってしまいますね、お米は2割くらいは減るかな。

ーーー自然栽培だとコスト的に農薬、肥料を使わないからその分は減ると思うんですが、収穫量も減るから価格的には高くなっちゃうんですか?

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高くせざるおえないと思います。農薬、肥料の金額よりも人件費のが激しいんですね、自然栽培だと。

だからそんなのが減ったところで単価を減らせるような話ではないんです。

例えば、草取りしないといけないじゃないですか・・

それがないから、例えばお米とかは自分のペースでやれるわけで、みんな田んぼにでていかなくても除草剤かければ一発で消せますので。

だいたい、高いなってお米でも既に赤字になってたりするんです。

上手になってきて草取りをしなくていいようになってくるとそれだけ経費がかからなくなってくるからそういう値段でもできるけど、やっぱり一俵3万円以上にはなってしまいますね。

農家に一俵3万円で、はいってこないと難しいと思います。

ただ目標としては無農薬(有機、自然栽培こだわらず)でちゃんと、みんなが夕御飯に料理として使えるように、それくらいの価格帯にうまく抑えて売っていきたいですね。

それにはやっぱり量が必要になってきます。量がないとやっぱり作業効率が悪いんですよ、それが全部価格にでるので高くなってしまいます。

でもそれは仕方ないところがあって、農業は産業構造上、人が雇うのが難しいからなんです。

だからそうなってしまう。

なのでそれを解決していく手を探していくのも大事なんです。

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自然栽培(無農薬・無肥料)の美味しくて安全なイチゴ

農業生産法人「みどりの里」(愛知県豊田市)

農場生産責任者 野中慎吾
障害者を農業の担い手として重視する「農福連携」にも力を入れている
ブログはこちらから⇒農業生産法人みどりの里ブログ

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