農産物に多量の農薬と肥料が使われているのが常識となっている中、イチゴの無農薬・無肥料栽培(自然栽培)は”最も難しい”言われてきた。
イチゴは皮をむくことのできない繊細なフルーツだ。
色んな病気、病害虫や雑草などからイチゴの実を守るため(それぞれ使用回数の制限はあるが)、収穫前日まで60品目の農薬が使用できる。
前日まで使用できる農薬の種類の多さに、「残留農薬」への不安はぬぐえない。
希望のイチゴ 田中 裕司 (著)
愛知県豊田市で自然栽培の美味しくて安全なイチゴを安定供給する自然栽培農家・野中慎吾さんにお話を伺ってきました。
ーーー元々自然栽培をやろうと思ったきっかけはなんなんですか?
きっかけは元々、国際協力をやろうと思ってたまたま農業に出会ってその農業が有機栽培だったのね。
なんとなく自分の中で無農薬でやろう!ってのがあったから、特に俺らの世代は農薬を使わない商品を作りたいよねって、漠然としたものが強かった部分もあると思う。
それを海外の方でも出していこうって感じで、NGOでやってたんだけど、有機栽培でフィリピンに挑戦しに行ったら・・・
全然ないんだよね有機物が。日本みたいに余ってなかったんだよ、フィリピンでは利用価値があってぜんぶ使っちゃうんです。(笑)豚の餌に使ったりで。
これはなかなか厳しいな~ってやってたんだけど、中々、形を作れずに戻ってきたんです。
もう一回やりたいなとは思っていたけど、このままじゃ負けるのは明らかだったし・・・
そこでNGOで有機野菜を卸していた、愛知県豊田市のスーパーやまのぶの山中会長(当時社長)に声をかけてもらい今のみどりの里をやっているんです。
「実はね、農業生産法人をつくりたいと思っているの。一緒にやらない?」(山中会長)
これには一つ条件があって、秋田で「自然栽培」のコメづくりを学ぶことだったんです。
その時はまだ自然栽培の事はまだあまり知らなくて調べると、種さえあればなんとかなるし、有機物いらないじゃんって感じでそこからですね、そこから続けているんです。
どっちかというと自分が楽しくてやっていて、自然栽培をやり始めたら新しいルールがでてくるんです。
これまで肥料が前提でしか農業が全然研究されてなかったから、だから肥料がなかった場合はどうなるの?ってのはあんまり研究されなかった。
イチゴすらやった人がいなかった。
ウチはお米からスタートしてるんです。なのでイチゴよりお米の方が広さはありますね。後は野菜もやっていて、全部自然栽培でウチはやっています。
無肥料の方が無農薬は楽なんです
ーーー本当にすごいですね。
あの、無肥料の方が無農薬は楽なんですよ。
手間も有機栽培よりもかからないですし、有機栽培が本当に難しいというか、あれは肥料入れてるんだから病害虫が来て当たり前みたいなところがあるんで、矛盾しちゃってるんですよ。
入れたほうが手がかかっちゃうので、入れないほうが収量がちょっと落ちるけど結局、最終的に自然栽培の方が量が取れてますね。
だからそういうのを考えるとちょっと収量が落ちても、手堅く自然栽培でやった方がみんなに美味しいのも届けれるし、規格外のやつでも味がそんなに悪くなかったとして加工に回せたりするのでね。
自然栽培は全体的にそういうことができるんです、要は畑に捨てるものが少なくなるんです。
ーーーやり始めた1年目は調子は悪かったんですか?
えんどうに関しては絶好調でしたね(笑)
ただイチゴは大変でした。イチゴは結局、そうゆうもんなんだよ土は!ってことがわかるまでが色んな無駄な仕事をいっぱいした。
肥料は有機栽培を2年間やったから、その時にどの植物に対しても肥料が無駄なんだってのがよくわかって、それでそん中でよかれと思って色々手を尽くすんだけど全部うまくいかなかった。
そうゆう中で、結局効果がある作業だけを残していって、そしたら花をとって花を何個にしてとか調整してた時もあったんだけど、やればやるほど全然うまくいかなくなっちゃう。
そこで何が一番良かったというと、ほっとけばよかったんですよ。
色々作業があって本とかでもこれやりなさい、あれやりなさいって書いてあるんだけど無肥料で作る場合はそれをやらないでいいパターンが多かったんです。
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農業生産法人「みどりの里」(愛知県豊田市)
農場生産責任者 野中慎吾
障害者を農業の担い手として重視する「農福連携」にも力を入れている
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