農業と福祉が連携し地域の課題を解決【全国にひろがる「農福連携」】

取材・文/加戸玲子 写真提供/自然栽培パーティ事務局

出典/季刊書籍『自然栽培』

全国にひろがる「農福連携」の動き

「農福連携」ということばを聞いたことがあるだろうか。農業と福祉が連携し、地域の課題を解決していこうという試みだ。

現在、国内の耕作放棄地は40万ヘクタールに及ぶといわれ、農家の後継者不足、人材不足が深刻だ。一方、障害をもつ人たちは地域のなかで働ける場所が少なく、福祉施設で得られる工賃もわずか。

自立した暮らしを営むにはほど遠い実態がある。障害者が農業の担い手になることで、これらの問題を改善しようというのが農福連携の考え方なのだ。

国としても農林水産省と厚生労働省が中心となって推進している。

そのなかで、自然栽培に特化した農福連携を展開し、注目を集めているのが「自然栽培パーティ」だ。

2015年に5つの福祉施設が集まって活動を開始し、翌年、「一般社団法人農福連携自然栽培パーティ全国協議会」として組織化。

同年11月には環境省主催の「第4回グッドライフアワード」で環境大臣賞最優秀賞を受賞し
た。その間、参加者は増え続け、2017年後半の段階で100施設に届く勢いだ。

「毎週2施設くらいのペースで参加申し込みがあります。学校や病院、企業、個人など、参加者の幅もどんどんひろがっているんですよ」と話すのは、リーダーとして全国を飛び回っている理事長の佐伯康人さん。

「パーティ」という名前には、田んぼや畑でパーティを開くように大勢でワイワイ、にぎやかに農業を楽しもうとの思いが込められている。その名のとおり、次々と人が集まってきているのだ。

自然栽培と障害者との親和性

自然栽培パーティが注目を集める理由はいくつもある。まず、慣行栽培よりも多くの仕事を生み出せること。

「百姓には百の仕事があるといわれますが、農薬や肥料を使わない自然栽培はコストよりも手間がかかり、細分化すれば千くらいの作業があるんです」と佐伯さん。

そのなかには必ず、一人ひとりの個性や特質を生かせる作業がある。そのため、多くの人に仕事を振り分けられるのだ。

自然栽培パーティでは、栽培だけでなく加工や販売を含め、障害者や高齢者、就労が困難な人など1万人に仕事を生み出すことを目標にしている。

自然栽培の作物は付加価値をつけて販売できるので収益率が高く、障害者のエ賃を引き上げられることも特長だ。

佐伯さんによると、就労継続支援B型事業所の全国平均月収が約1万4000円(*1)であるのに対し、自然栽培パーティ参加施設ではB型事業所で約5万円(*2)の例もある。

今後も栽培技術や加工・販売力をさらに高め、平均5万5000円の達成を目指している。

農薬や肥料を使わないので、それらの管理が不要な点も障害者に合っている。

自然栽培の田畑には、絶減が危惧される生きものたちも戻ってくる。そうした自然のなかに身を置いて得意な作業を楽しむうちに、表情が明るくなったり、服用する薬の量が減ったりする人も少なくないそうだ。

工賃が上がるだけでなく、働く喜びや生きがいを感じられることがなによりの利点かもしれない。

(*1)内閣府「平成25年版障害者白書」より。(*2)就労継続支援A型、B型、生活介護事業所を含むと約2万7000円(2016年のアンケート結果より)

※11月30日に、東京の八芳園で、自然栽培パーティによる「夢のディナー」が開催されます。詳しくはこちらから↓
https://shizensaibai-party.com/news/932


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youjo-labo編集部

養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。

 

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