TPPで国民皆保険制度が危なくなる

現在、TPP批准阻止のため、精力的に活動中の元農林水産大臣の山田正彦さんにお話を伺ってきました。

今回はTPPで特に問題とされている医療・保険について

前回の記事はこちらから→遺伝子組み換えで小麦をやるにあたって日本がターゲットである

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ーーー日本では農業が注目されていますがそれより医療・保険がやはり大きいですか。

やはり医療ですね。簡単に言ってしまえばアメリカみたいな医療になってしまいます。

医療・教育・農業は本来はビジネスであってはならないと思うのですが、医療について一番問題なのは、医療保険は政府は大丈夫だとそう言ってるじゃない?

確かに金融サービスの章に法律で定める社会保障制度はいわゆる民営化しないとなっているのです。

TPP協定では第11章「金融サービス章」には「締約国が採用し又は維持する措置であり、公的年金計画又は社会保障制度に係る法律上の制度の一部を形成する活動やサービスには適用しない。

ただし、公的機関又は金融機関との競争を争うことを認める場合には当該活動又はサービスについて適用する」とある。

それだけを読む限りでは、政府が説明しているようにあたかもTPP協定では国民皆保険制度は守られたかに見えます。

ところがその条文の「金融機関」が示すものとして、金融機関と言っても銀行だけはなくて、保険会社、証券会社、だから既にアフラックにも先端医療108種類の医療についても政府も医療保険を商品として与えているのです。

米国の弁護士に知人が多い事情通の苫米地英人氏に原文にあたって調べて頂いたが、苫米地氏も私と同様の見解でした。

「これでは国民皆保険は守られたではなく、外資の巨大保険会社に40兆円の市場を明け渡したことになる。

いずれ国民健康保険は交通事故の自賠責保険のようになって、米国のように民間保険会社との競争になってしまう」と。

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アフラックなどはこれから民間医療保険として混合診療、自由診療の分野、患者申出療養制度その中の自由診療の分野がこれから先どんどん大きくなっていきます、なのでそこにアフラックの医療保険が入ってくることになる。

郵便局もアフラックのがん保険じゃなくて医療保険を売るようになるんではないかと。

例えばあなたがたが月に5万円の国民保険を払っているならばアフラックがうちは3万円でいいですよと言ってやってしまい、

実際に国保に10兆円くらい国のお金を入れているので安く運営できているのです。

そこで内国民待遇、公平、平等でなければならないのでアフラックにも10兆円よこせと言うことになります。

国民健康保険

それで無理ならば国保にお金を出すな、となります、それで政府的には医療費を抑えたいので国保に払わなくなる。

そうなれば、5、6年後には現在の私達が負担している健康保険の保険料は米国並みになって現在の支払い額の2、3倍になっていくことになるのではないだろうかと思います。

25年前くらいはMRIも1台くらいしかなかったのですごい先端医療だったんです。

今では一回700円でできますよね?20年前だと1回7万円でした。

これから先の先端医療は保険が使えなくなる、いわゆる高い治療は保険がきかなくなってそうなると交通事故の自賠責保険と同じようになって、みんな民間の保険に頼るようになったら正にシッコの映画の世界と同じになります。


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マイケル・ムーア監督の『シッコsicko』(2007年)

米国では、救急車でERに運ばれても、加入している保険会社に連絡して保険会社の同意が得られなければ緊急手術もできない。

指を切断した患者が、医師から指1本で300万円2本繋ぐなら700万円かかると言われるシーン、入院費がなくなったお年寄りをタクシーで公園に連れて行って捨てるシーンなど、日本では考えられない場面が次々と出てくる。

さらに重要な部分がTPP協定の本文ではなく、日米間での公的医療保険に関しての附属文書にあった。そこには次のように書かれてある。

〇医薬品及び医療機器に関する透明性及び手続の公正な実施に関する附属書の適用に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の文書(概要)

附属書に規定する協議制度の枠組みの下では、両国政府は、附属書に関するあらゆる事項(関連する将来の保健制度を含む。)について協議する用意があることを確認

これを読めばわかるとおり、日本政府は今回のTPP協定で国民皆保険制度は守られたと言いながら、米国とは健康保険制度についても将来、民営化することを書面で約束したことになる。

その将来がいつになるかはわかりませんが、すでに混合治療、先端医療においては民営化は始まっているのです。

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山田正彦

元農林水産大臣、弁護士。日本ペンクラブ会員。1942年4月8日長崎県五島市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、新聞記者を志すが、結核だったことが発覚して断念。

司法試験に挑戦し、1969年に合格するも法曹の道には進まず、故郷の五島に戻って牧場を開き、牛400頭を飼育、豚8000頭を出荷するようになる。

その後、オイルショックによって牧場経営を断念、弁護士に専念し、主にサラ金問題に取り組む。

四度目の挑戦で衆議院議員に当選。2010年6月、農林水産大臣に就任。現在、TPP批准阻止のため、精力的に活動中。

著書に「アメリカも批准できないTPP協定の内容は、こうだった!」「TPP秘密交渉の正体」などがある。

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