予防医学の重要性を説き続ける医学博士・脳神経外科専門医「田中佳先生」にお話を伺っています。
ーーー最近、火傷したら温めるというブログが批判・炎上しているというお話を伺いましたが、どうお考えですか?
そうですねえ、まあ、批判の内容を見てみますと、殆どが、まあ、そうなのですが、「あり得ない」とか「非常識だ」という書き方ですよね。
これは「火傷には冷やす」という常識という名の固定概念が染み込んでこびり付いていることを示しています。
まあ、たいていの場合、、、そうなんですが、、、批判する人は実際にやっていないんです。
だから、一回やってみたらいいんですよ。やりもしないで批判をしてはいけませんね。無知をさらけ出しているようなものですからね。
身近な経験もあるでしょ?思いこみで使っていた言葉の意味が違っていたっていう。「相殺」を「そうさつ」って読む人は少なくないです。
「そうさい」ですけど、知ったときは恥ずかしいですよね。「他力本願」も殆どの人が「自分ではなく他人の力に頼る」という間違えた使い方をしていますでしょ?
「相殺の読み方」と「他力本願の意味」と「火傷に温水」の違いは、知っている人間の数が多いか少ないかだけじゃないですか。
知っている人が多いものが常識になっていく。間違えが広まれば、それが常識になる例が「他力本願」ですものね。
もっと極端にすると、日本人で「田中」を読めない人がいたら驚くでしょ?
ネットで調べたら「南足」という名字があるんですよね。読めないでしょ?
「きたまくら」ですって。たまげますよね。知らないってことは、そういうことですよね。
あ、話が逸れましたね。
私は奥さんで一回試しにやっています。ずっと火傷をするのを待っていたんです。自分は火傷をするきっかけが殆ど無いから。
で、ブログにもあるとおり、見事、綺麗に治りました。たまげましたね。やってみるもんですよね。できる範囲で、ですよ、これは。
まあ、昔ながらの冷やすのがダメとは言いませんが、対極なのか同種なのかということですね。
ーーーやっぱり温めた方が治りが早いんですか?
結果重視です。ホントに綺麗になります。水膨れもできなくて、早くて綺麗で何も起こらない。やった人に聞けばわかることです。水ぶくれもできませんでした。
どんな火傷にでもそうか?というと、それは分かりません。火事現場で大やけどを負った人を風呂に入れたら、余りの痛さに失神じゃあ済まないかも知れないですからね。
限度と範囲はあるんじゃないかなあと思います。あくまでも家庭内とかBBQでの「あつっ!」っていう程度の火傷の話にしておきましょうか。
そもそも、一つの事象に対して、たった1つの方法しかないという狭い了見は外してもいいんじゃないかなあと、常に思っています。
田中先生の実体験(許可をもらって転載しています)
ブログの記事「妻の火傷をホメオパシー的に対処してみた」より
或る日、妻が揚げ物をしていた。鶏肉にスイートコーンを衣につけ揚げる。娘の好きなおかずだ。
良く水切りをしたはずのトウモロコシが破裂した。右手を高温の油シャワーが襲う。家中に響き渡る絶叫。
台所へ行くと、右手を押さえ苦悶の表情で痛みに耐える妻。
冷水を!ではなくて、お湯を!
えっ?なんで?
説明している暇はない。ポットからお湯をボウルへ入れお風呂温度にする。恐がる妻に有無を言わせず手を入れさせた。
あーっ、痛い痛い!
我慢しろ! ぬるくなった、お湯追加。
え? それ、熱すぎるんじゃない?
いいんだ。我慢しろ。
しばし漬け湯・・・♨
どうだ?
うん、痛くない。
だしてみろ。痛いか?
痛くない。なんで?
なんでかは知らん。火傷にはお湯なんだと。
ふーん、、、
で、アルニカクリームを塗布。なぜアルニカ?それしか手持ちがないからだ。ケガにはアルニカ。
ふーん、、、
よくこんなこと知ってたね。
実は今日が初めてなんだ。
は?・・・・
結果が良くて良かったよ。
・・・・
良かっただろ?
うん。。。。
翌日、火傷をしたであろう部分を見ると、うっすらと赤味がある程度。痛みはなし。水ぶくれなどは皆無である。
その後、跡形もなく治癒した。本人曰く、こんなに跡形もなく早く治るとは驚き。今までの中で一番早く治った。
次に火傷したらお湯に入れるわ。と言っておった。(それなら軟膏も置いておかねばな)
ホメオパシーは同種療法。どんな同種療法が世間にあるだろうか?という授業で、二日酔に迎え酒、赤ワインのシミは白ワインで、白髪染めがついた地肌には白髪染めで、などがあるらしい。
そして、火傷にはお湯。まあ、昔から一部では実践されていたようなので、ホメオパシ「的」としている。
火傷に冷水だとその時は気持ちが良い。しかし、水から出すと痛いのでまた入れる。いつまでたってもジンジンと痛い。
ところが、お湯に入れると最初はかなり痛む。しかし、その内に治まる。
治まった後でお湯から出しても痛みはない。
入れられてしまった熱エネルギーを身体としては放出してしまいたいのだが、冷水だと封印してしまい熱エネルギーがこもり、温水だと発散できる!?
こんな説明で左脳人間が納得できるはずはないのだが、結果がすこぶる良い。ということで、理論などはどうでもいい。
お湯が良かったのか?アルニカクリームが良かったのか?その両方が良かったのか?
要素が2つになると分からない。
少なくとも、火傷にお湯は有効らしい。どの程度の火傷まで有効なのかは分からないです。
実験的にちょっとした傷に対してアルニカクリームを塗ってみているが、痛みが即消える。
これが不思議だ。その後の傷の治りも早い。効果重視のためか香りはない。というか、ちょっとくさい。けど、良くなるからいいわ。
これはドイツから買ったけれど、ネット通販ではいろいろ物色できます。
参考までに。田中先生のブログはこちらから⇒ 田中佳先生のブログ
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田中佳(たなか よしみ)医学博士・脳神経外科専門医
東海大学医学部を卒業後、同大学付属病院脳神経外科助手を経て市中病院にて急性期医療に長年携わる。
大学在任中に悪性脳腫瘍に関する研究にと医学博士を取得。
日本脳神経外科学会認定専門医・日本抗加齢医学会認定専門医。
現在は脳神経外科診療(保健医療)を行いつつ、予防医学の教育講演活動に取り組んでいる。
田中先生のサイトはこちらからどうぞ→ 田中佳先生のホームページ
主な著書に「あなたが信じてきた医療は本当ですか?」「発想の転換で元気に長生き 健康自立力」「続・健康自立力 ‐後悔しない治療の受け方‐」「健康の原点は食と腸にある!」などがある。
養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。