暑邪により必要以上の大量の汗と同時に【気】を消耗させてしまう

看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム タッチケアサービスさんによる連載コラムです。

月1回産後ケア連載コラム。今回は10回目を迎えました。

前回は中医学視点から観る【湿気&暑さに絡む皮膚トラブル】について書かせて頂きました。

→ 大量の汗をかくことで【津液】や【気】を消耗すると皮膚のトラブルに繋がる

今回は中医学視点から観る【残暑と産後】についてです。

今月はちょっと難しい内容かもしれませんがバックナンバーとお読みになられると内容が繋がって観えてくるのでぜひお薦めします。

今年の梅雨は雨らしい雨も少なく、梅雨の時期でも朝晩と日中の温度変化が激しかったことと湿気が多かったことを感じています。

そして梅雨明け前ぐらいから夜になっても温度が下がらず熱帯夜が始まりました。

日本は海に囲まれた小さな島で高温多湿が特徴です。夏の日本は暑さだけでなく湿度も気にしなければなりません。

自然界にある六気(風・熱<火>・湿・燥・寒・暑)の過剰・不足をきっかけに六気が邪気になり六淫(風邪・熱<火>邪・湿邪・燥邪・寒邪・暑邪)に変化し、体に悪影響を及ぼすことがあります。

夏は特に【暑邪】が出ます。これは火熱(六気の熱<火>)の気が変化したもので夏限定です。

この暑邪の特徴は昇散の性質があり、体の上部に影響を受けやすいものです。

体に侵入された火熱に対して人は汗を出して散熱しようとします。これをきっかけに暑邪が侵入して体を犯すと多汗になります。

そして汗を出し過ぎると中医学でいう体の基本物質(気・血・津液・精)の【津液】を傷つけ、必要以上の大量の汗と同時に【気】を消耗させてしまうのです。

【気陰両虚】

これを中医学用語で【気陰両虚】といいます。

そうすると、口の渇き・体が熱い・顔が赤い・尿が少ない・高熱・熱中症・だるい・疲れやすい・動悸・息切れ・食欲不振・意識が朦朧するなどとさまざまな症状が出やすくなります。

この暑邪は湿邪と混じることが多いのです。猛暑が続きその上雨が多く降ると熱が湿を蒸し動かす状態になり人の体の気を消耗させやすくなるのです。

暑邪・熱邪・湿邪の割合・ベクトルによって体に現れるサインももちろん違っていきます。

また暑湿によって胃熱を作りやすくなり口の渇きが増し冷飲冷食傾向に。

また暑さで汗をかくことからいつも以上にさらに冷飲冷食が増えていきます。

そうすると外からの湿(外湿)も内からの湿(内湿)も湿気を産み出すことになり、結果、体の基本物質を作り出す工場である脾胃(胃腸のイメージ)の消化運動が低下することに繋がります。

そうすると、脾胃の働きが鈍くなるため水を飲んでも吸収できず脱水症状になってしまう方もいらっしゃいます。

また暑邪は臓腑(五臓六腑・内臓のイメージ)の【心】気が奪われやすく心臓の負担が大きいのでご高齢の方は充分は配慮が必要となる季節です。

産後のママは出産という大仕事の後であること、母乳が始まっていること、寝不足が続くことで気血津液精を消耗しきって体力が落ちているため、そこに暑邪や湿邪を受けてしまうと体力の回復に時間がかかってしまいます。

栄養を作りだす脾胃の力を保つことと暑湿の対応をしていくことで産後ケアはサポートできていくと思います。

産後に限らず残暑まで暑湿を意識していくいことが大切と考えます。

暑邪によって気・津液を消耗しています。まずは気を補うことが大切です。気がなければ何もできないのです。

気を補いながら、暑さによって胃熱になっている胃をサポートすること。胃熱をとらなければもっと冷飲冷食を欲することになり秋バテに繋がっていきます。

夏野菜や旬の食材を必要なだけバランスよく取り入れて食べたり、日常生活の中にアロマの香りやタッチングを取り入れることで、この夏の暑さと湿気で体内に停滞している湿気を取り除くきっかけになり、何よりも脾胃のケアもでき産後の養生にも繋がることでしょう。

残暑の中、くれぐれも無理のないように自分のリズムで過ごすことができますように。

タッチケアサービス講座 中医学担当 山口恵美

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西洋医学・東洋医学両視点からのケアを深めるための講座を開催。現場に則した内容の講義講座や勉強会を行う。

クリニカルセラピストを目指す方、セラピストとして学びを深めたい方、また各療法家、医療従事者すべての方が対象で理論だけにとどまらず実践的かつ専門的に学んでいる。

また、様々なかたちで生活に取り入れやすいホリスティックライフ実践のための提案・ケアを一般対象にも行っている。

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