看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム タッチケアサービスさんによる連載コラムです。
中医学視点から観る産後~湿気&暑さに絡む皮膚トラブル~
月1回産後ケア連載コラム。今月は9回目を迎えました。
前回【産後から観る(湿気と産後)】を書かせて頂きました。
今回も引き続き【湿気と暑さに絡む皮膚トラブル】についての内容になります。産後に限らず中医学を知らない方でも読みやすい内容となっています。
7月は小暑を迎え(梅雨が明けるころ)、そして大暑(暑さが最高になるころ)を迎えます。
そして子どもたちは待ちに待った夏休みに突入です。
日本の夏は暑さだけでなく湿気も多いことが特徴です。
夏季にみられる※六淫の【暑邪】は火熱の気が変化したもの。
大量の汗をかくことで体の基本物質である【気血津液精】の【津液】や【気】を消耗してしまいます。いわゆる脱水症状的なイメージ。
また口の渇き・口内炎・発熱・尿が濃い・少なくなる・意識が朦朧・皮膚のトラブルなどといったことにも繋がっていきます。
梅雨時期は【※湿気(湿邪)>暑さ・熱(暑邪や火邪)】だったのに対し、夏本番に向けて【湿気<暑さ・熱】へとベクトルが変わっていきます。
※六淫・湿気の解説は前回の【産後から観る(湿気と産後)】をご参照下さい。
梅雨の時期は湿気の特徴が体に反応して顕著にでていたものが、今度は暑さの特徴が顔を出してきます。
湿は重い・だるい・下降に対して、暑は暑い・熱がこもる・上へ上昇などといったイメージ。なので体の上昇や皮膚の表面などに症状が現れやすくなります。(もちろんそれだけではありません。)
そして暑邪は湿邪と混じることが多いのです。
猛暑が続きその上雨が比較的多く降ると熱が湿を蒸し動かす状態になります。
そうすると体内に熱がこもりやすく湿気の影響で体外はもちろんのこと体内の水を含む老廃物などの水はけがスムーズにいかない状態に。
そのためイライラ・怒りやすい・睡眠にも影響・のぼせ・ほてり・目の充血・皮膚のジュクジュクした湿疹など。
そしてお子さんに多い手足口病も流行り出す時期ではないでしょうか。暑さ対策だけでなく同時に湿気対策も視野に入れて考えていくことが大切です。
この湿気は湿度が高くなると皮膚から汗がなかなか蒸発せず発汗がうまくいきません。
そうすると体の中に内湿がたまりやすく重だるさ・浮腫み・皮膚湿疹などといった形で体に症状として現れやすくなるのです。
しかも暑さに負けて冷房に頼り過ぎて毛穴を開かせるきっかけを失う。
暑いからといってついつい冷飲冷食に偏りがちにもなる。
ますます体を冷やし体内に湿を産み出し汗を発散させることができない状況に至るわけです。
この湿を裁いたり食べ物を栄養として作りだして分散してくれる源が脾胃(ここでは胃腸のイメージでとどめておきます)。
この脾胃は人間と同じく暑さによってバテ気味になると働かなくなります。
結果、食欲の低下・軟便・吐き気・めまい・頭痛・皮膚湿疹などといった形に。
どんなに水分をとっても脱水症状を起こしてしまう方は脾胃の働きが暑さや湿によってバテたり気が動かず停滞していることもあるのです。
皮膚トラブルは一年中あるもの。
個々さまざまな原因・症状がありますが根本的に共通しているところは【脾・胃・肺・腎】がとてもデリケートでアンバランスの方が多いように感じています。
特に産後の体は気血津液精を消耗しきっている状態です。
それらを作りだす大元の工場である脾胃のバランスが崩しやすい状況なのでしっかり整えていくことが大切です。
しかもこの暑さが加わることでさらに脾胃の働きを妨げてしまうのです。
また呼吸と深く関係している【肺・腎】のバランスを整えていくことで体内の湿気を発散させやすくしてくれます。
この暑さによって冷飲冷食に傾き冷房にたよっている日々。
脾胃の消化力が低下し、結果、体に湿が停滞し余計に皮膚トラブルを起こしやすい条件に。
そんな時こそ、アロマが入っているぬるめの足湯に入ってじんわり汗をかくことで湿を発散させるきっかけになり、枕元にアロマの香りをおくことで眠りの質を高め脾胃の活動のサポートに繋がり、結果、気血津液精の作りやすい状況になります。
暑さや湿気が多い時期にこそ、生活の一部にアロマの香りやアロマによるタッチングを取り入れることで暑さから解放され湿からも解放されるきっかけの一つになりますように。
タッチケアサービス講座 中医学担当 山口恵美
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