中医学視点から観る【産後の浮腫み】

看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム タッチケアサービスさんによる連載コラムです。

中医学視点から観る【産後の浮腫み】

月1回産後ケア連載コラム。早くも7回目となりました。

今回は産後に多い浮腫みを中医学視点からどのように捉えるか?というお話です。

あくまでも中医学視点のお話なので、西洋医学の理論理屈は頭の隅に置いて別物として読んで頂けると混乱が避けられると思います。

浮腫みは産後に限らず日本人に多いと感じています。それは何故だと思いますか?

最初に日本の特徴から考えてみましょう。

まず日本の地図を思い浮かべて頂きたいのですが他国に比べてとても小さな国で国全体が海に囲まれている国であることが理解できるかと思います。

それから衣食住を考えてみます。

衣はどうでしょうか?今はファッションを選択できる時代になり、真夏なのにブーツを履いてみたり、真冬なのに生足を出してみたり、あるいは重ね着がたくさん出来たりと。

良い意味でも悪い意味でも体に大きく影響を受ける時代ともなりましたが昔は着物が主流で通気性のよい服だったことがわかります。

そして食はどうでしょうか?海・山のものと自然豊かな国と感じます。海からは新鮮なお魚が手に入ります。

生で食べるお刺身は日本人ならではの独特な食べ方ではないでしょうか。

さらに住はどうでしょうか?日本の昔の家屋は窓が多く畳の部屋があり、換気ができる環境に造られていました。

現代に多いマンションについてはとても住みやすい環境である半面、通気性が少ないと感じます。

さて、これらのことから何が観えてくるでしょうか?

脾胃は【湿気を嫌い、乾燥を好む】臓腑である

日本は『湿気』が多い国であることが想像できるかと思います。そう『湿気』の影響を受けやすい国・人種とも言えるのです。

実はこの自然界の六気【風・湿・暑・熱・燥・寒】の一つである湿気(体に悪い影響を及ぼす場合は【湿邪】に変化します。)は【臓腑(内臓のイメージ)】の中でも【脾胃(胃腸のイメージ)】に大きく影響を受けやすいのです。

この脾胃は【湿気を嫌い、乾燥を好む】臓腑であるため『食欲の秋』と言われるぐらい、乾燥する秋になると胃腸は元気になってくるのはそういう理由からなのです。

日本人は脾胃がとてもデリートな方が多いのです。(もちろん個々の体質が違うためそれ限りではありません。)

そして、この脾胃は私たちがこの世にいのちを頂き産まれて亡くなるまでの間、心身共に育むための基本物質である【気・血・水(津液)・精】を作りだし、私たち人間は生かされています。

よく口から物が入らないと外側からどんないいことをしてもなかなか体調が回復しないと言われるのは耳にしたことがあるのではないでしょうか?

産後の体は出産によってこの基本物質を一気に消耗します。

そして、臓腑では特に【脾・腎】が影響を受けやすい状況になります。

子宮収縮しようと体が動き始めると同時に授乳が始まりさらに寝不足が始まります。

母乳はこの基本物質から作られていますし、寝不足によって、この基本物質の貯金もなくなってしまいます。

そうすると、栄養が作り出すのに間に合わず、結果、脾胃が疲れきって動けないことになります。

人はたくさん働いたり、動いたり、慣れないことすると疲れてしまって、何もしたくない。

体が実際に動けなくなってしまったりすることと同じように脾胃も同様に気が回らない、動けない状態になるのです。

その脾胃を動かして、それぞれに栄養を送り出すことや水分代謝などを含むすべてを動かす気の働きが低下してしまうことによって、浮腫みが起こりやすくなると考えるのです。

さらに湿邪の影響と生まれ持った体質によって、さらに脾胃がデリケートになっている方もいるため、産後に限らず浮腫みが出やすい方もいらっしゃいます。

またこの湿邪は自然界の他にも体内でも発生し体に影響を受けるという考えがあります。

元々脾胃繊細な方であれば、脾胃に必要以上の湿気を産み出してしまいます。

その停滞している水分が熱化したり、冷えたりすることで、アレルギーを起こしたり、浮腫んだりする場合があります。

そして、日本人はとてもまわりに気を使う。まわりの目が気になる方が多いようです。

これは日本の古くからの文化が影響し空気感を大切にする国・人種だからです。この気を使うことは、密かに体内の気血を消耗することに繋がります。

産後は気持ちをなるべくリラックスして頂き消耗しきっている気血をさらに消耗させないようにしたいものです。

その方法の一つとしてアロマがあります。

アロマの特徴である香りは気持ちをリラックスしてくれます。リラックスすることで呼吸が深くなります。

そうすると、臓腑の【肺・腎】が主に働いて体内の代謝ができるようになり、浮腫みも取りやすい状況に繋がっていきます。

香りとともに人のタッチングによって効果はさらに期待できます。

タッチケアサービス講座 中医学担当 山口恵美

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西洋医学・東洋医学両視点からのケアを深めるための講座を開催。現場に則した内容の講義講座や勉強会を行う。

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また、様々なかたちで生活に取り入れやすいホリスティックライフ実践のための提案・ケアを一般対象にも行っている。

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