大豆だけでできた超伝統的な方法で赤味噌作り【我が家の菌活】

シックハウス症候群などの原因となる有害な化学物質を使わない「無添加住宅」を開発した秋田憲司さんの連載コラムです。

「我が家の菌活」

最近、健康マニアの間で「菌活」という言葉が流行っていますが、それは菌を普段の食事から取り入れようという活動だそうです。

私はずっと以前から自然にいる菌を使って、いろいろな食べ物を作ってきました。

私の別荘は丹波篠山の山中にあり、そこで味噌や醤油を1回で4・5年分作ります。(味噌は65kg・醤油は40リットルになります。)

当然、我が別荘も漆喰空間でその中では有用菌以外はほとんど発生しません。

ですから、カビたところで食べられるカビなので腐敗という言葉は考えておりません。

私は大豆だけでできた赤味噌が好きなので、超伝統的な方法で赤味噌作りをしています。

まず大豆を4時間くらい水に浸して、それを6時間蒸します。茹でるのではありません。湯気に酸素が行き渡り、化学反応を起こして豆がチョコレート色になります。

その豆をつぶし、事前に作っておいたきなこと混ぜ合わせて、水分量をさげたおにぎり型をつくります。

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「きな粉づくり(石臼をひいているところ)」

それを暖かい床の上に置いて水と混ぜて仕込んでおきます。

水分を減らさないと、すぐに納豆菌がわいてしまうのです。ですので、きなこを混ぜて水分を減らす方法はわたしのアイディアです。

水分が多ければ、納豆菌がわきやすいという性質と、乾燥が大好きな麹カビの性質がわかっていれば簡単なことなのですが。

江戸時代は、きなこも混ぜずに囲炉裏の上で乾燥させてから熟成させていました。

塩水で仕込んだその味噌は、味噌と同じくらいの重さの石を積み上げて2年間待ちます。

そこに浮き出てきた真っ黒な汁が「たまり醤油」です。これは刺身に利用します。なんとも言えない濃厚な味がしますよ。

1年程経つと重石を半分以下にして、全てのたまり醤油を取ってもう一年待ちます。その間はいっさい混ぜたりなどはしません。

味噌

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現在食べているこの赤味噌は、もう仕込んでから6年経っています。

私はこの味噌を水で溶くだけで、出汁の入ったようなおいしい味噌汁となります。加熱によって、殺菌もせず生菌を摂取できるからです。実際は炊かないほうがおいしいですよ。

その味噌に本みりんと若干の酢をいれて、生野菜のタレにもしています。

スーパーなどで市販している味噌は殺菌をしてしまっているので、味の変化もないかわりに生きた菌もいません。

醤油は大豆と小麦粉でできています。6時間程茹でた大豆に、炒った小麦の粉をまぶして同じようにカビさせます。

それに塩水を大量に加えて、2年間おいて置くと熟成された醤油になります。

醤油は発酵途中に2・3日に一度、混ぜないといけないので面倒くさいです。表面に産膜酵母(さんまくこうぼ)がはびこると味が落ちます。

本当はこんなに手間がかかるのに、売っている醤油はなぜこんなに安いのでしょう。まともに作っているわけがないでしょうね。

我が家はこの醤油も加熱していません。少しくせはありますが、毎日をこれを使っています。

醤油を加熱すると、発酵途中に溶け込んだ発酵臭がとびますので、一般向けにはよいのでしょうが、慣れると発酵臭が私には全然わかりません。

たまに外食で一般の醤油を食べる時、極端に言うと塩水のような気がします。クセともいえる強い香りが、慣れればおいしいのでしょうね。

これが、菌が醸し出すエッセンスだと思います。

あまり詳しくは書いていませんが、もし言う通りに作って失敗したのに、これらの香りを勘違いし腐ったものを食べてお腹をこわしても責任をもちませんよ。

この発酵食品ができるのは天然の漆喰の空間です。

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秋田憲司

無添加住宅開発者「秋田憲司」

1959年、兵庫県西宮市生まれ。摂南大学工学部建築学科卒業。

ハウスメーカー、不動産会社の営業職を経て、実家の工務店を引き継ぐ。88年秋田ハウジング株式会社設立。

学生のころから探求してきた自然科学の知識を生かして、2000年シックハウス症候群などの原因となる有害な化学物質を使わない「無添加住宅」を開発。

01年株式会社無添加住宅設立。

「自然と共存する家」を基本に、誰もが健康に暮らせる住まいづくりを実践している。

無添加住宅のホームページはこちらから⇒無添加住宅

著作に「無添加住宅!―化学物質を使わない、世界でいちばん自然に近い家」「未来の家作りは、江戸時代に学ぶ。 「無添加住宅」の科学」など。

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