うみと大地代表 みんなの布ナプキン会議メンバーの石川ともえさんによる連載コラムです。
30年ほど前に抗菌靴下が発売されて以来、いろんな抗菌商品が発売されてきました。
抗菌下着、マスク、まな板や調理用品、手洗いせっけんに始まり、抗菌ボディーソープや、食器洗剤、洗濯洗剤に至るまで。
いまや、抗菌や除菌じゃないものを探すのが難しいぐらいですね。
抗菌、除菌って何?
抗菌は、微生物の発生・成育・増殖を抑制すること。
除菌は、対象物から微生物を除去すること。
共に、滅菌や消毒のように除去レベルが法律で定められているものと違い、除去レベルは各メーカーの自己申告制となっています。
抗菌剤には、①無機系(銀、銅イオン等)、②有機系(トリクロサンや塩化ベンザルコニウム等)、③天然系(ヒノキやカニの甲羅などを原料としたキトサンなど)があります。
これらを用途によって、使い分けているのです。
抗菌せっけんで手を洗い、抗菌洗剤で洗った食器で食事をし、抗菌ハミガキ、マウスウォッシュをつかい、抗菌ボディーソープで身体を洗い、抗菌洗剤で洗濯した抗菌下着や衣服を着て、その人の常在菌はどうなるでしょうか?
皮膚常在菌がへり、口腔内の常在菌も減り、抗菌剤が体内に入っていくことによって腸内細菌も減るといわれています。
その結果、病原体の侵入を許し、免疫力も下がる。その結果ちょっとの刺激でアレルギーを起こしたり、病気になったりしやすくなる。
また、菌は、そう簡単に全滅せず、薬剤耐性を持った菌に生まれ変わったり、生息場所を変えたりして生き延びるのです。
抗菌剤が川に流れると?
環境への負担はどうでしょうか。抗菌材の入った食器洗い洗剤や洗濯洗剤は、家庭の排水口から川へ流れていきます。
抗菌剤は、浄水場の浄化プラントでも浄化することが出来ずに、そのまま川に流出するといわれています。その結果どうなるか。
川の水にどんどん抗菌材が流れて、菌が住めない川になるのです。自然の生態系を壊すのです。プランクトンが育たず、小さい魚や貝が育たない。
環境問題や、私たちの食料問題にも関わってくるのです。
私たちは、私たちと共に生きるたくさんの菌ちゃんと共生して生きています。
これまでの記事でも書いてきたように、私たちは常在菌と仲良く暮らすことで、病原菌の侵入を防いだり、免疫力を発揮したりして身体の機能を保っています。
豊かな常在菌は、私たちの健康の源なのです。
洗剤メーカーのテレビコマーシャルなどによって植えつけられる、バイ菌の嫌なイメージにとらわれることなく、自分の菌ちゃんと大切にし、自分で感じ、考える習慣を持ちたいものです。
まとめ
抗菌商品を使うことで、常在菌等の菌環境が変わってしまいます。短期的な効果はあるかもしれませんが、長期的に見てはリスクの方が多くなります。
2016年9月のアメリカでの抗菌せっけん発売禁止でも、「耐性菌やホルモンへの影響等の健康リスクを引き起こす可能性を示すデータがある」と明言されています。
日光消毒や、熱湯消毒などの昔ながらの方法で除菌はできます。必要な時には、漂白剤などの殺菌作用のものも使えばいいと思います。
私たちと共にいる菌ちゃんを大切にすれば、身体の健康の為にもいいし、また流れ出る生活排水も安全だし、周りの環境にもうれしく、四方よしですね。
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石川ともえ
うみと大地代表 みんなの布ナプキン会議メンバー
20代の頃は、便秘、冷え症、肩こり、花粉症、アトピー性皮膚炎、うつ病と不調が多かった。
いろんな人と情報との出会いにより、ぐんぐん元気になった。40歳となった今は、その20代より体調もよく、体力もある!
なんと現役水泳選手時代のタイムと、ほとんど練習していない今のタイムが変わらない。高校生と肩を並べて泳ぐスイマーで、3児の母。
ブログはこちらから⇒ 健康院 うみと大地
養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。