身体に共生する菌と人間の免疫細胞のバランス

うみと大地代表 みんなの布ナプキン会議メンバーの石川ともえさんによる連載コラムです。


ヒトの体は、60兆個の細胞からなると言われていますが、一緒に暮らしている菌ちゃんはどれくらいいると思いますか?

皮膚にも、口や鼻の中にも、胃や腸の中にも、たくさん棲んでいます。

その数、1000兆個とも、数千兆個とも言われています。なんと、自分の身体の細胞の15倍以上の数の多種多彩な菌ちゃんがいるのです。

(わたしは、一緒に暮らす微生物のことを親しみをこめて菌ちゃんとよんでいます)

常在菌のすごい役割

たとえば、皮膚に棲んでいる表皮ブドウ球菌さん。

あなたの皮脂や汗をエサとして、暮らしています。そして、うるおいや酸性の物質を出しています。

あなたの皮膚にぴったりなオーダーメイド保湿剤です。

菌ちゃんのおかげで弱酸性に保たれたお肌は、アルカリ性を好むことが多い病原菌の進入を防ぎます。皮膚のバリアの役目を果たしてくれます。

表皮ブドウ球菌のおかげで、しっとりつやつやなお肌を保てるのです。

腸内にも、種類も数も豊富に菌ちゃんたちが棲んでいます。腸内細菌は、ずいぶん多くの人に知られてきました。

よい菌の代表ビフィズス菌もいれば、あまりイメージのよくない大腸菌もいます。海水浴などの水質検査で、チェックされるのが大腸菌。

でも、大腸菌がまったく腸内にいなかったら、分厚いステーキなどは消化できないのです。

赤ちゃんの腸には、乳酸菌が多くて大腸菌が少ない。母乳やミルクは消化できるけど、ステーキを与えたら、消化できなくて下痢になっちゃいます。

大腸菌も、私たちが食べ物を消化するために必要な仲間なのです。

腸内細菌のすごすぎる役目

食べ物を消化する

ミネラルの吸収を助ける

有害物質を分解・無害化する

ビタミンB12、ビタミンKをつくる

酵素や女性ホルモンの一部を作る

免疫力の安定や、NK活性(対癌免疫)をアップさせる

セロトニンやドーパミンを作る →幸福感のホルモン

悪玉菌の繁殖を抑える

腸のぜん動を活発にする など。

こうやって見てくると、「わたし」と思って見ているこの身体、実は、わたしだけの身体ではありません。

わたしの細胞の15倍以上の数の微生物が一緒に棲んでいて、ほとんどが、「わたし」以外の細菌の細胞で構成されているのですよね。

菌ちゃんは、消化吸収や免疫機能など、生きていくことに欠くことのできない、重要な存在なのです。

菌ちゃんたちがいて、わたしが普通に生きることができる。

菌ちゃんも、わたしから栄養や水分、快適な温度を与えられることで生きている。まさに、「共生」の関係です。

いろんな菌がいて、それぞれがいろんな役割を果たして、成り立っている複雑な生態系、いわゆるコミュニティが、「わたし」なのです。

この内なる生態系のことを、マイクロバイオームと呼んでいます。

マイクロバイオームと免疫

ここ10年ほどでこのマイクロバイオームの研究が進んできました。

身体に共生する菌ちゃんと人間の免疫細胞のバランスは、約20万年もかけて調整されてきたといいます。

その非常に長い年月をかけて、チェック機構やバランス調整システムをいくつも進化させてきました。健康な免疫系は、健全な菌ちゃん環境なしには成り立たないのです。

口の中の細菌が、歯周病に関係していることは皆さんご存じだと思いますが、腸内細菌叢もまた、さまざまな病気と関係しているのです。

消化管そのもの病気である潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がんだけでなく、アレルギー、動脈硬化、1型糖尿病、多発性硬化症など消化管以外の病気の発症につながることが明らかになってきているのです。

そして、クローン病や1型糖尿病、多発性硬化症などの自己免疫疾患が7~8倍に増えているのは、有益な微生物の減少と関係があると言われています。

現代は、抗生物質や保存料などの薬品や抗菌グッズを使うことによって体の中の菌ちゃんの構成が変化し、また生活が大きく変化したことによって身の回りの菌の多様性がなくなり、人間の接する細菌の種類が減っています。

アスファルトやコンクリートに覆われ、人が多いところは菌の種類が圧倒的に少なく、しかし限られた菌の数が多い、アンバランスな状態になっているのです。

一方、森や野辺、海辺など自然が豊かなところは、たくさんの種類の菌ちゃんがバランスよくいます。

土や植物や動物にいる菌ちゃんは、風に乗って、舞い上がって、空気中に漂う。

それが自然の空気。森林浴は、森のいい空気を吸う、すなわちたくさんの菌ちゃんを取り入れるところだと思っています。

氣がいいなと思う神社なども、豊かな菌ちゃん環境だと思うのです。思わず深呼吸してしまうのは、いい菌を取り入れようとしているのかもしれませんね。

自然界にいるいろいろな菌ちゃんを、少しずつといりいれて、わたしの中の生態系を豊かにする。

このことが、健康につながるし、美容にもつながると思います。そして、菌ちゃんが快適な状況でいられるように、環境を整えるのが、わたしの役目だと思っています!

そう考えると、菌ちゃんに優しい食事をしたいし、菌ちゃんに優しい洗濯をしたいし、家の中のものも自然にやさしいものになりますね。

見えない菌ちゃんを大切にすると、環境も、地球も大切にすることにつながりますね。

生まれる前、ほぼ無菌状態でいた胎児が、どのようにして多様な菌を得ていくのでしょうか?次回は、「健康な身体を育てる育菌子育てのススメ」のテーマをお届けします。


【素晴らしき菌ちゃんのセミナー】

腸内細菌と病気や免疫との関係、皮膚常在菌とアトピーなど皮膚疾患の話、菌ちゃんが、気分、感情、性格にも影響する話、育菌子育て、育菌の方法などヒトのマイクロバイオームを軸に、素晴らしい菌ちゃんの世界をお伝えします。

→ http://ameblo.jp/umitodaichi2012/entry-12252837103.html

【EM初めてさん出張講座】

EMや微生物の世界のこと、EMでできることの紹介(農業、畜産、建築、放射能対策、災害対策など)、家庭内での使い方(掃除、洗濯、電磁波対策など)、EMのふやし方などEMの基本をお伝えするコースです。

→ http://ameblo.jp/umitodaichi2012/entry-12243544948.html

【関連記事】

【「腸」を大切にすることが大切】菌の力でインフルエンザ・カゼの予防

身体も心も自由にする、脱パンツ健康法のススメ!

布ナプキン、月経血コントロールを「知っている」から「体験する」へ

石川さん

石川ともえ

うみと大地代表 みんなの布ナプキン会議メンバー

20代の頃は、便秘、冷え症、肩こり、花粉症、アトピー性皮膚炎、うつ病と不調が多かった。

いろんな人と情報との出会いにより、ぐんぐん元気になった。

40歳となった今は、その20代より体調もよく、体力もある!

なんと現役水泳選手時代のタイムと、ほとんど練習していない今のタイムが変わらない。

高校生と肩を並べて泳ぐスイマーで、3児の母。

ブログはこちらから⇒健康院 うみと大地

※【LINE公式限定】情報盛りだくさん!友達追加よろしくです。

友だち追加数

身体に共生する菌と人間の免疫細胞のバランス
この記事をお届けした
養生ラボの最新ニュース情報を、
いいねしてチェックしよう!
トップへ戻る