看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム タッチケアサービスさんによる連載コラムです。
【産後のメンタルとは?】
月1回の連載コラムです。今回4回目となりました。
先月の記事【中医学視点から観る産後の冷え】に引き続いたお話となります。
今回は【産後のメンタルとは?】について、中医学視点よりお話させて頂きます。
メンタルという言葉はかなり広範囲になりますが、ここでは、よく耳にする『マタニティブルー・産後うつ』といった産後の感情や精神状態をイメージされればいいかと思います。
このマタニティブルー・産後うつは、実は何も今の時代に始まったことではなく、中国の宋・明の時代にも産後のママの精神的な疾病が問題になっていたことが書物にも書かれているほどです。
時代背景は違えども、それだけ産後のママの精神状態を注意深く丁寧に大切に捉えていかなくてはならないことがおのずと観えてきます。
中医学では、気血津液精の物質と臓腑(五臓六腑)とそれらを繋いでいる経絡から人の身体はできていると考えています。
産後の身体は生命の誕生を迎えると同時に一気に身体の気血精が消耗します。そこに授乳が始まり寝不足が続くことで、さらに気血を消耗させていきます。
またこの時代、核家族化が進んでいることによって、昔に比べ育児やママの養生をサポートしてくれる人が身近に多くはありません。
初めての育児であれば、時間とともに育児の不安が募ったり、仕事復帰の準備も始めたりと落ち着かなかったり。
また2~3人目の出産であれば、上の子どもを見ながらの生活のため、さらに気血を消耗する結果となりやすい。
そして、その合間にスマホやPCなどと目を酷使。情報などに振り回されて脳も疲れてしまう。
目は臓腑の『肝』と深い関わりがあり、肝は一日の中でも特に夜中に活動し、血液を貯金し、身体の気の巡りの主導権を握るボス的な存在。
夜中にスマホを触って目を酷使していれば、貯金する前に血がなくなっていく。
しかも出産によって気血を消耗している上でのこと。
そうすると、身体はもちろんのこと、精神の方にも影響を受けやすくなっていくのです。イライラ・うつうつ・・・。
人によっては症状として現れることもあるでしょう。
私の祖母が『出産後、目を使うな!』とよく言っていたことを思い出します。
気血を補充するのには、睡眠が第一の薬となりますが、その睡眠も気血が充実していないと睡眠の『質』に影響を受けます。
例えば、よく夢をみたり、眠れなかったり、寝ているのに寝た気がしないなど。中医学では睡眠の『時間』よりも『質』を大切に考えます。
授乳や赤ちゃんの様子によって、この睡眠の『質』を充分に確保することは難しいですが、そのサポートの一つとして、アロマの香りを取り入れることによって、精神が落ち着くきっかけになります。
何よりもアロマトリートメントは優しいタッチングによって、人の温もりやアロマの香りによって、呼吸が深くなっていきやすくなります。
それは、ボス的役割の『肝』の気の作用に大きく反応しやすく、その結果、睡眠の質を高めていくことに繋がります。
そうすると、気血の補充に連動していくと考えています。
その香りもさまざまですが、ホッとできる香りがその人にとっての気の巡りの作用として効果を高めてくれます。
タッチケアサービス講座・中医学担当 山口恵美
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タッチケアサービス
看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム。出産直後の患者、延べ15.000件以上の症例等を保有。
西洋医学・東洋医学両視点からのケアを深めるための講座を開催。現場に則した内容の講義講座や勉強会を行う。
クリニカルセラピストを目指す方、セラピストとして学びを深めたい方、また各療法家、医療従事者すべての方が対象で理論だけにとどまらず実践的かつ専門的に学んでいる。
また、様々なかたちで生活に取り入れやすいホリスティックライフ実践のための提案・ケアを一般対象にも行っている。
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養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。