妊娠中のアロマの手軽な取入れ方【癒しと体調のリフトアップ】

看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム タッチケアサービスさんによる連載コラムです。

看護師・アロマセラピストさき先生にインタビュー

いつもタッチケアサービス・産後ケア講座の連載記事をお読み頂きありがとうございます。

中医学・解剖生理学から産後の心と体を読み解いてきましたがいかがでしたしょうか?

今回はブレイクタイムとして、出産を控えた看護師・アロマセラピストさき先生にインタビューをさせて頂きました。

妊娠中の身体の変化

ーーーご懐妊おめでとうございます!妊娠中の身体の変化で感じている事を教えて頂けますか?

(さき先生、以下S)先ず、妊娠に気づいたきっかけの一つはとてつもない気分の落ち込みでした。

どうしようもなく気分が落ち込み全てに嫌気がさすほどの経験は初めてで。

ーーーいつも前向きで明るいさき先生も体内で起きる大変動によって今までにない体調の変化や経験したことのない心の変化を感じたのですね。

(S)胃腸も半月程度原因不明の不調で、気付けばそれが悪阻でした。

妊娠による精神不安定と悪阻が原因とわかり、命が宿っていると分かった時は嬉しさで気持ちを持ち直し前に進むことができたし悪阻にも喜んで耐えることが出来たようにおもいます。

ーーー原因が理解出来た安心と何より命を授かったことで意識が切り替わったんですね。

自らの命に新しい命を授かる。気持ちは赤ちゃんにストレートに向かい母性も自然に開いていったのかもしれないですね。

(S)妊娠初期は、精神的落ち込みによる不安定より徐々に、無事に安定期に入れるのか、初期流産しないか、など胎児の発育に関する不安や無事誕生することへの念がとにかくありました。

自転車移動で訪問看護師をしており、肉体的負担が大きいことが胎児を危険に晒すのではないか、かといってこの働き方を急に変えることが難しい現状もあり、内心ひやひやしながら働いていたように思います。

自分と胎児に毎日「大丈夫だからしっかりママのお腹に掴まっていてね」とお腹をさすりながら話しかけていました。

しかし働いている時は仕事に集中するため、余計な心配や不安を感じず気分転換にもなっていた気がしますね。

食べ悪阻があったり、炊きたてのご飯の香りや香りの強いスパイスなどを受け付けなくなってしまったり。。

とにかくさっぱりしたくて柑橘系の一口大のこんにゃくゼリーやカリカリ梅が手放せなかったです。

それまでお酒は好きでしたが一切飲みたいとも思わなくなりました。

体に関するセルフケアに関しては余裕がなく柑橘類の果物の香りに癒される程度でしたね。

ーーー妊娠初期の用心したい気持ちや悪阻を抱えながらのお仕事、心身ともに大変でしたね。

同時に気分転換にもなったのですね。柑橘類は妊娠中の強い味方!嗅覚と味覚は繋がっていますよね。

(S)妊娠中期、5ヶ月に入るころには悪阻も治まって精神的にも上向きになってきました。

お腹が大きくなってくるにつれ母親になる、子どもがお腹で生きていて成長していると実感してくるように。

お腹が大きくなるほどに子どもへの愛しさが増したように思います。

ーーー体も安定してくると心も安定してきますよね。丸くなっていくお腹はまるでお母さんのあたたかくて柔らかいまんまるの愛情そのもののよう。

自然のしくみってなんて巧妙なんでしょう!

(S)気持ち的に余裕が増えてきての影響か、仕事も自分らしくしようと思えるようになりました。

一生懸命成長しているお腹の子どもから、無理しちゃいけないというのは自分のためではなく子どもの為の責任だと思えるようになったかな。

働きながら妊活、妊娠、出産や育児まで行う権利のある女性としての働きにくさのようなものを体感することもでき、わからないながらに社会について、初めて考えてみたりするきっかけにもなったように思います。

ーーーライフステージの変化から見える世界ですね。そこには女性として社会人としての学びがあったということでしょうか。妊娠したからこその気づき、お腹の子供からのメッセージとも言えそうですね。

(S)私は妊娠中期に行う子宮頸がん検診で軽度異形成という細胞が癌化する可能性のある段階の初期にいることが判明し、寝耳に水の衝撃を受けました。

「軽度異形成の段階では、癌化するのは通常早くて5~10年くらいですよ」と医師に言われて。

医師は慰めのつもりで言ってくれたのかもしれないけれど、私はそれを聞いて瞬時に、もしかしたら5年しか子育てできないのかもしれない等、生と死についてを、他人事ではなく自分の事として切実に対峙するように。

自分が癌で死ぬことよりも、母親との思い出が5年程度しかない子どもと、働きながら子育てをしなくてはならなくなる夫を遺すことを想像したら、その事の方が怖くなり毎日神様に祈る気持ちで一分一秒でも長く子供と夫と生きられますようにと願いました。

私の現状を知ってか知らずか、定期健診ごとに順調にすくすく育つお腹の子供に元気づけられることが何よりの喜びで。

とにかく自分の予後がどうなるかより、今こうして子どもと一心同体で生きていることに集中して大切に過ごそうと。

そうするうちに胎動を感じ始め、母親になる喜びや覚悟が日に日に強くなっていくことを感じ、生きる事を大切にしたいという事を具現化するために、食べ物も丁寧に美味しくたべるよう心掛けました。

お風呂にもゆっくり浸かり、少しずつ無理ない範囲でストレッチなどして心地よく過ごすよう心掛け、友人と他愛ない会話を楽しんでマタニティライフを満喫できたように思います。

(後期の再検査の結果、子宮頸がんの疑いがなくなり、一先ずほっと肩を撫でおろした事も強く記憶に残っています。)

ーーー命とは生と死、両方が存在してこそ成り立つもの。癌検査の結果と妊娠。更に深く命に向き合う時間になったのですね。

心身は連動、ステージに応じた適切なケア

(S)お腹が大きくなると皮膚の乾燥と痒みが目立ってきて、妊娠線の予兆かもしれないと、毎晩保湿しました。

仕事と家事とをこなし、非妊娠時より疲れやすい身体でじっくりボディケアする余裕がなく、手早くとにかく保湿するような感じでした。

とにかく手早く使用できるものがより良いと思いました。

妊娠後期は、日に日に胎動が大きくなり、性別も確定し、産後のイメージを膨らませながら日々を過ごすようになりました。

仕事も一旦退職し、週一回のパートタイムへ。

時間と心にも余裕が出来てきた反面、大きくなるお腹やバスト、増え続ける体重、腰痛や肩こり、眠りが浅くなり、また妊娠性の手根管症候群による手の痛みと痺れなど身体面での苦痛を伴うように。

仕方ないとは思いつつ、変化するボディラインに落ち込むこともありました。

ーーー子宮はもう腹腔部のほとんどを占めますからその圧力だったり、日々大きくなっっていくお腹を支えるための体のバランスが変わったりで身体面の負担はピークですよね。

(S)食事管理やマタニティヨガ、散歩などにも取り組みました。

変わっていく体調に対してマッサージの気持ちよさもより一層感じられるように。

産前産後の母体のケアがもっと当たり前のように充実した世の中であってほしいと思いました。

妊娠後期はとくにお産に向けて筋肉を緩め余計な緊張を解放する練習も大切だと感じました。

呼吸ひとつにしてもとにかく深くゆっくり丁寧に、マッサージも同じようにゆっくりじっくりとしたタッチで触れられることをより心地よく感じました。

ーーー心身は連動していますから、心身両面に響くケア、ステージに応じた適切なケアは欠かせないですよね。

(S)お腹の子どもとも、お腹を触ることとキックしてくるコミュニケーションを楽しめるようになり、対面できる日をイメージしながらお腹に語り掛けていたら自然と逆子が30週には戻ってお腹の張りも楽になりました。

私のお腹にいるのは、まぎれもなく私とは別の一個人で、彼女自身の意思でお腹の中を過ごし、回転することを選んだのだなあと感心したりも。

だから私は一個人として、回ってくれてありがとうと語り掛けて、外の世界は楽しいから怖くないよとお産まで子どもに語り掛けることに。あわよくば安産を期待しつつ。。

ーーー気持ちもそして体もお産に集中し始め出産に備えて柔軟性が高まっていったのですね。

人によってはその反対の気持ちにもなりますが、そんな時こそ、そっと寄り添ってくれるケアをどこでも受けれるようになるといいですよね。

妊娠中、アロマの手軽な取入れ方

ーーー妊娠中に印象に残った精油はありますか?

(S)妊娠中の体調の変動に個人差があるように、精油に対する印象の個人差はきっと大きいと思います。

これはあくまで一個人の意見ですが、初期から後期を通して、心身の状態をリフトアップしてくれたのは柑橘系の精油。

オレンジスイートやマンダリンは興奮を抑えてくれて、安眠の手助けをしてくれましたし、グレープフルーツは爽快感を与えてくれ食欲を抑えてくれました。(プチグレンは個人的に青臭さが鼻についてしまいました。)

ネロリは穏やかに優しくさわやかな気持ちに。

セラピストとしてクライアントにふれながら、自分自身もネロリに癒されていましたね。

ーーーやはり柑橘系は妊産婦の味方!柑橘系精油の芳香は是非みなさんにも活用して頂きたいですね。

精油を使用しなくとも、オレンジやグレープフルーツの皮を剥いた側から拡がる芳香を吸って頂けると素晴らしいリフレッシュになるはず。

ビターオレンジの花から抽出されるネロリは豊かなフローラル調の温和で優しく鎮静的に人を元気づけとても有益で重宝する貴重な精油になると思います。

(S)初期と後期では女性ホルモンの変動の影響もあるため、香りの感じ方に変化もありました。

初期には推奨されないジャスミンは個人的にも初期には重苦しい濃厚な甘みを感じ気分がよくなかったです。(あまり良くないが実験的に初期に吸入してみました。)

しかし後期になるにつれて、ジャスミンやローズなど華やかな甘みのある香りがとても心地よく感じてきたのを感じました。

真正ラベンダーは初期から後期を通して心地よかった香りです。

自分で香りを試してみて、そのときのありのままの心身状態で心地よいと感じる精油をセレクトするのがベストだと思います。

また、体への影響を加味すると、やはりアロマを取り扱う信頼できるお店のアドバイザーさんに助言を受け妊娠各期に適したものの中から選ぶのがお勧め。

あくまでアロマは自己責任で楽しむべき自然療法であり、無理ない範囲で癒しと体調のリフトアップを目的とすることを忘れないで楽しんでほしい。

怖がり過ぎるとせっかくのアロマを手に取れないことになってしまうのはもったいないので怖がり過ぎないで手に取ってほしいです。

ーーー妊娠中の嗜好は、嗅覚、味覚とともに変化が大きいですものね。

是非信頼出来るお店のきちんとした精油を手に取って頂き、自分の嗅覚を頼りに体が求める精油を選んで頂けたらいいな、と私も思います。

それは、いい香りだな。心地いいな。と肯定的に感じる香り。基準内で心地よく芳香浴を楽しむのであれば怖がる必要はありません。

ーーー妊娠中、アロマの手軽な取入れ方を教えてください。

(S)妊娠期はとにかく手軽に手短に取り入れられることが負担にならないで継続できるポイント。

継続してアロマを生活に取り入れることで安定した妊娠生活の手助けができます。

ディフューザーでの拡散、ハンカチに滴下する吸入、沐浴や足浴などで取り入れれば手軽に香りを楽しむこともできるし、悪阻や浮腫みや不眠などの手助けにもなります。

マッサージの際に精油を使用してもより効果的なマッサージにもなりうるため、余裕があればぜひ試してみて欲しいです。

ーーー手軽な取り入れ方を知っておくと、育児も加わり忙しくなる産後にも役立ちますよね。
さき先生、ありがとうございました!無事のご出産祈っておりますね。

(※さき先生はインタビュー後の4月に3352gの元気な女の子を無事にご出産されました。)

文責:高澤・萩原

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看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム。出産直後の患者、延べ15.000件以上の症例等を保有。

西洋医学・東洋医学両視点からのケアを深めるための講座を開催。現場に則した内容の講義講座や勉強会を行う。

クリニカルセラピストを目指す方、セラピストとして学びを深めたい方、また各療法家、医療従事者すべての方が対象で理論だけにとどまらず実践的かつ専門的に学んでいる。

また、様々なかたちで生活に取り入れやすいホリスティックライフ実践のための提案・ケアを一般対象にも行っている。

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