腸は精神状態(心理的要因)の影響をとても受けやすい【産後便秘になる要因】

看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム タッチケアサービスさんによる連載コラムです。

「会陰切開と産後の便秘」

出産はとても大きなエネルギーを要する大仕事です。

その為、産後は様々な症状が出やすい時でもあります。

なかでも出産後、便秘で悩まれる方が多くいます。

便秘になる要因も色々ありますが、その一つに会陰切開によるものがあります。

今回はその会陰切開と便秘の関係についてお話していきます。

~会陰切開とは~

出産がなかなかスムーズに進まない時、赤ちゃんへの影響や母体への負担を少なくするために膣と肛門の間にある会陰部を切開することをいいます。

会陰切開を行うケースとしては、赤ちゃんの頭が大きい時や会陰の伸びが悪い時、会陰部裂傷の恐れがある時などがあります。

大きなリスクが考えられる第3度以上の会陰裂傷を防ぐために行うことも大きな要因になってきます。

ちなみに会陰裂傷とは、出産の際に会陰部が裂けたり切れてしまうことで、会陰裂傷は症状の程度により1~4段階に分かれています。

ほんの少しのかすり傷のようなものから、3度裂傷は肛門括約筋の断裂、4度は直腸の粘膜まで損傷した状態を指します。

3~4度の裂傷はダメージが大きく、大きな手術を要します。

3~4度の裂傷はごく稀ですが、のちのち後遺症が残る可能性も否定できず重度の裂傷を防ぐ目的という観点からも会陰切開が選択される場合があります。

~会陰切開と便秘の関係~

産後便秘になる要因は様々ですが、要因の一つとして考えられているのが腹筋です。

妊娠中に大きくなったお腹は、腹筋が左右に移動し産後お腹が緩んでしまうため、一時的にお腹に力が入りにくくなり便秘に繋がりやすくなります。

また、その他にも運動不足による筋力低下や腸蠕動運動の低下、母乳分泌による体内水分の不足、生活リズムの変化があります。

しかし、実際産後の女性からよく聞かれるのは「傷が痛くて力を入れられない」「縫ったところが開いてしまいそうで心配…」と訴えられる方がたくさんいます。

実は私自身も裂傷がひどく傷が開くことはないと分かっていても、違和感が続き排便するのが不安だった事を今でも覚えています。

生理的な要因はもちろんのこと、腸は精神状態(心理的要因)の影響をとても受けやすいとこでもあるのです。

傷が心配…力を入れられない…などの不安や心配による心理的要因の影響は大きく、腸の動きにも影響を与えてしまう恐れがあるのです。

~自律神経とタッチング~

便秘を改善するには適度な運動や食事からのアプローチはもちろん大切ですが、実は自律神経の働きがとても大切なカギになってきます。

普段産後の女性に足のアロマトリートメントを行っていると、トリートメント中からお腹の動いている音が聞かれたり、「お腹が動いてきました」と言われる方もいます。

お腹ではなく、足のトリートメントなのになぜ腸の動きが活発になるのでしょうか。

人はリラックスした状態や休息の時に、自律神経である副交感神経が優位な状態になります。

副交感神経が優位になると、胃や腸の動きが亢進され動き出してくるのです。

忙しかった仕事がひと段落した後や、緊張状態から解放された時、急に空腹を感じたりお腹がグーとなったりする経験がある人も多いと思います。

フッと心が休まり、力が抜けた時に副交感神経が優位となり、腸の動きが促進されることで起こる現象なのです。

優しいゆっくりとしたリズムで行うアロマトリートメントは、自然と深いリラックスに導いてくれます。

そして深いリラックスはまさしく、副交感神経が優位な状態へとつながっていくのです。

産後のアロマトリートメントは、産後乱れがちな自律神経を整えるきっかけにもなり、落ち着かない気持ちも整え、体のちょっとした不調に働きかけてくれるのだと思います。

現在、会陰切開は必ずしも行うわけでなく必要な場合にのみ行うことが当たり前になってきています。

会陰切開はできればしたくないと思われている方がほとんどだと思いますが、出産の流れの中で必要になってくる場合があります。

また、切開をしなくとも会陰裂傷になる場合もありますし、裂傷もなく切開を行わなくても出産により会陰部が伸びたりすることでしばらく違和感が続くことも考えられます。

妊娠中から医師や助産師さんから会陰切開についての話を聞き、理解を深めておくことはとても大切ですし、過度な不安も少なくなるでしょう。

また、自分はこうしたいという思いや考えを予め伝えておくことも良いかもしれません。

産後は色々な症状とともに、心と体の変化に気持ちがなかなか追いつかない事も多くあります。

そんな時こそ、ほんの少しでも自分に戻れる時間を大切にしてほしいといつも思っています。

そして、新しいいのちを迎えた時だからこそ、自分自身を思い慈しむことが未来につながります。

タッチングを通し、これからもそっと寄り添えるお手伝いが出来ればと思っています。

中医学からのバトンを受け、6回にわたり解剖生理学からみる産後について連載を行ってきましたが、今回でひとまず終了となります。

次回からはまた違う視点からの連載になりますので、引き続き楽しみにしていただければと思います。

タッチケアサービス 館山 亜希

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看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム。出産直後の患者、延べ15.000件以上の症例等を保有。

西洋医学・東洋医学両視点からのケアを深めるための講座を開催。現場に則した内容の講義講座や勉強会を行う。

クリニカルセラピストを目指す方、セラピストとして学びを深めたい方、また各療法家、医療従事者すべての方が対象で理論だけにとどまらず実践的かつ専門的に学んでいる。

また、様々なかたちで生活に取り入れやすいホリスティックライフ実践のための提案・ケアを一般対象にも行っている。

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