三州三河みりんの伝統を守り続けた角谷文治郎商店

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本格みりんとみりん風調味料の違いとは・・
安売りの背景 前回の記事はこちらから☟ 角谷 ぶどう糖をお米ではなくいわゆるとうもろこし由来のぶどう糖で置き換えをし...

養生 三河みりんさんはいつから有機をつかわれているんですか?

角谷 有機の前に本格みりんなんですが、ここ三河には伝統的に200年を越える長い歴史を持ったみりんの良さ、いわゆる旧式みりんとゆうものが存在するから、しかも私たちはみりん専業者として焼酎づくりからみりん造りをするんです。

まあその時すでに焼酎を自社生産するみりん屋ってのはほとんどいなかったんです。アルコールを仕入れてそこからのみりん造りのがほとんどだったんです。

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養生 元々は粕取り焼酎でやっていたところが多かったんですよね?

角谷 粕取り焼酎を使ってやっていたのが、手間がかかるな~、また焼酎の匂いがお客さんから嫌われるというのは逆におとなしい香りのものが主流になっている中で、旧式焼酎を使っていたみりんというのはちょっと一癖あるなと。

プロの中で使いこなせていただければ、これに変わるものはないんだけど一般受けするアルコールの方がいいよ!とみなさんどんどん変わっていったんですね。

そんな中で僕らは焼酎造りからみりんを造る、しかもみりんの本場で唯一の業者になっちゃったから・・

養生 周りも本格みりんではなくなってきたんですね?

「我が道を我が信ずるものを残していく」

角谷 そうなんです。うちが残さなければ記録の中でしか、歴史の中に埋もれてしまうということで、広告塔でもいいから本格みりんを残そうと思ったんです。

あともう一つ機械化が進む中で伝統的な造り、手作業、昔の道具でつくる方法をちゃんと見ていかないといけないなと、、

まぁ、ただそうは言いながらもいつまでも木や竹の道具に頼っていてはいけないんで、世の中オートメーションしていく中で、うちの従業員だけは肉体労働ってわけにはいかないんでね、

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養生 それは続けれないですもんね。

角谷 動力のついた道具に変えていかないといけない中でやっぱり結果を確認できる伝統的なものが必要だったんです。そのために本格みりんを残したのもあったんですね。

私たちは三河の伝統的な造りと言うことで現在でもラベルに使っているように、三河みりんと言う、当初からこのラベルでやってきたんです。

オヤジがいるときには地元の同業者もあまり言うこともなくおとなしかったんですが、親父が亡くなったとたんに角谷だけが三河みりんで出すのはけしからん!となったんです。

自分たちが過去に置き去りにしてきた物を、私どもだけが使うのはけしからんと。

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ただそれに対して私は伝統的な造りのみりんと言うものを残していくためにやってる事であってみなさんがその存在を認識するなら私ども一社ががんばってやるよりも、

共同のチカラでやった方が説得力がますから統一ラベルで、統一名称で外に共同の力でやりませんか?と逆転案をしたんです。

原材料、製法、貯蔵熟成の期間等、品質に関わる部分をきちっと決めたうえで共同のチカラでやりませんか?としたんですが、逆に否定されたんです。

そんな事できっこないと、加えて糖、アルコールを使わないみりんなんて高くて売れっこないとさらにアルコールを使ったほうがクセがなくて、焼酎をつかうと、その焼酎の独特の香りがありますから・・・

それが料理の風味を損ねると言うことで、伝統的な旧式みりんを全否定されてしまったんです。(笑)

養生 (笑)ほかの業者さんも元々はそのやり方でやってたんですよね?

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角谷 もちろんそうです。いわゆるさらに上のトップメーカーの追っかけを始めてしまってるから、そう言う状態だったんです。

これはとても話が前に進まないなと言うことで終わったんですが、そして1年経ったら私どもを外して他の業者(その当時6か7社)が統一ラベルで出したんです。

養生 えっ

角谷 私どものみりんに対抗する形で、やりだしたわけですよ。

養生 それは売れるとわかったからなんですか?

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角谷 それは売れるとわかったと言うよりも角谷だけにみりんが一人歩きをするのはけしからんと言う事だったんではないかと思います。

ここで面白い事がでてきたんです。売るものができたら営業のみなさんはお客さんのところに紹介してまわるんですよね。

そしたら少しずつごまかされてきたお客さんにこれはいいねと声がでたんですね。

そうすると、準大手、あるいは規模の小さな業者さんが共同のチカラでやっていくよりも売れそうだからこれを自分でやりたいなと自己ラベルを作ってやりだしたんです。

私どもを外して、小さな業者さんも含めて共同のチカラだとやりながら小さな業者さんは今度は置き去りにするわけですよ。

ただ私どもに対抗する為だけに頭数を揃えただけの事だったんですね。

そこには地域で盛り立てていこうと言うのはなかったんです。

私としては15年、20年遅れてやっとこの本格みりんのよさがわかってくれたなーと、追っかけがあるほど力強い事はないですからね。

養生 そりゃそうですよね。

角谷 一人いつ道が行き詰まりになるのかわからない心細い思いしていたのが・・

養生 やっぱり不安な気持ちはあったんですか?

角谷 それはそうですよ。まったく新しいプライスゾーンで、まあ40年代は一番売れているものが一番いい物だと言う思い込みは当たり前の時代でしたから。テレビや新聞、雑誌で広告もできないのは良くないと。

いわゆるナショナルブランド全盛の時代だったんです。

その時代の中にあって、昔ながらの伝統的なやりかたを残していくのは、しかも高いと言うことで良いと言うのはわかっているけどなかなか売れると言う状態まで進んでなかったんですが、

同業者から追っかけがでてくると言うのはそれだけわかってくれるお客さんがいるって事なんですね。

そんなことで本格みりんをずっとやってきて、それを私どもはお使いしていただいだお客様がお客様をご紹介していただく形で広がってきてました。それが同業者の方にとってはあの~

養生 悔しかったんですね。

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角谷 そこから僕らは、大手さんが後ろからついて来てくれるので後ろを振り向かなくていいねと、我が道を我が信ずるものを残していくだけだと。

こうゆう醸造製品と言うのは原材料や製品、記録の中に書いてある通りにやったとしても人のカラダに付いてきた技と言うのはぬけるんです。

あるいは設備はどんどん変わっていきますから、その中で設備が変わった事によって気がつかない変化が当然あるわけです。

だからそういった物が、追っかけてくる方達は比較しようにも比較するものがないから、それが私どもがずっと使い続ける中で品質的にもみなさんに喜んでいただける物になってきたんです。

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