家庭でドイツ自然療法や手作りの暮らしを実践しながら、自然からの癒しを探求されている森 Wenzel 明華(さやか)さんによる連載コラムです。
「人間って生と死は誰にでも訪れるものじゃないですか・・・はじまりというか、終わりというか・・・」
「それで、わたしは看取りのドゥーラを目指しているんです」
看護師のYさんとターミナルケア
(死期を間近にした人たちの看護)に関わっておられるRさんが、ホームステイに来られたのはまだ3月の初旬。
まだハーブもお花もない寒い季節に来てくださって、でもって天気
でも二人の存在がぱぁっと明るく、(ちょっと年上のお母さん しかも男子の母という共通点もあり)こどもたちとも気さくに、「気長に」ゲームしてくださったり・・
いろんな話を聞いたり、してくださったり・・・・
まるで春が運んできた風と野の花のように感じました。
おふたりとは、あちこち農場へ行ったり、近所に散歩にでかけたりして、さまざまなことを反対に教わりまし
わたしはこどもが小さい頃の病気もあって「死」を身近にしながら
それが別に悪いというわけでも、いいというわけでもないのですが
死は避けるもの、とかなんだかタブーみたいなそういう社会のイメージにものまれていたところがあったなぁと反
そして・・・死というものは、いつかは、そして誰もに平等に訪れるもの
○看取りのドゥーラ○
バーズドゥーラというのは聞いた事はあったのですが、「看取りのドゥーラ」というのは聞いた事がなくて『最後の時までその人らしくあるように、見守ってサポートする役
Mさんから詳しい仕事内容の説明をいただきました。
看取りの寄り添いをする非医療者が「看取りのドゥーラ」であって、ドゥーラとは医療者ではありません。看護師でもないです。
まずバースドゥーラが生まれ、欧米で広まりました。妊娠・出産・産後を通して継続した支援をする女性をいいます。
このバースドゥーラのケアが、看取りの領域でも始められました。
昔は自宅での出産や臨終が主でしたが、現代ではほとんどが病院です。
ご近所同士の助け合いも減り、病院側もサービスを充実させビジネス化しています。
生と死では両端なんですが、昔と現代における状況がよく似ています。
在宅医療・看取りには、Dr.やNs.のほかにリハビリや薬剤師といった、いろんな専門職が関わることになります。
医療的なことはそういった専門職によるケアになりますが、そのほかに、本人やご家族の感情的な支えとなる存在がいて欲しいところです。
感情的な支えって必要?…と思われるかもしれません。
実際感情というのは揺れ動くものですが、何かと多忙な医療現場では、寄り添いのケアを優先できない実情があります。
本人の精神的な満足が得られにくい事実になってしまうここに、ドゥーラが生きてきます。
ドゥーラサポートには、「常にその方の味方でいる」といった要素があります。
何の判断もされず、自分を変えることを求められず、自分があるがままでいて、その人に完全に受け入れられること…これは家族以外の人で、当事者の事情に巻き込まれないで済む人の方がいいといわれます。
死に対する恐怖心は、人間なら当然みんな持っています。
でも、その上で生の一部としての死を受け入れると、今の生に大切なものを考えて、あらためて問い直すんです。
さやかさんが感じたのはきっとこれです。死からのまなざしは、生をフォーカスします。
日本でもそういう志をもった方々が、学びをはじめておられるそう
お産は「はじまり」・・・・それはわかりやすいですが「死」は?というとちょっと考えます。
「でもね・・・「死」は終わりではなくて、元に戻るだけのことな
そう淡々と、優しく語るRさんの言葉に頷きました。死にゆく人は、だんだん赤ちゃんのように小さくなって、元にもど
そう考えたら、生と死も「同じ」という考え方も納得できました。
そして・・・・よくよく考えてみればわたしたちの毎日の暮らしの中に、生と死は満ちている。。。。のです。
現代社会に生きていると、とくに日本だと・・・その実感が乏しいのではないでしょうか?
(ドイツなんかだと、道路に飛び出してきた ハリネズミ、ウサギ、鳥、狐。。。大きいものでは鹿とかの、ある
日本の東京に暮らし始めたばかりのころ、毎朝(本当に、必ずといっていいほど)通勤時間になると電車がと
「現在、人身事故で、ただいま〜電車が緊急停車しております」
という放送に、最初は「えっ、誰が?なんで???」と動揺したも
ある時、感覚が摩耗してしまっている自分に、はっと、気がついたときに、(なんかヤバイな・・・この社会、自分も・・・)と感じたのを覚えています。
人間は、麻痺してしまうんですよね。。。。そんな「異常な状況」
戦争のときに、へいきで 人を殺せてしまうのも、そういう麻痺した状態になるからなんでし
せっかく授かった命、生なのにわたしたちは、・・・なんと命を粗末にしているんだろうか。
毎日の食事だって、生であり、死であり、それは永遠に繋がっているものなのです。
お肉やお魚、生きている命をいただいているもの、野菜も命そのも
本来、食事というものは、生から生へのリレーみたいなもの。
ご先祖様たちは、一本一本の稲をかり、そのもっと昔のご先祖様は。。。。マンモス(笑)を追っかけて・
「生」を死にかえて、また生へと還元して生きていた。なのに、今、現代に生きるわたしって・・・・なんて無駄使いしてるんだろう・・・・
腐らせてしまったり。。。残したり・・・と、それもつくづく反省
そして自分は「生かされている」ということ。多くの死があって、生があって、わたしは生かされて、今を生きて
○死ぬことは生きること○
わたしの子供たちも、夫も、家族も・・・・大きな生命の輪の中で。命は紡がれてきているのだなぁ。
すごいなぁ。。。。と「死」を通したお話を伺いながら、あたらめて 生かされていることを感じました。
でも毎日の生活の中で、そんなこと考えているだろうか?
考えていないなぁ。と、反省もしました。
生や死なんて、まったく意識しないで そんなこと感じないで生きていることの方が多いですよね。
昔、そばにあった死は、今は忌むべきものという感じで、遠くに追いやられてしまっていま
意識すらしないように?
でも、それは本当に必要なこと?
スーパーマーケットにいっても、すべてが野菜も、お肉も 四角くパックされて、もう「生物」というよりは「人工物」といったかんじ。
加工食品に至っては。。。。命のエネルギーさえ、感じられない。
だからこそ、死が身近でないからこそ、自分だけでなく、ほかの命をも粗末にしてしまう人が多いのだと思
自殺率の高さや、異常な殺人は。。その結果なのではないでしょう
ですからターミナルケアに関わっておられるYさんのお話は、胸に
死を目前にした方と、それを取り巻く家族たちのケアをするお仕事
そうか、そういう役割もあるんだなあと。
わたしたちが毎日の生活を送っている中で、社会のなかで、そういったお仕事を担ってくれている存在がいるこ
YさんとRさんが、看取りの仕事について語るときは、優しい表情
そして看取りのドゥーラという仕事が存在することも、そういった
家族と、死にゆくかたが、安らかに、平穏で、そして自分らしく。
お葬式・・・より以前のこと。大切なこと。
「死にゆく瞬間、家族との最後の時というのは、その人が、どのよ
わたしはどんなふうに死にたいのだろうか?死ねるんだろう?
点滴が林立して、まるでジャングルみたいにチューブにつながれて
自分の家で、まどの外の庭や遠くの景色をみながら、お日様の陽を
でもそれより・・・、死を考えて、心に迫ってきたのは、一番大切なのは、生きること。
わたしはどのように、生きたいのだろうか?
この生を、どのように生き抜いていきたいのだろうか?ということ
看取りのドォーラも、ターミナルケアも・・・・
これからの日本にはもっと必要な、そして 大切なお仕事だなと感じました。
お二人の滞在した最後から2日前には、やっと美しい青空の晴れ間がのぞきました。
「わぁ〜〜!やっと晴れた〜。嬉しいね〜」
その日の青空みたいにさわやかに二人は喜んでくれて、わたしもう
我が家に、来てくださって・・・ありがとうございました。
おふたりの去った後、なんだか 寂しい気持ちになってテーブルの上に飾ったチューリップを見ていたら(あぁ、これも命なんだなぁ・・・)と、見る目がすこし変化しました。
生を知って、死を知ること。そんなことを学ばせていただきました。
お二人の活躍をこれからも心からお祈りしています。ありがとうございました!!!
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森 Wenzel 明華(もり ウェンツェル さやか)
著書「ハーブ療法の母ヒルデガルトの家庭でできるドイツ自然療法」(BABジャパン)「ホメオパシーってなぁに?」(ホメオパシー出版 )
「誰でも家庭でできる自然療法」がテーマです。持ち前の好奇心と行動力でドイツでは、自然と共に生きています。家庭で自然療法や手作りの暮らしを実践しながら、自然からの癒しを探求しています。
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