看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム タッチケアサービスさんによる連載コラムです。
中医学視点から観る【湿気と産後】
昨年11月から始まった月1回連載コラム。今回8回目となります。
今月は湿気と産後について。過去のコラムとリンクすることが多いため一緒に読まれることをお薦めします。(特に先月コラムと深く関連しています!)
前回の記事はこちらから→ 中医学視点から観る【産後の浮腫み】
日本の特徴の一つである四季。これから梅雨到来。梅雨と言ったらどんなイメージを持たれますか?
恵みの雨・ジメジメ・ジトジトとした湿気・洗濯物が乾きにくい・カビが生えやすいなどと何だかちょっぴり憂鬱な気分になりますね。
体の話をしていくのに何故四季の話が出てくるのか想像できるでしょうか?
それは中医学の基礎理論に【天人合一】という考え方があるからです。
自然界の一部である人は環境が変化すれば、少なからず体に影響を受けることは中医学の世界ではごく当たり前の発想なのです。
症状にフォーカスするだけでなく人そのものからその人を取りまく環境まですべてまるごとをマクロ世界で観ていくからです。
梅雨のイメージをして頂いたのは、実は体内にも同じことが起きているからと知って頂きたかったのです。
また日本は海に囲まれた国であるため、もともと湿気の多い国であることを頭の隅に置いて頂きたいと思います。
自然界の正常な気候変化である【六気(風・寒・暑・湿・燥・火)】があります。
しかしそれが何らかのきっかけに過剰・不足することで、【六気】から【六淫(風邪・寒邪・暑邪・湿邪・燥邪・火邪)】に変化し、結果的に人へ悪影響を及ぼしてしまうのです。
これから迎える梅雨に主に見られる邪気が【湿邪】
この湿邪って何者?一体、体にどんな悪影響を及ぼすのでしょうか?
湿邪の性質は、シンプルに考えて頂くと理解しやすいと思います。沈む・重い・停滞・粘り気・ジメジメした雨の日に感じやすいなどなど。
そこから観えてくるものは、重力の関係も絡んで、
・体の下半身や下肢に影響を受けやすい
・ジメジメした湿気の強い日に体調が悪化しやすい
・体内に停滞すると、脾の運化作用(ここでは胃腸の働きのイメージで留めておきます。)に影響がでる。
ちなみに【脾】は乾燥を好み湿気を嫌う臓腑(内臓のイメージ)なので、湿気が多くなると【気】の動きを妨げてしまうため胃腸に症状(代表的なものとして、吐き気・嘔吐・めまいなど)が現れやすい状況になります。
胃腸に限らず体の表面から内臓、そして経絡(人の基本物質と内臓を繋ぐ線路のようなイメージ)や関節にまで、いろんな形で湿邪は影響を与えてしまうのです。
皮膚がジュクジュクする・体が浮腫む・関節が腫れあがる・痛むなどの症状を訴える方も中にはいらっしゃると思います。
この湿邪は体内の停滞が長くなると【痰濁】という形に変化していき、ますます厄介になります。時には精神状態まで及ぼす場合があるのです。
身近な例えで言いますと体のあらゆる場所(血管や細胞や経絡など)を流しの排水溝やドブに例えるのなら、それらも綺麗だと水の流れもスムーズですが、ゴミをとらず掃除もせずそのままにしているとやがてヘドロに変化し水の流れ方もスムーズにいかなくなるのと同じようなイメージでしょうか。
しかも、胃腸は人のいのちを育む基本物質を作る大元の工場。
そこが湿気にやられて動かなくなったり逆にブレーキがかからなくなってしまうことで、気の働きがスムーズにいかなくなり、いずれ体のあらゆるところにヘドロを作りかねないということ。
そうならないためにも、湿気対策は大切です。洗濯物が乾かなかったりすると除湿をかけて乾かすように体にも除湿をかけてあげるようなケアは大切なのです。
産後の体は体全体が消耗していると同時に本人が思っている以上にとても繊細になっています。
胃腸も授乳や寝不足などによってフル稼働しなければ体の基本物質を作り出すのに間に合わない状況。
だからこそ湿気に負けないよう胃腸のケアを取り入れていかれることを意識していきましょう。
冷飲冷食は避け胃腸の様子を伺いながら質のよいものを必要なだけ頂くこと、冷房にたよらずじんわり汗をかくことで体内の湿気を発散できます。
ただ汗をかいたら必ず汗をしっかり拭くことが大切です。そのままにしておくとそれが湿邪に変化して体に及ぼすからです。
胃腸の働きや体内の除湿を高めるためのきっかけの一つとして、アロマは有効です。
香りによって【気】の働きを促し呼吸をさらに深めてくれます。
よって汗の発散や胃腸の動きのサポートに繋がります。また人によるアロマのタッチングはさらに安らぎを与えてくれるでしょう。どうか快適な梅雨が過ごせますように。
タッチケアサービス講座 中医学担当 山口恵美
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西洋医学・東洋医学両視点からのケアを深めるための講座を開催。現場に則した内容の講義講座や勉強会を行う。
クリニカルセラピストを目指す方、セラピストとして学びを深めたい方、また各療法家、医療従事者すべての方が対象で理論だけにとどまらず実践的かつ専門的に学んでいる。
また、様々なかたちで生活に取り入れやすいホリスティックライフ実践のための提案・ケアを一般対象にも行っている。
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