自然栽培の美味しくて安全なイチゴを安定供給する自然栽培農家・野中慎吾さんによる連載コラムです。
イチゴの苗作りは無農薬で作ることは不可能
病気にはいつもその病気にかかる原因があります。
原因があれば病気にかかり病状が悪化していきますが、原因が取り除かれれば病気は治っていきます。
病原菌をゼロにすることは不可能です。土壌のどこにでも病原菌はいます。
その植物体に病気の原因があれば農薬である殺菌剤をまいて病原菌を減らしても原因がある限り病原菌は増えて病状が進んでいきます。
殺菌剤をまき続けてもそのうち殺菌剤に抵抗力を持つ病原菌が出てきて効かなくなります。
それでは別の殺菌剤で・・・いたちごっこの始まりです。
イチゴの苗作りは無農薬で作ることは不可能と言われています。
まだ原因が掴めなったときは上の写真のようによく枯らしていました。本当に不可能だと思ったこともありました。
でも病害虫にきちんと向き合って原因を探し出してそれを取り除けばぎりぎり無農薬でも作ることができます。
病斑が少し出ています。病斑のある苗を普通の農家は絶対に植えません。
普通のイチゴ栽培では病気は全滅を招く恐れがあるので必ず捨てます。遠くで捨てるか焼却処分します。
病気はその植物に原因があるとどんどんうつっていきますが、原因がなければうつりません。
まず一番最初に取り除いておかなければいけない原因は肥料です。特に窒素肥料です。これが過剰に植物に入ってしまうと病気が広がる原因になります。
他にも温度や水というのもありますが、まず窒素が多い状態から脱出しないと他の原因を追求しても無駄です。
これは人でいうと食べ過ぎでメタボというところです。
うちが出している病気の原因はポット内での育苗期間が長すぎるため根詰まりが起きていることが原因です。
これは植えれば根詰まりは解消されるので治るでしょう。
病気がくっついたまま植えました。
イチゴは真ん中から次々と新しい葉が出てきます。外側の葉は古い葉です。
真ん中の葉が病気になっていなければ助かる可能性は高いです。
植えたら次の日には根が伸びているサインの葉水(葉先につく水滴)が上がってきます。
調子を取り戻せそうです。
2週間後
真ん中から出てきた新しい葉に病斑は出ていません。
外の古葉の病気は隣の株どころか、その株の新しい葉にすらうつりません。
畑の中に肥料が入っていたらこうはいきません。うつりまくるでしょう。
でも肥料を畑に入れてなければ、根は過剰に養分をとってくることはないので植物体内の窒素量が多すぎる状態にならずにいられます。
そして、病原菌が植物体内にいるけど原因が取り除かれているので増えることができず、どんどんイチゴ株は回復していくのです。
昨年の自然栽培イチゴの写真
ここからも病気の原因を作らないでイチゴが喜ぶ毎日を積み上げていければ農薬、肥料なしでも上の写真のように自然栽培イチゴを作ることができるのです。
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農業生産法人「みどりの里」(愛知県豊田市)農場生産責任者 野中慎吾
障害者を農業の担い手として重視する「農福連携」にも力を入れている
ブログはこちらから⇒農業生産法人みどりの里ブログ
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養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。