腐る野菜と枯れる野菜【腐敗実験】

1986年の創業以来自然栽培を普及し、医者にもクスリにも頼らない自立した生き方を提唱してきたナチュラル・ハーモニーの代表・河名秀郎さんにお話を伺っています。

前回の記事はこちらから⇒本当に安全でおいしい野菜の選び方【自然栽培の野菜の特徴】


腐る野菜・枯れる野菜について行った実験があります。「肥料を入れた野菜」と「肥料を入れない野菜」をそれぞれビンに詰めフタをします。

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まず、左から①自然栽培、②有機栽培、③ 一般栽培、それぞれのきゅうりをカットし、ビンに入れて実験してみました。

条件を一定にするため、ビンを同じょうに煮沸し、同じ場所に置き、時間の経過によってどのように変化していくかを観察します。

そして数日後、なんと一番はじめに形が崩れていったのは、真ん中の②有機栽培のものでした。

この結果には驚きました。一般栽培のものが一番早く腐るだろうと思っていましたから。この写真を見ると一般栽培のものはまだなんとか形を残していますが、有機栽培のものはほとんど形を留めていません。

あくまで確率の問題ですが、時間の経過とともに、肥料を入れた方の野菜は腐る確率が高くなります。

また、栽培の期間に肥料を入れない自然栽培でも、野菜が腐る場合もあります。

それは、土の中に過去に使った肥料や農薬が多く残っている場合。または、何かしら、自然のリズムに反した栽培をした場合に起こることがあります。

それほどに過去の清算には時間と労力がかかります。そして、作物の生理に反した収穫、保存、流通をした場合にも腐る場合があります。

本に載っている実験では有機栽培が先に腐っているわけだけど、誤解されては困るのですが全ての有機栽培がこうなるわけではなくて、

動物性の肥料の量と質によってなったので、有機でも腐りにくいのもあります。ただ有機だと枯れるのはあんまり見たことがないです。

一般栽培はケミカル臭と表現していいかはわかりませんが、ツーンと鼻につくような匂いで有機の方は糞のような匂いでした。

この時の実験では有機栽培のものが最初に腐っていきました。

①無肥料、②動物性肥料、③植物性肥料と、3つのビンに分け、ニンジンでも実験してみました。

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結果は予想通り、②動物性肥料によるニンジンがひどく腐っているのに対し、③植物性肥料によるニンジンはさほどではなく、形も保たれています。

無肥料のものはあまり変化がありませんでした。

他の野菜でも手当たり次第実験してみました。自然栽培の野菜は腐ることなく発酵に向かうケースが大半でしたが、自然栽培の年月が浅いものは腐ってしまう場合もありました。

私がかつて有機野菜の販売に携わり、様々な生産者にお会いしていくうちにわかったことですが、病虫害に悩んでいる方のほとんどが、動物性の糞尿肥料を大量に使っていました。

逆に動物性肥料の使用量が少ないほど虫も減り、農薬の使用量も少なくなる傾向があります。

さらに、植物性肥料を中心に使っている方では、めっきり病虫害が少なくなるのです。

昔の有機栽培と現代の有機栽培

昔の有機栽培というのは、江戸時代とかは肥を買ってまでみたいな時代もあったと聞きますが、使う量も少なめだったんですよ。

柄杓で撒くレベルですものね、今みたいにダンプで何トンも入れるような有機ではないんです。

あと質も全然違って、まず糞のクオリティも違うじゃない?

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畜産だと遺伝子組み換えの餌がメインだし、抗生物質なども使っていてそれが糞になってきますからね。

だから昔の有機栽培と現代の有機栽培とでは実態は大きく違ってきていますよね。

ーーーいつくらいから変わってきているのですか?

昭和の初期くらいまでは、昔のやり方だったと思います。一般栽培に移行して、そこから有機に戻る時に肥料概念が強くなったように思うんです。

化学肥料に相当する肥料分を自然界のもので補うかたちで、その当時の施肥量から見て、これくらいの糞を入れないと、という感じで多くなったんじゃないかなと僕は思います。

植物の育つ三大栄養素、窒素とリンとカリをいかに自然のもので賄うか。

なので、糞尿を始め、ヌカとか油かすなどがその点有効だということで選ばれてきたんでしょうね。

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有機栽培も様々で、全て業者から買っている人もいれば、自分で丁寧に何年も寝かせて発酵させて使っている人もいます。でもそれはごく僅かですね。

特に糞尿などは発酵期間も昔は4~5年かけて無毒化して使っていたりしてたみたいだけど、今は生で入れちゃう人もいますから。

また、◯◯菌と言っていろんな微生物資材があるんですが、そういうのを入れるとその期間が短縮できて1ヶ月くらいで使ってもOKだよ、何てそんな話もよく聞きますが、それって大丈夫なの?と思ってしまいます。

僕は、動物性肥料を使っている生産者には、その量を減らしませんか?

または植物性のものに替えてみたらどうですか?と肥料に依存しすぎない農業のあり方を提案しています。

そしてそれがうまくいけば、次は自然栽培の方へと切り替えていただけるように働きかけています。

なかなか一朝一夕には行きませんが、生産者にこの腐敗実験をご自分でもやっていただき、野菜の状態を把握してもらうようにしています。

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河名秀郎(かわな・ひでお)

1958年東京生まれ。國學院大學卒業。

千葉県の自然栽培農家での研修を経て、ナチュラル・ハーモニーを設立し、自然栽培野菜の移動販売をはじめる。

業務用卸売り事業、自然食品店、自然食レストランなどの衣食住全般を統合した「ナチュラル&ハーモニック」を展開、また自然栽培に特化した個人宅配も展開している。

生産者に対しても自然栽培の普及を目的に設立した「自然栽培全国普及会」を運営し、日本各地、韓国にも赴き、各種セミナーを開催している。

自然栽培全国普及会HP http://www.jnhfa.com

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主な著書に「ほんとの野菜は緑が薄い (日経プレミアシリーズ)」「自然の野菜は腐らない (カルチャー・スタディーズ)」「野菜の裏側 ―本当に安全でおいしい野菜の選び方」などがある。

HPはこちらから⇒ オフィシャルサイト「ナチュラル・ハーモニー」

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ナチュラルハーモニーのWebショップ⇒ mai

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