本当の有機栽培とは微生物を増やした土をうまく使って作る栽培

自然栽培の美味しくて安全なイチゴを安定供給する自然栽培農家・野中慎吾さんによる連載コラムです。

自然栽培の苗作り

種を畑に直接播いて作る野菜は大根、ニンジンなどの根物の野菜です。それらは苗を作ることができません。

根を真っすぐ下へ伸ばして、そこが可食部となるので、畑で直接まいて作ったほうがいいものができます。

(カブも苗を作りません)

しかし、実物や葉物は苗を作った方が有利になります。

利点としてはまだ外が寒いうちに暖かい場所で苗まで育てておくことができます。

(3月に種をまいて育てることができる)

外がその野菜の好きな気温になったときに、苗からスタートが切れるので、生育期間を長くすることができ、収穫を早め、収穫期間も長くすることができます。

欠株も直播よりも少なくできます。

でもこれは完全に人の都合です。苗作りはその自然のルールをよく理解して、その植物の力を発揮させるいい事例の1つです。

苗作りというのは、ポットなりで植物の根を制限してしまうので、苗用の土を作ることが必要となります。

畑の土を採ってきてそのままポットに詰めて作ろうとしても、この根を制限していることと、地下からの水が上がってこないので毎日水やりをしなくてはならないということに対応できず失敗します。

根を無限に伸ばせる環境でないと無肥料ではできません。よってポットの土だけは自分で微生物を増やした土を使う必要があります。

草を積んでおいて堆肥化させたものなどを使う例もあります。

私は米糠と

↑わら

↑山砂

籾殻燻炭

を混ぜて発酵させて、菌の少ない山砂にたくさんの菌が生育している土というものを作ります。

(混ぜ合わせた状態)

発酵温度は70℃近くまでになります。

微生物の力はすごいなと感じる瞬間です。

9か月の発酵が終わるとわらがほとんど原型をとどめていない土になります。

ここまでくると土は完成します。

有機栽培の肥料で「ぼかし」がありますが、多くの方は作るのが大変だからと2~3週間の発酵で止めてしまい、そうじゃないと肥料としての効果がないとまで言われてます。

しかしそれは間違いです。

本当の「ぼかし」の目的は微生物の多い土を作ることです。そして、微生物の少ない土に少量混ぜて、その野菜にとって必要な微生物量に合わせるというやり方が本当の有機栽培です。

わらや米糠などが微生物に食われて、そのほとんどが微生物の体となったところで発酵が終わり、完成となります。

お米には100%この土で苗を作れますが、

(100%自作土でも根がきれい)

野菜は5~30%の自作の土を砂に混ぜて使います。

(自作の土でレタス発芽)

砂を母材にするのは、毎日水やりしてもちゃんと水が下に抜けてちょうどいい水分量を維持するためです。

(きれいに育ったサニーレタス苗たち)

この自作の土を混ぜるイメージは有機栽培です。

本当の有機栽培というのはこういう微生物を増やした土をうまく使って作る栽培で、化学肥料の代わりに有機肥料という考え方は根本的に間違っています。

化学肥料はサプリメントのようなもので、微生物関係なく水に溶けてそのまま植物に吸われます。

効きは早いのですが、これはいい形で吸われていないので、植物が使いやすい形に植物体内で作り変えねばならず、負担が大きいです。

有機栽培、自然栽培の養分は微生物が死んで、その微生物の体がくだけてアミノ酸として出てきたものを根が吸うという形になります。

根と微生物の共生で生まれる養分で、この養分の入り方が自然界の植物が入手している採り方で、そのまますぐ植物の体を作ることができ、植物の負担は少なくなります。

この微生物が少ない土では、植物は根を大きく伸ばして、根域を広げて微生物が住める場所を広くして、対応しようとします。

しかし、根をポットで制限された場合、打てる対策としては、土の微生物量を故意的に増やすという手段で解決できます。

これが本当の有機栽培、自然栽培という栽培の技です。

これが本当のルールなのです。

これが化学肥料というイメージが先に来てしまい、肥料という漠然としたイメージで土を見てしまうので土がわからなくなります。

有機栽培も自然栽培も、短絡的に分けてしまうのは良くないです。

肥料と微生物との共生から生まれる養分を分けて考えると正解です。

有機栽培でもここがしっかり意識されている場合、自然栽培と同様に病害虫が寄ってきません。

微生物を増やした土は根が小さくならないので

(自作土を20%混ぜた砂の根が小さくならず立派な状態)

植物もその肥料か微生物かの違いにはっきりと反応します。

畑に植えてからは根が伸ばせるので、あとは自然に任せておけば土を作るだとか考えなくていいです。

無農薬で野菜を作る場合は、自然栽培でも有機栽培でも、その植物に一番いい環境を作ってあげられるかどうかが決め手となり、その決め手は肥料ではないです。

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農業生産法人「みどりの里」(愛知県豊田市)農場生産責任者 野中慎吾

障害者を農業の担い手として重視する「農福連携」にも力を入れている

ブログはこちらから⇒農業生産法人みどりの里ブログ

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