海外ではスーパーにオーガニックは当たり前【遅れをとる日本のオーガニック】


取材・撮影/編集部 

海外写真提供/黄 孝春 文/やなぎさわ まどか

出典/季刊書籍『自然栽培』

土、植物、動物、虫、菌……。私たちの身のまわりにある、知っているようで知らない世界。自然界で起きているさまざまな不思議は、命の糧を得るための「栽培」に、どう関わっているのか。各分野の研究者に取材する。

安全神話の陰で遅れをとる 日本のオーガニック

アメリカ、ニュージーランド、アジアなどで急速に市場が広がる オーガニック。

これらの国では、スーパーにオーガニックのコーナーが設けらているのは当たり前の光景だ。

それは、ジャンクフードが並ぶ一方で、消費者はオーガニックも選ぶことができるという、選択肢の幅広さでもある。

一方、日本はどうなのか。

今回は、栽培に直接関係する研究ではなく、 「経済」の視点からオーガニック市場の現状、日本のオリジナルといえる自然栽培の可能性について、弘前大学人文社会科学部教授の黄 孝春さんにお話をうかがった。

日本経済の研究から リンゴの研究へ

──どのような研究をしているのですか?

黄 孝春(以下、黄) 経済学です。

大学院では日本の経済を研究していました。

1980年代、当時絶頂期だった日本経済の秘密を知りたいと思っていたんです。

その後、日本独特の業態といわれる商社を研究して本を出版したことがきっかけで1991年から弘前大学で教えています。

2000年頃にリンゴの研究に携わりはじめました。

まだ経済の研究やほかの仕事もしながらリンゴも研究していたかたちでした が、ここ数年は私の研究時間の半分以上がリンゴのことになっています。

──初めから自然栽培も研究されていたのでしょうか?

黄 自然栽培については、木村秋則さんと出会えたことで関心が高まりました。

『りんごをアップルとは呼ばせない―津軽りんご人たちが語る日本 農業の底力』の出版のために木村さんに会えることになり、確か5人くらいで木村さんの農園を訪問したと思いますが、そのあとも場所を変えて午後6時から深夜0時くらいまで尽きないほどの質問をしました。

お会いするまでは彼の本を読めばいいかなくらいに思っていたのですが、実際にお会いして、リンゴの自然栽培で培ったノウハウをほかの栽培でも応用していること、それを日本中、世界中に教えに行っていることを知り、すごく興味深かった。

この本では木村さんのことを〝自然栽培の伝道師〟と書いたほどです。

そのとき木村さんが、岡山県の菊池酒造が自然栽培米を醸造した「奇跡のお酒」を持ってきてくださって、それが本当においしかった。

みんなでずいぶん飲みました。

たくさん飲んだのに悪酔いも二日酔いもない、なんて素晴らしいお酒だと思いましたね。

そのとき意気投合して以来、自然栽培の現状を知るために、木村さんとはいろんなところにご一緒させてもらいました。

海外では、スーパーにオーガニックは当たり前

──世界のオーガニックの現場を視察されているそうですが、日本と比べてどんな違いがありますか?

黄 2016年は香港、2017年はアメリカ、つい数日前までは マレーシア、シンガポールに赴きリンゴの調査をしてきました。

オーガニック、有機農産物の普及という点ではどこも日本よりずっと進んでいて、スーパーに有機農産物コーナーがあることが普通です。

アメリカもジャンクフードが定番化している一方でオーガニックを求める人が増えており、予想以上に進んでいると言わざるをえません。

私たちが訪問した田舎の小さなスーパーでもオーガニックコーナーがあり、売り場におけるオーガニック製品の種類が豊富です。

農産物のオーガニックコーナーでは、リンゴは主力商品のひとつになっています。

売上げの統計上では、アメリカで販売されるリンゴのうち有機栽培はすでに1割、近い将来には2割に到達すると聞きました。

また、リンゴができない期間はニュージーランドやチリなど南半球の国から有機栽培のリンゴを輸入しています。

それも3万トンといったかなりの量が市場に供給されています。

同じように先日マレーシアでも、フランスの有機栽培リンゴが輸入されていました。

以前香港でも、アメリカやイタリア、フランスなどから輸入した有機栽培のリンゴを見かけたことがあります。


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自然栽培VOL.14 最強!!食でアンチエイジング。

自然栽培Vol.14より許可をいただき一部転載させていただいています。

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