産後うつにならないために体と心をほぐす深呼吸【自律神経のスイッチが切り替え】

看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム タッチケアサービスさんによる連載コラムです。

産後うつにならないために~産後の体と心をほぐす深呼吸

産後、病院から退院したお母さんは、傷の痛みと疲労感を抱えたまま、平均3時間毎の昼夜を問わない授乳が始まります。

次第に夜中の授乳が落ち着き、離乳食が始まっても、どんどん体重が増える赤ちゃんの抱っこは続きます。

さらに、間に洗濯、食事作り、買い物などの通常の家事が加わります。

手伝ってくれる両親、姉妹などが身近にいる環境の方は拠り所がありますが、一人だけで頑張っていると、常にやることと時間に追われている内に、体も心も疲弊していきます。

朝、鏡を見る余裕がない。食事を食べた気がしない。日中、誰とも話していない。

赤ちゃんの世話により、目線が下ばかりになってしまうことで、首や肩は固くなり、抱っこをしていると自然に肩が内側に入ってしまい、猫背になってしまいます。

そのような状態が続くと、呼吸は次第に浅く、早い口呼吸、胸呼吸になっていきます。

呼吸が浅くなると脳も体も酸素不足になってしまいます。

息は吸う時に交感神経が優位になり、吐くときは副交感神経が優位になります。

脳が機能するには大量の酸素を必要とし、1回の呼吸で約20%の酸素が脳へ運ばれます。

浅い呼吸により脳に酸素が不足すると、自律神経が乱れてしまいます。

産後はエストロゲンの急激な減少により、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンなど脳内物質の働きも悪くなっていて、浅い呼吸が続くと不安や憂鬱な気持ちが悪循環を招き、産後うつの引き金になってしまう恐れがあります。

産後うつは、全体で10~15%の人に出るというデータもあり、産後2~3週間くらいから起こります。3、4ヵ月たってから症状が表れる人も多いですが、中には1年過ぎてから出る人もいます。

ほとんどの人は治療を受けなくても3~6ヵ月で良くなりますが、産後うつ病にかかった4人に1人は、赤ちゃんが1才になった時点でも、まだ抑うつ状態が続いてしまうと言われています。

さらに、うつの状態が長引いたり、深刻な状態だと、赤ちゃんの発育や、パートナーとの関係にも影響を与えてしまう可能性もあります。

呼吸が浅くなる弊害

呼吸が浅くなる弊害は体にも及びます。

酸素が不足すると血流が悪くなり、手足の末端に血流が行き渡らなくなることで、冷えを招きます。

冷えはさらに肩こり、むくみ、胃腸の活動の低下にも繋がります。

無意識に浅くなった呼吸は、意識して深呼吸をするだけで、脳にも体にも変化が起こります。

脳に酸素が十分行き渡ると副交感神経が優位になり、血行も促進されます。

そして、深い深呼吸のリズムはセロトニンの分泌も促します。

理屈はわかっていても、一日の時間は赤ちゃんの泣き声の合図で動き、また合間に様々な用事に追われている中、なかなか深呼吸をしようという気持ちになるのもタイミングも難しいと思います。

産後は体が弱っているのに、育児に追われる内に、どんどん自分の体のことは後回しになってしまいがち。

時間の固定は困難でしょうが、授乳の時やおむつ替え、添い寝をする時の内、一日の中で1回はやってみる、と気楽な気持ちで決めてみるのも一つの方法です。

中でも、授乳は赤ちゃんと見つめ合える静かな時間です。

赤ちゃんがおっぱいを吸い始めたら、腹式呼吸をしながら深呼吸をします。

まず口から息を吐き切り、ゆっくりお腹を膨らませながら鼻から息を吸います。

数秒間息を止めます。

ゆっくりと口をすぼめながら、口から息を吐きだします。

お腹の空気を出し切るように、細く、長く、吸う時の倍の長さで吐き切ります。

腹式呼吸は副交感神経を優位にし、リラックス効果があります。

深呼吸はセルフケアとして意識的に

深呼吸にも色々なやり方があります。

胸式呼吸で行う場合、息を吸う時はお腹は引っ込めたままで、肋骨が引きあがるのを意識してください。ゆっくり大きく胸を膨らませて息を吸い、吐くときは自然に吐きます。

胸式呼吸は交感神経を優位にしインナーマッスルに働きかけ、リフレッシュ効果があります。
また、たっぷりと息を吸うことで、浅い呼吸で不足していた酸素が補われます。

腹式呼吸は息を吐くことに、胸式呼吸は息を吸うことに重点を置きます。

どちらも深い呼吸をするのに大切ですが、呼吸は自律神経を自分でコントロールが出来る方法です。

深呼吸をする時に、アロマテラピーを組み合わせるのもよいでしょう。

コットンやティッシュに好きな精油の香りを垂らして吸い込むと、香りは感情を司る大脳辺縁系~視床下部へと届き、自立神経系、内分泌系、免疫系に作用し、体とこころの両方に働きかけます。

おむつ替えの時はストレッチをあわせても良いでしょう。

1日に何回もあるおむつ替えの内、1回、できる日は2回と決めておけば、やりやすいのではないでしょうか。

足を開脚した内側に赤ちゃんを寝かせて、体を伸ばしながらおむつ替えをし、この時、息を吐きながら体を伸ばすと身体の力が抜け、血行も良くなります。

さらに、赤ちゃんに声をかけながら体をさすってあげてもよいでしょう。

赤ちゃんはお母さんとのスキンシップが大好きです。

赤ちゃんとの時間を楽しく元気に過ごすには、自分の体をセルフケアする意識がとても大切です。

深呼吸をしてみると、呼吸が浅くなっていたことに気が付きます。

自分から始められない時や、精油を使いたくても何の香りが良いかわからない時は、アロママッサージを受けみるのも一つの方法です。

セラピストと好きな精油を選び、体をほぐしてもらいながら深呼吸をしてみると、その心地よさから自宅でもスタートしやすくなります。

もし、何もしたくない、出かけたくない、といったネガティブな状態になっている時は、産後うつを発症している可能性もあります。

また、動くと息が苦しい、体を動かすのが辛くてたまらないと感じた場合は循環器などの病気を発症している可能性もあります。

そういう時は、是非、専門病院や総合病院へ受診をしてください。

つい、赤ちゃんや日常的の生活に追われて、全部頑張ってしまうと自分のことは後回しになってしまう。

頑張り過ぎると、頭ではなんとかしないと、と思っていてもどんどん追い詰められ、次第に体も心も動けなくなっていってしまいます。

まず、深呼吸をしてみてください。

繰り返すうちに、酸素が取りこまれて自律神経のスイッチが切り替わります。

深刻な事態を招かないためにも、いつでもできる深呼吸はセルフケアとして意識的に行いましょう。

また、辛くてたまらない、と感じていたら家族や友人以外にも、多くの病院で産後ケアも行われています。

自治体の担当者も相談にのってくれます。

我慢をしないで助けてもらいながら、赤ちゃんとの時間を大切に、楽しんで過ごしていただきたいと思います。

タッチケアサービス 島田 浩子

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タッチケアサービス

看護師や療法家を含む医院・施設専属のクリニカルアロマケアチーム。出産直後の患者、延べ15.000件以上の症例等を保有。

西洋医学・東洋医学両視点からのケアを深めるための講座を開催。現場に則した内容の講義講座や勉強会を行う。

クリニカルセラピストを目指す方、セラピストとして学びを深めたい方、また各療法家、医療従事者すべての方が対象で理論だけにとどまらず実践的かつ専門的に学んでいる。

また、様々なかたちで生活に取り入れやすいホリスティックライフ実践のための提案・ケアを一般対象にも行っている。

【touch care services lesson】

産院専属セラピストチームから産後ケアを学ぶ、年4回のホリスティック産後ケア講座開講中

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