自然界の仕組みを知る【イチゴの花と巣箱のミツバチの連動】

自然栽培の美味しくて安全なイチゴを安定供給する自然栽培農家・野中慎吾さんによる連載コラムです。

【自然栽培イチゴとミツバチ】

一般的にイチゴハウス内には受粉のためにミツバチを放してあります。

このミツバチが農薬にめちゃくちゃ弱いのはご存知の方も多いと思います。

農薬を使う場合は農薬をまく前にミツバチをハウスの外へ出しておいて、3日くらいして農薬の影響を受けなくなったら中へ戻します。

農薬によっては3日ではすまないものもあります。

ミツバチを長い間ハウス内に入れられないと受粉ができなくなるのでイチゴは奇形果が増えてしまいます。

農薬散布したときのミツバチの取り扱い方法が説明されますが、少しでも農薬の気配がするとミツバチは花にすら寄り付かないとか、巣箱から出てこなくなるとか、農薬散布したときに使った手袋で巣箱を持ったらもうダメとか、かなり敏感なようです。

春は暖かくなり病害虫が増えますので、春イチゴは農薬使用量が一気に増えます。

3日に1回とか週に1回とかいうペースで農薬散布しなくてはならないときはミツバチとの共存はかなり不可能に近い状態になってしまいます。

農薬まけば楽に作れるかといえばそうではないものなのです。

こういうことに悩まされないのが自然栽培のいいところですよね。

うちで防除に使うとしたら酢とでんぷん液です。

これらはミツバチに一切影響ないので巣箱を移動させることがなくてすみます。

自然栽培はミツバチとの共存が楽にできる

ミツバチは農薬だけでなく、全てに敏感です。

かなり神経質な生き物です。

ミツバチのことをよく知らなかった頃、イチゴハウス内へミツバチを入れてから心配でエサをやっていました。

イチゴには蜜がないから砂糖水などでエサを補充せねばならないと説明書に書いてあり、ちゃんと規定を守ってあげました。

そしたらミツバチが3か月後にはいなくなってしまいました。

巣箱は空っぽです。

巣の中を見ると砂糖水でいっぱいになっていて女王の産卵スペースがなくなって働きバチがいなくなってしまったようでした。

エサの量を10分の1にしても同じことが起きました。

じゃあエサはいらないんじゃないかと思ってやらなかったら最後まで巣箱にミツバチは残っていてくれました。

なるほどな。こっちがよかれと思ってやったことは全て不要だったわけかと。

それまでは養蜂に詳しい人に管理の仕方を教えてもらって、巣の板を取り出してチェックしたり、ちょっと掃除したりしていたのですが、下手するとミツバチが怒り始めて、怒った性格の巣箱になることがありました。

怒った巣箱はもうずっと怒った性格のままになるので、私が巣箱に近づいただけでミツバチが襲いかかってくる箱になってしまいました。

触らないほうがよさそうだなという結論が出ました。

神経質なやつらなんですよ。

ミツバチは一見ただ花粉や蜜を採りに花をまわって回収して巣箱へ戻っているように思えますが、ミツバチはもっと高度な社会性を持っているようです。

自然界の仕組み【イチゴの花と巣箱のミツバチが連動】

ミツバチを買ってきてハウス内へ入れるとある一定量にまでミツバチが減っていき、ある量で維持されます。

減っているときはいなくなるのではないかと心配になるのですが、最近はある一定量で維持するのがわかっているので、そのまま放っておきます。

この量を決めているのが、イチゴハウス内の花の数です。

ミツバチはちゃんと群を維持するために、花の数に合っただけの産卵をして群れが大きくなりすぎてエサ不足にならないようにしています。

ここで不思議なのは産卵するのは女王1匹だけなので、誰かが女王に花の状態を知らせねばならないのですが、働きバチしか外へ出ていないので、巣箱へ帰って働きバチはエサだけでなく外の情報も持って帰ってきていることになります。

もしミツバチの言葉が聞こえてきたら、箱の中はさぞ賑やかな状態なのでしょうね。

エサが多い場合は働きバチは働かなくなります。

以前新しい巣箱の近くにミツバチのいなくなった巣箱をおいていたら、ミツバチはそのいなくなった巣箱の中の蜜を自分の巣箱へ入れ始めました。

そしたらミツバチはその間花をまわっておらず、奇形果がかなり出てしまいました。

エサが十分にあるとミツバチはあまり出てこなくなってきます。

量の調節をしているようです。

入ってくる量と使っている量のバランスをたくさんいるミツバチは皆で共有してコントロールしているのです。

イチゴハウス内は外と違って空間に制限がかかっています。

ハウス内のイチゴの花と巣箱のミツバチが連動している関係とは思いもしませんでした。

これに気づいたとき自然界は全て見えない何かで繋がっている感じがしました。

それぞれの生き物が好き勝手やっているわけじゃないんだなと思ったら、ますますこの自然の仕組みに興味がわいてきます。

今年は触らずにまたミツバチを残していこうと思っていたら、4箱中1箱がいなくなってしまいました。

これは10月の長雨でイチゴの生育を落としてしまって、ミツバチを入れたのに花が咲いていない日が長くなってしまったためでした。

多少の花がないのはなんとか乗り越えてくれるのですが、タイミングが悪かったです。

ここは多少エサを入れておくべきだったなとまた勉強です。

ミツバチを新たに注文して届くまでの間、自分たちがミツバチにならなくてはならず、はけを持って花から花へ受粉してます。

3日1回やっています。

これがまた腰にくる作業でつらいのですが、

「腰が痛い」と嘆いていたら

妻に「ミツバチになりきれてないな」と一括されました。

いつもはミツバチたちにまかせっきりの受粉作業のしんどさに、ミツバチいい働きしてくれてたなと改めて思い、感謝の気持ちで接していかないといかんなと思いました。

そしたら1シーズン残ってくれるよね。

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農業生産法人「みどりの里」(愛知県豊田市)農場生産責任者 野中慎吾

障害者を農業の担い手として重視する「農福連携」にも力を入れている

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養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。

 

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