自然栽培の美味しくて安全なイチゴを安定供給する自然栽培農家・野中慎吾さんによる連載コラムです。
もう一人の自然栽培イチゴ農家
現在、私以外にもう一人自然栽培イチゴを作っている農家がいます。
それは昨年の春までみどりの里で研修していた「美岳小屋」の林さんです。
彼は自然栽培イチゴを作りたいと言って1年間みどりの里で自然栽培イチゴと向き合いました。
あいにく昨シーズンは天候が悪すぎていい状態は見せられなかったのですが、それでも彼は自然栽培イチゴ作りを習得してくれました。
(農福連携で障害者さんも研修生の林ファミリーも皆でパッキング)
昨年の春からは林さんも自分のイチゴを育てなくてはならないのでハウスを建てたりと準備を進めていました。
自然栽培イチゴに磨きをかける
今年のイチゴ苗は共同作業で作りました。
独立した林さんと連携しながら作業できるのも互いの作業負担を減らすことができたのでとても良かったです。
普通は独立してしまうともう別々の道になりがちですが、幸いなことに林さんのイチゴハウスはみどりの里の倉庫から10分ほどの距離なので連携しやすい距離です。
自然栽培イチゴはちょっと教えたくらいではたぶんできないです。
みっちり教えても実際始めたら分からなくなってしまうでしょう。
この距離が近いことが教えてあげても大丈夫だろうと思ったところです。
近いと気候も天候も同じなので自分がやっている作業をそのままやればうまくいきます。
3月見事にイチゴがなっています。
林さんも大成功でした。
ここまで一番やっかいなうどんこ病にもかからずにこれたのであとは逃げ切れるでしょう。
林さんとこは直売もやっています。
みどりの里も自然栽培9年目となりますが、うどんこ病を一度も出さずにここまでこれました。
3月になってもうどんこ病が出ていなければもう大丈夫です。
糖度も高い自然栽培イチゴ
今年天候にも恵まれていたので糖度も高いまま維持できました。
(みどりの里でこよなく自然栽培イチゴを愛していてパッキングできる無門福祉会の勝間田さん)
障害者さんとの連携もうまくいってます。
美岳小屋さんや無門福祉会さんやストレートアライブ(とものわ)さんと連携して出荷先の注文数を合わせる努力をしています。
林さんのイチゴもこの形で出ることもあります。
皆で協力しあうことで今まで以上に欲しい方へちゃんと届けられるようになってきました。
自然の都合は人間の力では変えられないのでイチゴの収量にはアップダウンがどうしてもあります。
でもそれを複数の人で連携することで一人でやるよりもイチゴの数を人の都合に合わせることができます。
今回私は自分の技術を人に教えることができました。
それは10年かかって覚えたことです。
教えてしまったらもったいないと思う人もいるかもしれませんが、私は自分が頑張って見つけてきたことが自分だけしかできないことになってしまうことが怖かったです。
つまり自分がいなくなったら10年かけてせっかく見つけたことが消えてしまうということです。
イチゴの自然栽培はかなりリスクの高い道で誰でも教えてあげられるわけではありません。
ちょっと教えて自分だけで進めてしまうと絶対失敗します。
たまたま林さんが近くでやるからいざとなれば見てあげられるから大丈夫だろうと思って教えました。
これは私にとっても幸運なことでした。
自分がいなくなったら自然栽培イチゴの技術も消えかねなかったから自然栽培イチゴを習得してもらったことでこれを回避できました。
これで林さんも自然栽培の希望になりました。
自然栽培は自然のルールがわかれば誰でもできることも証明できたと思います。
これからは一緒に自然栽培イチゴに磨きをかけていきたいです。
美岳小屋さんの応援も皆様どうぞよろしくお願いいたします。
(林さんとこでの直売のイチゴ)
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農業生産法人「みどりの里」(愛知県豊田市)農場生産責任者 野中慎吾
障害者を農業の担い手として重視する「農福連携」にも力を入れている
ブログはこちらから⇒農業生産法人みどりの里ブログ
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養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。