岩木山が教えてくれたこと
取材・構成・撮影/温野まき
出典/季刊書籍『自然栽培』
(文章 前略)
自然を見習い 循環のお手伝いをする
放線菌の匂いはすぐに消えてしまうので、翌日から、ナイロン袋を持って、何度も岩木山の土を採取しに行きました。
私の畑の土はガチガチに固かったのです。
畑の土が、岩木山のようなふかふかの土になったとき、きっとリンゴが実ると思えました。
いままで、リンゴだけを育てようとして、土の養分を奪うからと、畑の草を根こそぎ刈り取っていましたが、草たちが土を豊かにしていたのです。
草を生やすことで、その根にさまざまな菌が集まり、虫や、小さな生きものたち、小動物などが畑に現れるようになりました。
肥料をたくさん与えたり、農薬で排除したりするのではなく、土から生まれ、土に還っていく自然の循環を考えること。
自然を見習いながら、人はお手伝いをするだけでいい、ということを教えてくれたのは岩木山でした。
いま、私の畑の土は、あのときに嗅いだ岩木山の土と同じ匂いがします。
山の雪解けの早さは温暖化の証
気にかかるのは、近年、岩木山の雪解けが早まっていることです。
7月中頃まで雪が残るのが普通でしたが、今年の岩木山は、6月中にはほとんど雪が消えていました。
積雪の量も減っていて、今夏は、畑の脇を流れる沢の水が例年の半分くらいの水位だったので、水を汲むのが大変でした。
山は〝水のタンク〟です。
世界中で異常気象が起きていますが、岩木山でもそれが感じられるようになってきました。
年々暑くなる気温や、巨大化する台風など、温暖化は加速しています。
これは、自然からの警告だと思います。
二酸化炭素の300倍の温室効果をもつ「亜酸化窒素(あさんかちっそ)」は、肥料を大量に施した農地から発生しています。
私が、肥料と農薬を使わない自然栽培をできるだけ早く普及したいという理由のひとつです。
年々、雪解けの早まる岩木山が、「木村、急げ!」と言っているような気がしてならないのです。
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自然栽培Vol.20より許可をいただき一部転載させていただいています。
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養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。