自然栽培の美味しくて安全なイチゴを安定供給する自然栽培農家・野中慎吾さんにお話を伺っています。
農福連携から生まれた自然栽培販売グループ「とものわ」
私はとにかく無肥料無農薬の自然栽培でお米や野菜をたくさん作って皆に喜んでもらいたいです。
そんな思いから、今年5月からやっとスーパーやまのぶに自然栽培コーナーを作ることができました。
(やまのぶの自然栽培コーナーなら小規模自然栽培農家も小量からでも出荷できます)
これにはいろんな願いが込められています。
最初私は何でも自分で作ろうとして苦難だらけの自然栽培をやっていました。
無農薬栽培は一人でやるとたいした量が作れないです。
これはどうしても手がかかりすぎてしまうからです。
苦難だらけの自然栽培の末できた農福連携
農薬をまくだけで済むところを目を光らせ病害虫が出てないかチェックして病害虫が出ないような管理を徹底して、出てしまった場合は手で取り除かなければならないこともあります。
私も畑と田んぼで3haを超えたあたりから、もう根性とかでなんとかならなくなってきて、そのとき生まれたのが障害者さんと一緒に農業をやる農福連携でした。
これで私は8haの自然栽培が可能になりました。
でもここまでくると今度は販売しきれなくなってきて、生産と販売を両立していくことが難しくなりました。
そこで農福連携を一緒に進めていた障害者福祉にうちの販売窓口になってくれないかとお願いしたところ、素晴らしい展開へと繋がっていきました。
(わくわく広場の売り場を福祉側が作ってくれる)
生産の協力関係の先の販売の協力関係の重要性
もともと自然栽培ができる福祉などいません。
それで作り方を教えてほしいとのことでやり方や考え方を教えていきました。
苗が作れなければ苗を分けてあげて、みどりの里以外に自然栽培仲間はいない状態から周りに仲間ができていくのがうれしくてどんどん技術提供してました。
そして、いざ販売の段階になったとき、特に何も決めごとをしていなかったので教えてた人たちと売り場のイス取りゲームになってしまいました。
同じ商品が少ない売り場であぶれてしまって需要より供給量が上回ってしまい単価は下がってしまい、互いに協力し合って作っているのに、販売では足を引っ張り合っている状態になってしまいました。
これは放っておくとお金が絡むことなので仲が悪くなり、皆で助け合えるとは反対の相手がこけて喜ぶ世界がやってきます。
ここで分かれ道が来ます。
もう技術を教えることなく自然栽培を企業秘密として作り方を明かさずいくか、更に関係を発展させるかです。
(最もイス取りゲームに陥りやすかったのは自然栽培ミニトマトも今はもう大丈夫)
私はどうしてもしゃべってしまう性格で秘密を維持できないタイプなので、更に関係を発展させて販売の問題を解決することにしました。
一人で勝っても一緒に喜べる人がいないんじゃつまらんしね。
そこでこのままみどりの里だけで生産量を上げながら販売を充実させていくのは不可能だから、福祉側に私たちの販売窓口をやってもらおうと全ての販売先を紹介して福祉側に渡しました。
普通は生命線でもある販売先は絶対渡さないのですが、私は生産に向いた性格なのであまり販売は上手じゃないです。
だからいっそ販売に向いてる人に渡したほうがうまくいくだろうと思って渡しました。
福祉は人が農家よりたくさんいるので、販路拡大や売り場づくり、電話対応から出荷準備まで彼らがやってくれます。
販売をどうしていくかは皆で決めているので、一見渡したようですが、農家と福祉が協力してやっていく共同体構想を更に発展させただけです。
福祉側も自然栽培の生産はやっていたのでグループとして出荷できるようになりました。
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農業生産法人「みどりの里」(愛知県豊田市)農場生産責任者 野中慎吾
障害者を農業の担い手として重視する「農福連携」にも力を入れている
ブログはこちらから⇒農業生産法人みどりの里ブログ
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養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。