難病である脊髄小脳変性症を発病するが、西式甲田療法を実践して克服され、1日に青汁1杯(+少量のサプリ)で元気に過ごし森鍼灸院院長、断食道場「あわあわ」をやられている森 美智代さんにお話を伺っています。
前回の記事はこちらから⇒断食に向いていない人でも鍼をやることによって巡りを良くする
ーーー本にも書いてありましたが、生菜食や少食の人は尿素も再利用できるとのことですよね。
体の重要な構成要素にタンパク質があります。筋肉とか色々臓器や皮膚をつくるそのタンパク質は同じ体重の人でも毎日分解して新しく作りなおして入れ替わっています。
その同じ体重でもタンパク質が体重50kg1日約200gくらい消えて分解されて便とか尿に出て行くわけです。
それを尿素窒素という物質にして、尿や便とかにタンパク質のゴミみたいなのを出すようにしているそうです。
それをもう一回使って、タンパク質に合成しているという機能が私にあったよというのを教育大学の栄養整理の先生の奥田先生が調べてくださいました。
「生菜食や少食実行者は、アンモニアから作られる尿素を有効利用している」という研究結果があります。
少し古いのですが、1989年に、当時、大阪市立大学の助教授でいらした奥田豊子先生(現在は大阪教育大学教授)が、国際栄養学会議で報告されたデータです。
甲田先生のところの患者さんのうち、私を含む生菜食実行者と少食実行者、各数人に、尿素を経口投与し、それが体内でどうなるかを調べた研究です。
尿素は無害な物質で、口からとっても差し支えありません。しかも、尿素中の窒素には、安定同位元素(アイソトープ)というもので[印]をつけることができます。
口から投与したあと、血中などにその[印]が出てきたときで「これは口から投与した尿素中の窒素だ」と見分けることができるのです。
そこで、印をつけた尿素を[甲田医院で生菜食の少食療法を実行している人][生菜食と同じようにたんぱく質の少ない食事をしてもらった学生さん][普通におなかいっぱい食べておられる学生さん]という三群に投与し、血中たんぱく質への現れ方を調べました。
本来ならば、体は尿素を利用できません。
しかし、大腸内の尿素は、腸内細菌によって、アンモニアに分解されたり、アンモニアからアミノ酸に合成されたりします。
人間は、そのアンモニアやアミノ酸を吸収し、肝臓内でたんばく質を合成することができます。
でもおなかいっぱい食べておられる学生さんの場合には、血中たんぱく質中の窒素の[印]は高くなりませんでした。
ところが、生菜食者と同じ低たんぱく質の食事を食べた学生では、摂取した尿素態窒素の[印]が、次第に血中たんばく質に現れ始め、
投与後、80時間を過ぎても一定の濃度を保っていたのです。さらに、私を含む生菜食の少食療法実行者は、同様の傾向で、より高い濃度が続きました(グラフ参照)。
つまり、普通なら捨ててしまう尿素を、生菜食や少食療法の実行者の場合は、再利用して栄養源として使うことが、この研究結果によっても裏付けられたのです。」
「食べること、やめました」―1日青汁1杯だけで元気に13年 (森 美智代(著)マキノ出版)より、著者の許可のもとより転載しています。
尿素窒素を再利用
アミノ酸を分解した状態が尿素窒素というと思うのですが、その尿素窒素をまたアミノ酸にするというのがやっていることだと思います。
それは私だけではなくて、管理栄養士になるような学生さん達が先生のもとで実験に参加して、
低タンパク食、生ではなくて煮たり焼いたりしてもいいけどお肉とか魚とかをとらないようなカロリーはとっても低タンパク食で2週間くらい食べてください。と実験して食べる前と食べた後だったら私のように尿素窒素を再利用する機能がある人が出てきたのがわかってきました。
普通の人でも2週間くらいで適応してくるとおっしゃっていました。
生菜食など、私ががんなどの方になどにやってみてくださいとお勧めていると、結構たくさんの人が低タンパク食なのに低タンパク血症とかにならないで適応しているのです。
低タンパク血症になると、血液中にタンパク質が少なくなるから栄養失調でむくんだりしてきます。
少しすると適応するんです。
むくんだりする人があんまりでてきません。しかし、なかにはむくんだりする人もいます。私が見てきた体験上、圧倒的に適応する人が多いんです。
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森美智代
鍼灸師。大阪府八尾市にある森鍼灸院院長。
短大卒業後、養護教諭として勤務中に難病である脊髄小脳変性症を発病するが、西式甲田療法を5年間実践して克服。
その後、鍼灸師の免許を取得し、森鍼灸院を開業。
1日に150ccの青汁と少量のサプリメントをとるだけの生活を20年近く続けている。
森鍼灸院のサイトはこちらから⇒ 森鍼灸院
2015年、三重県名張市に「断食道場あわあわ」を開業(所在地:三重県名張市瀬古口231)。
主な著書に「断食の教科書 (veggy Books)」「「食べること、やめました」―1日青汁1杯だけで元気に13年
」「「おうち断食」で病気は治る (週1回で奇跡が起こる)
」などがある。

養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。