天然菌の発酵食【化学物質に負けない体をつくる】

1986年の創業以来自然栽培を普及し、医者にもクスリにも頼らない自立した生き方を提唱してきたナチュラル・ハーモニーの代表・河名秀郎さんにお話を伺っています。

前回の記事はこちらから⇒自家採種するうえで気をつけること

ーーー発酵食品について

化学の進歩によって便利になったのは事実です。しかし一方で行き過ぎていることも否めません。例えば菌の操作はまさに行き過ぎだと私は思います。

その昔、自然界に生息する天然の発酵菌が原料とコラボした結果が発酵食品でした。

しかし現代の発酵食品は天然の発酵菌が醸しているというよりは、自然界から採取した発酵菌を人為的に操作したり、特定の菌だけを分離したものを添加して発酵を促すスタイルが一般的です。

そして場合によっては、採取した菌に対して紫外線やガンマ線、X線を浴びせかけたり、いろんな薬品を使って「突然変異」を誘発させ、今までにない特徴を持った菌を作り出す技術ももはや特異ではなくなってきています。

自然栽培の農産物が腐らずに発酵する傾向があることは以前も触れましたが、自然栽培の原料は環境が整うとその原料に見合った菌が湧いてくるかのごとくです。

その傾向を活用したものが天然菌発酵醸造の世界です。

特定の菌を分離したり、遺伝子操作菌を使用することが多くなったこの発酵食品の中で、あえてこのような菌に頼らず、天然の菌の働きによって醸される天然発酵醸造の世界。

「そもそも発酵というのは原料が自然に発酵するものだ」と正当医療を訴えるホスメック・クリニック院長の三好基晴先生と共に天然発酵醸造の食品を製品化しようと動き出したのはかれこれ15年前。

先人たちが見出した発酵食品のストーリーは、偶然原料が菌によって変化したそのものが美味しかったからに違いありません。

それが本来であって、その昔の自然に発酵するプロセスというのはもはやこの世には存在しなくなった。

なぜなら原料そのものが発酵の真逆の腐敗のプロセスをたどってしまうものが多いから。

腐敗する原料では本来発酵できるはずがありません。

でもスーパーに行けば発酵食品はズラリと並んでいる。

なぜでしょう?

それは人間が関与することで発酵に導いていく技術を駆使しているからなんですね。

昔ながらの発酵技術(分離培養)は、木の灰を使って腐敗系の菌を退けるという手法をとっていました。自然分離培養です。

しかし現代は、薬剤処理で分離培養する技術が確立され、化学分離培養が主体になっています。

目的の菌だけを選抜し、それを増やす上での効率の高い餌を与える。

例えば砂糖、グルタミン酸ナトリウムやビタミン剤、場合によっては動物の肉エキスなど。

そして、その種菌を販売する。

当時、おつきあいのあった味噌蔵や醤油蔵などをはじめ、できる限りの聞き込みをして使われている菌の素性を調査したことがあります。

その結果、例外なく菌は種菌メーカーから購入しており、その菌の素性、生産工程をご存知の方は一人もいらっしゃらない実情でした。

私は菌の世界も種の世界と同じようにその時々で対処療法型の不自然な方向に進んでいる気がしてなりません。

ーーー化学物質過敏症の人は天然の菌じゃないと食べれない?

化学物質過敏症の人の中には自然食品で売られているレベルの味噌や醤油さえ口にできない人もいらっしゃいます。

三好先生曰く、菌が場合によっては様々な処理によって薬まみれの薬毒菌みたいなことになって、それが反応してしまうのではないかと仮説を立てられています。

ーーーこれは過敏度によっても変わってきますよね。

そうですね。重度の方は現代の普通の生活ができなくなってしまいます。

過敏症の人たちがなんでそんな現象になるかといえば、一説では体内に蓄積した化学物質がその人の許容量を越え、それ以上体内に侵入させないための防御反応として起きているのではないかと考えられています。

その現象を克服するには、その蓄積してしまった化学物質を排除していくことがポイントになると思います。

そのためには化学物質の含まない生命力の高い食事をしっかりと食べて、なるべく体を動かして汗をかき、化学物質を体外に追いやること。

その上で、まずは食べるものがなければ話は始まらないので、三好先生は自然栽培による農産物を奨励されています。

なぜなら、有機栽培と雖も肥料の質と量いかんでは口にできない方もかなりいらっしゃることを知ったからです。

そんな背景もあって、農産物や発酵食品をはじめ彼らが口にできるもの、できないものをリサーチしたところ、味噌でもオーガニック認証の味噌も食べれない人が出てきたので、その理由を調べたら先ほどの薬毒菌という世界が見えてきたのですね。

これは大変だ!天然の菌で本来の味噌造りをしないといけない!と思い立った時に、それを進める上で発酵型の原料が絶対不可欠であることに行き着き、「ナチュラル・ハーモニーで扱う自然栽培の原料と、天然の菌がおのずと棲みつく仕組みをうまく活用してこの世に天然菌醸造の世界を世に残そう」という運びになりました。

そして初めて形になったものが甘酒でした。

その甘酒は全然味が違いましたね、本当に美味しかった。ただ甘いだけではなく、旨味がすごかった。

それを手掛けて下さったのが福井の「マルカワ味噌」です。

自然栽培の青大豆を使って、マルカワ味噌蔵に元々住み着いていた麹菌を採取するという未曾有の挑戦から始まり、試行錯誤の上に完成しました。

一般的には購入した(麹は選抜されたスーパーエリート的な麹菌)が単一に働いて味噌なら味噌を醸します。

例えばパン作りではそのような酵母菌をイースト菌と呼びますよね。

一方、マルカワ味噌の蔵に生息する天然種麹を研究機関に出して調べたところ、少しずつ性格のちがう4種類の麹菌が含まれていました。

一般の単一の麹菌に対して天然の4種類の麹菌が働き、それぞれの旨味を醸すので複雑で奥深い味わいを生み出すのではないかと私は感じています。

その後甘酒に続き、天然菌による味噌がようやくこの世に送り出すことができました。「蔵の郷」です。

そして有機味噌でさえ食べれなかった方々に試してもらったところ、結果は予想以上だったので、甘酒、味噌に続いて、醤油、納豆、お酢、日本酒、焼酎、みりん、ワイン、ビールとそれぞれの蔵元、メーカーさんとの協力のもと、まだまだ量は少ないですが天然菌による発酵食品の世界は広がりを見せています。

食生活のすべてを本来の自然食材にすることは難しいとしても、主食たる米と発酵食品だけでも、自然なものを、自然栽培素材と天然菌で自然に沿って育まれたものを生活に取り入れて化学物質に負けない体を築いていただきたいと思っています。

今の現状

そもそも農薬散布や遺伝子操作、分離培養などという手段を必要としないというのが本来の姿であって、人間が口にすべき当たり前のものだったはずなんです。

それがいつしか農薬を使わないと育たなくなってしまった。

菌を遺伝子操作したり分離培養して区分しないと発酵食品ができなくなってしまった。

それが今の現状なんです。

それだけ私たちは自然のルールから逸脱してしまったのではないでしょうか。

気がつかないうちにルール違反を犯していた。その結果が農地や食品、しいては人体にそのまま不自然な状態を反映してしまった。

その不自然な状態を自然に戻すときに農地では虫やさまざまのウイルスや細菌が働いて浄化していくと自然栽培では説いていますよね。

それをそのまま人体に当てはめたら、どうでしょう。

人体の不自然、不調和を元の自然の状態に戻していく役割はというと、それは同じくウィルス、病原菌となると考えられないでしょうか?

今まで人間は病原菌なるものを全て悪と捉えてきました。

腐敗に導く菌を悪と捉えてきました。

しかし自然栽培の出現でその常識は覆ったんではないかと思います。

今まで悪と思っていたものは、実は悪ではなかった!

彼らは人間が犯したルール違反を正している存在なのかもしれない。

そのように思えれば、病気さえ自分の体を正常に保つために起きている浄化作用だと思えるのではないでしょうか。

三好先生も病気それ自体が自然治癒力の顕れだと言います。

よく自然治癒力というと「病気を治す力」と思われがちですが、どうやら病気=自然治癒力のようです。

まさに病気は正常に導いていくための現象。

だとすれば、世の中に病気なるものがなかったら人類はもうすでにとっくに淘汰されていたのかもしれませんね。

私は「医者にも病気にも頼らない生き方」というセミナーをシリーズ化して行っているのですが、そんな私も年に1度くらいは風邪を引きます。

でもその病気を悪ととらえていないのであえてそれを止めようとも思わないし、正常に導くための浄化作用と受け入れています。

時にはそうやって不調和のズレを克服して健康の体を維持していくわけですが、でもできれば病気にはなりたくないですよね?

そのためには人体の不自然さの総量を少なくすればいい、自然栽培の土みたいな身体になってさえいれば虫にも病気にも侵されないですむのではないかと私は考えています。

気がつかずに取り込んでいる化学物質や異物って一体な〜に?

それを衣食住の中で認識してもらって、まず入れない努力。そしてすでに入れてしまったものは出す努力。さらにその出す努力として、病気もその一つとして恐れずに受け入れる。

人間も死ねば土に還ります。

ただそれにも長い・短いがある。いわゆる寿命です。

ある人に80年、90年という時間を与えられ、反対にその時間が短い時間で終わってしまう人もいる。

極論で言えば、そのサイクルは自然に沿って生きたか否かも大きく関わってきているようにも思えます。

いまは医療技術によって何とか世界でもハイレベルな平均寿命を保っていますが、これがそのまま私たちや若い世代に当てはまるとは限りません。

なぜなら今のご高齢の方々は私たち世代よりも日常、発酵系の素材を食し化学物質の少ない生活送ってきていると思うからです。

大量生産型の社会の中で育ってきた私たち世代は生まれてからずっと腐敗系の食べ物やそれに関わるさまざまな化学物質、または大量の電磁波の暴露など、不自然度で言えば昔の人とは比較になりません。

痛いよ、苦しいよと病気でもがき苦しむのは、はっきり言ってイヤです。

そして与えられし寿命を全うして地球に還りたい。

だから私は自然栽培の農産物を食べ続けたいし、自然栽培から学んだ自然のルールなるものになるべく従って生きようと思っているのです。

とはいえ、衣食住全てを自然のルールに当てはめようとするとそれはそれで無理が生じます。

だからポイントをつかんで変えていってもらいたいと思います。

先ほども述べたように食べものならばまずお米と発酵食品、そして水。

毎日いい野菜を選びましょうでは大変ですから、まずは上記3点あたりから最初の一歩を踏み出すこと。

それを続けていけば次第に自分が本来的に何を必要としているかが分かってくると思います。

そして朝の歯磨き粉、そして洗濯洗剤をはじめ合成界面活性剤を使うことをやめる。このくらいから始めてみるのはいかがでしょうか?

ーーー自然のルールに沿って生きる「目的はどこなのか?」

自然栽培では肥料を使わず農産物が永続的に育つ理由として、自然界にはそれぞれの生命体が自ら自立して生きるいのちの仕組みがあるとしています。

それは、植物だけの話ではなく、人間にも当てはまる。人体の中も、その人にとって生きるために必要な栄養を作り出せる機能があるとも説いています。

私はこの必要な栄養を作り出せる機能を自らの体に取り戻すことを最優先に考えています。

私は思います。

私たちの体の中にはマイドクターが何人もいて、いつも管理してくれている。人間の体はパーフェクトなんだ!と。

自然に沿っていればそもそも病気などは存在しないんではないか!と。

自然のルールに逆らった結果が今の病んだ農地であり、病んだ農産物であり、病んだ体なんではないか!と。

私が自然栽培の農産物、その原料による発酵食品を食べて欲しい理由は、無農薬で安全だというのも理由の一つではありますが、その前にもっと大切なことがります。

それは、その人の体が自然栽培の農産物と同じように、養分に頼らずに自分の中で必要な栄養を過不足なく生産ができる、そして発酵型の体を取り戻すことができると思うからなのです。

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kawana

河名秀郎(かわな・ひでお)

1958年東京生まれ。國學院大學卒業。

千葉県の自然栽培農家での研修を経て、ナチュラル・ハーモニーを設立し、自然栽培野菜の移動販売をはじめる。

業務用卸売り事業、自然食品店、自然食レストランなどの衣食住全般を統合した「ナチュラル&ハーモニック」を展開、また自然栽培に特化した個人宅配も展開している。

生産者に対しても自然栽培の普及を目的に設立した「自然栽培全国普及会」を運営し、日本各地、韓国にも赴き、各種セミナーを開催している。

自然栽培全国普及会HP http://www.jnhfa.com

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主な著書に「ほんとの野菜は緑が薄い (日経プレミアシリーズ)」「自然の野菜は腐らない (カルチャー・スタディーズ)」「野菜の裏側 ―本当に安全でおいしい野菜の選び方」などがある。

HPはこちらから⇒ オフィシャルサイト「ナチュラル・ハーモニー」

ナチュラルハーモニーの定期宅配はこちら⇒ ハーモニックトラスト

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youjo-labo編集部
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