前回に引き続き健康で美味しい卵の生産者の皆川さんにお話を伺っています。
餌はブラックボックス
ーーー餌とかはサンヨネさんに聞くとブラックボックスだと言っていたんですが。。
それはコストの問題もありますね。100%作るのに30%が何なにです。
20%が何なにで足したらこういう餌ができましたという中でですね、トウモロコシをたくさん使うんですけど副原料というのがありましてトウモロコシが高い時にはトウモロコシに似たもっと安い原材料をつかって穀類としてそれは問題がないってなってるんです。
原料の値段によって、エサメーカーさんが調整できる枠が大分あるんです。
うちが使っているメーカーさんってのは・・
お値段の話をするとすごく高いんです。多分日本でも1、2番目に高い飼料だと思います。
その代わりこんだけ高いけど、いいのを使ってます(遺伝子組み換えではない)とうたってもらってますんで、原料を明かさないメーカーもたくさんあるんですけど。
僕らは自分の使っている飼料はわかっています。
トウモロコシは鶏が食べて消化、吸収がいいのがトウモロコシだとすると、消化の悪いのは全部でてしまうんです。鶏は腸が短いんです、だから難しいんです。
吸収させるのが、例えばこのくらいの餌を食べても全部出てしまう餌もあるんです。そうするとたくさん食べるんです。
吸収しないといけないので、そうなると糞が増えるんです。そして水もたくさん飲むので、糞が柔らかくなったりしてすごく匂ったりという悪循環になるんです。
吸収がいい餌というのは食べても糞が少ないんです。栄養分が多い糞は腐るんですね。栄養分が吸収されてカスみたいなのは雑菌が育たないくらいなので腐敗しないんですね。
別ににおわない為に何かをかけてるわけでも何もないですよ。逆に言ったらよそよりも何もしてないんです。
ーーーどのくらい高いんですか?
倍まではいかなくても、例えば普通のが1万くらいだとすると、うちのは2万5千円とかですね。
鶏は1羽1日平均で120gくらい餌を食べるんです。うちだと1日に3トンくらいですね。なので本当に餌で変わってきますよ。
大手さんは何百万羽ですからね、それは餌代は少しでも安いほうがいいと思うはずです。卵を高く売るのは難しいですから、安い餌を探すんですね。
餌でも倍くらい違ってきますからね。
安くて粗悪な餌は作ろうと思えばどんどんできちゃうもんでね、遺伝子組み換えのトウモロコシも多いと思います。
ーーー基本的にはトウモロコシなんですか?後、その皆川さんが使っているのの違いはなんでしょうか?
はい。色んな産地の違い、アメリカ、オーストラリア、アルゼンチンなど色んなところから入ってくるんですが、例えば今使っている飼料メーカーさんの何がすごいかというと・・
もちろん遺伝子組み換えではないというのはありますが。
他にもトウモロコシはそのままでは鶏は食べれないので、粉砕するんですね。
それで粉砕したときに小さい粒と粉に分かれるんです。鶏ってのは豚などと違って舌でペロペロなめるのがなくて突っつくんですね。
どうしても粒ばっかりつまみたくなる。飼料メーカーさんはどうしても粒の方ばっかりを餌に入れてしまうんです。
粉の方は抜いて、豚のエサにしたりするんです。だけどとうもろこしの栄養ってのは全体でトウモロコシなんです。
全粒粉っていうんですが、パンでもあると思うんですが全部を飼料に使っていますよって事なんです。
ただ粉も入っていますから鶏は食べにくい部分もあるんですが、しっかりゆっくり食べてもらった方が体調は良くなるんです。
後は例えば2、3匹ゲージに入っていて序列ができていると、食べやすいのばっかり強い鶏さんが食べて最後は残った粉の部分ばっかりたべないといけない子がおったりとか、そうなるとさらに優劣ができてしまうんです。
そうすると卵も偏りがあったり、体も偏ったりするんです。
ーーーそうゆう場合はゲージとかを変えたりするんですか?
うちの場合はですね、このスペースに3、4匹入ってたりすると一回に頭が出ない場合があるときには、常時頭が出て一斉に食べれるようにしてあるので、元からバラツキがないような数しか入っていません。
全員が一緒に食べれるようにしているのでバラツキはないようになっています。
僕は自分一人でやっているので余計な世話はできないんですよね、ほんと。
鶏さん達が自分たちでやってくれるもんで成り立ってるんです。なので餌でかなり変わってきますよ。
それ一個だけではないんですが、やっぱりそこはバランスですね。
ーーー1日何個くらい卵を産むもんなんですか?
1日1個365日産むかというとそれはないです。
200何十個は産むんですけど、だから2日に1個とか、若いうちは3日に2個とか産むかもしれませんが、だんだんと年齢がいくと2日に1個になったりするんですね。
1日2個とゆうのはありえません。
ーーー鶏は産むのは何歳から何歳まで産めるってのがあるんですか?
寿命があるまでは産み続けると思います。何歳からというのは、孵化してから4ヶ月くらいで卵は産みます。
ただ寿命までは飼ってあげた事はないんです。どうしてもやっぱり1週間に1個くらいしか産まなくなったりするとどうしても採算ベースの境目がでてきますから・・
1週間に1個くらいしか産まなくなるまでには1年なんですね。我々が鶏を飼ってあげられる期間というのは1年半とかです。
ーーーその後は食用になるんですか?
そうですね。
庭先とかで飼っているなら、2年、3年と飼っていけば1週間に1個くらいしか産まないかもしれないけどずっと15年くらいは生きていくと思います。
ーーーちなみに卵を産むって事ですから、交尾をするじゃないですか、どうゆう感じなんですか?
ここはですね、男の子は一人もいません。交尾をして子供が生まれるもっと以前の段階の事しかこの子達はやっていません。排卵しかしていないんです。
人間の場合だと排卵して、交尾して子供が産まれるじゃないですか、その子供が卵と思われているかもしれんけど卵というのは女性が排卵するまでの状態がこの卵なんです。
オスは卵を産むためには必要ないんです。鶏の場合は排卵がそのまま外にでるという感覚ですね。
ーーー産まなくなった鶏は食用になるんですか?
例えばペットフード、焼き鳥の缶詰とかそのままスーパーに売っているお肉にはならないですね。ブロイラーではないので、加工品に回されます。
ーーーウインドレスで飼っていると、環境がわるいですよね、そうなると鶏自体も悪くなると思うんですがそうゆう肉も加工品にまわっていくんですか?
最終的にはそうやって処理していくと思います。
ウインドレスの鶏は本当に骨がもろくてビックリしますよ。
鶏さんは羽がありますよね、捕まえるときに意外と羽をバタバタさせるんですけど、羽を持つとバタバタやらないですから、羽を持つんですがそうすると羽が折れちゃうんです。
明るさ(日光)がないもんですから骨が脆くなるんです。生まれてから一年から二年の間に一回も日光に当たらないわけですからね。
ーーーここは開放的にやっているから1年半くらい産んでくれますが、逆に抗生物質やウインドレスで育てられた鶏はもっと短くなるんですよねきっと。
短いと思います。間違いなくああゆう環境の中では産まなくなるのも早くなると思うし、体も弱いし、抗生物質もすごい投与されてると思うのでそうなると思います。
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皆川さん家の美味しい卵は愛知県のスーパー「サンヨネ」で売っています。現在は販売していません。
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養生ラボ編集部です。インタビュー取材、連載コラム編集など。